暗号資産を持ち始めると、必ずぶつかるのが「この資産はどこで管理するのが正解なのか」という疑問です。取引所に預けたままで大丈夫なのか、それともウォレットに移すべきなのか。いざ調べてみても、「ホットウォレット」「コールドウォレット」「ハードウェア」「MetaMask」と専門用語が次々に出てきて、結局どれが自分に合うのか分からないままなんてこともあるかと思います。

実は、当社が暗号資産投資家746名を対象におこなった調査では、じっくり資産を育てる「長期保有派」ですら、その59.3%が購入した取引所に資産を預けっぱなしにしていることがわかりました。

本来なら最も慎重に保管したいはずの層でも、これが実態です。取引所での保管は手軽な一方、ハッキングや取引所の破綻によって、大切な資産を失うリスクと隣り合わせでもあります。

とはいえ、ただ安全性だけを重視したウォレットを選ぶと、今度は「使いにくくて取引のたびにストレス」ということにもなりかねません。大切なのは、「安全性」と「使いやすさ」のバランスを、自分の使い方に合わせて見極めることです。

この記事では、暗号資産ウォレットの種類を整理し、最適なウォレットが自然と見つかるように解説します。

暗号資産ウォレットの種類

暗号資産を保有・管理するためのウォレットには、いくつもの種類があります。一口にウォレットといっても、その仕組みや使い勝手、そして安全性は種類ごとに大きく異なります。自分の資産をどこに、どのように置くのかは、暗号資産と付き合ううえで避けて通れない重要な選択です。

数あるウォレットを整理するうえで、まず押さえておきたい大きな分け方が2つあります。一つは「インターネットに接続しているかどうか」という軸、もう一つは「どのような形態で提供されているか」という軸です。この2つの軸で全体像をマッピングすると、次のように整理できます。

形態

ホットウォレット
(ネット接続あり)

コールドウォレット
(ネット接続なし)

ウェブ

ウェブウォレット

アプリ(スマホ)

モバイルウォレット

ソフト(PC)

デスクトップウォレット

専用端末

ハードウェアウォレット

紙・物理

ペーパーウォレット

ウォレットは「ネット接続の有無」によってホットウォレットとコールドウォレットの2グループに分かれ、そのなかでさらに提供形態ごとに枝分かれしていきます。それぞれに向いている使い方や、注意すべきポイントがあるので、各グループの特徴を順番に見ていきましょう。

ホットウォレット(ネット接続あり・利便性重視)

ホットウォレットとは、インターネットに接続された状態で暗号資産を管理するタイプのウォレットの総称です。「ホット」という名前は、常にネットワークとつながって「稼働している状態」をイメージすると分かりやすいでしょう。

最大の魅力は、なんといっても利便性の高さです。送金や受け取り、取引所での売買、DeFiやNFTといったサービスとの連携などをスピーディーにおこなえるため、日常的に暗号資産を使いたい人に適しています。一方で、常にネットにつながっているという性質上、ハッキングや不正アクセスのリスクは、後述しますコールドウォレットよりも高くなる点は理解しておく必要があります。

そんなホットウォレットは、提供される形態によってさらに3つのタイプに分けられます。それぞれ使う場面や手軽さが異なるため、下記で一つずつ確認していきましょう。

ウェブウォレット

ウェブウォレットは、ブラウザ上(Webサイトやブラウザ拡張機能)で利用するタイプのウォレットです。専用のアプリやソフトをインストールする必要がなく、IDとパスワードでログインすればどの端末からでもアクセスできる手軽さが特徴です。

暗号資産取引所が提供するウォレットの多くもこのタイプに含まれ、口座開設と同時に使い始められる点は初心者にとって大きなメリットといえます。ただし、秘密鍵の管理をサービス提供者に預ける形式(カストディアル型)が多く、取引所自体がハッキング被害に遭ったり、サービスが停止したりするリスクは頭に入れておきましょう。

モバイルウォレット

モバイルウォレットは、スマートフォンにアプリをインストールして使うタイプのウォレットです。いつも持ち歩くスマホのなかで資産を管理できるため、外出先での送金や、店舗での支払い、QRコードを使った受け取りなどをスムーズにおこなえます。

ウェブウォレットと比べて、秘密鍵を自分の端末側で管理する(ノンカストディアル型の)ものが多く、自分で資産をコントロールできる点が魅力です。その反面、スマホの紛失・盗難や、不正アプリ・偽アプリの導入によるリスクがあるため、端末そのもののセキュリティ管理が欠かせません。日常的に暗号資産を「使う」場面が多い人にとって、もっとも身近な選択肢となるでしょう。

デスクトップウォレット

デスクトップウォレットは、パソコンに専用ソフトをインストールして利用するタイプのウォレットです。パソコンの大きな画面でじっくり残高や取引履歴を確認できるため、ある程度まとまった資産を腰を据えて管理したい人に向いています。

秘密鍵を自分のパソコン内に保管するため、ウェブウォレットに比べて自分で資産をコントロールしやすい一方、そのパソコンがウイルスやマルウェアに感染すると資産流出の危険があります。また、使っているパソコンが故障した場合に備え、バックアップ(リカバリーフレーズの保管など)を必ずおこなっておくことが重要です。

コールドウォレット(ネット接続なし・安全性重視)

コールドウォレットとは、インターネットから切り離された(オフラインの)環境で暗号資産の秘密鍵を管理するタイプのウォレットの総称です。「コールド」という名前のとおり、普段はネットワークから隔離された状態で資産を保管します。

最大の強みは、その安全性の高さです。秘密鍵をオンラインにさらさないため、ハッキングや不正アクセスによる資産流出のリスクを大幅に抑えられます。長期保有を前提とした資産や、まとまった金額の暗号資産を「守る」用途に非常に適しています。その一方で、送金のたびに手間がかかるなど、日常的な使い勝手の面ではホットウォレットに一歩譲る側面もあります。

このコールドウォレットにも、代表的な形態が二つあります。それぞれ仕組みも管理方法も大きく異なるので、下記で詳しく見ていきましょう。

ハードウェアウォレット

ハードウェアウォレットは、秘密鍵を専用の物理デバイス(USBメモリのような端末)のなかに保管するタイプのウォレットです。送金などの操作をおこなうときだけパソコンやスマホに接続し、承認が終われば再びオフラインに戻せるため、「安全性」と「使いやすさ」のバランスに優れています。

秘密鍵が端末の外に出ない設計になっているため、たとえ接続先のPCがウイルスに感染していても資産を守りやすく、コールドウォレットのなかでは最も実用的な選択肢として多くの利用者に選ばれています。

実際に、当社が暗号資産投資の経験がある286名を対象に実施した独自アンケート調査では、現在ハードウェアウォレットを利用している人が48.6%にのぼり、過去の利用経験まで含めると約8割が導入を経験しているという結果が出ました。

特に20代では利用率が62.0%と高く、また投資額が10万円以上になると利用率が68.3%以上に急増しており、「守るべき資産が増えるほど選ばれるウォレット」であることがうかがえます。利用者の満足度も高く、約6割が「満足」と回答しています。

一方で、購入にはそれなりの費用がかかることに加え、同調査では利用者が感じた不満点として「管理が面倒に感じた(51.3%)」「対応していないサービスや通貨がある(35.7%)」「紛失・故障時のリスク(33.5%)」が上位に挙がりました。

導入をためらう未利用者の理由でも「仕組みがよく分からない(38.7%)」が最多となっており、安全だが少しハードルが高いという実態が浮き彫りになっています。導入する際は、端末本体の紛失・破損に備えてリカバリーフレーズ(復元用の合言葉)を紙などに控えて、厳重に保管しておくことが何よりも重要です。

ペーパーウォレット

ペーパーウォレットは、秘密鍵や公開鍵を紙に書き写して保管する、非常にシンプルなタイプのウォレットです。データとしてネット上やデバイス上に一切残さないため、ハッキングのリスクとは完全に無縁である点が最大の特徴といえます。

大切な資産を紙で保管するなんて本当に大丈夫なのかと疑問に思うかも知れませんが、これは決して時代遅れの珍しい方法ではありません。そもそも「秘密鍵をインターネットから切り離して保管する」という考え方は、暗号資産の保管方法として最も安全性が高いとされており、金融庁に登録された国内の暗号資産取引所でも、預かった資産の多くをオフラインで保管・管理することが求められています。

ペーパーウォレットは、このオフラインでの保管という堅牢な発想を、専用機器も使わず紙一枚で実現した、最もシンプルな形態にあたります。だからこそ、正しく作れば理にかなった保管方法の一つとして成立するのです。実際の作成手順や注意点は「暗号資産のペーパーウォレットの作り方」で詳しく解説しています。

とはいえ、デジタル機器に依存しない究極のオフライン保管である反面、紙そのものが持つ弱点はそのまま抱えることになります。火災や水濡れ、破れ、色あせ、紛失といった物理的なトラブルで紙を失えば、資産にも二度とアクセスできなくなってしまいます。

こうした紙の弱さを補う方法として注目されているのが、秘密鍵やリカバリーを耐火・耐水性に優れた金属板に刻んで保管する方法です。火災や水害にも耐えられるため、紙よりも格段に長期保管に向いています(関連:リカバリーを金属板で保管すべき?|メリット・選び方・記録手順を解説)。

また、安全に作成・保管するには専門的な知識も求められます。そのため、コストよりも確実性を重視するなら、できれば同じオフライン保管でも、より安全に扱えるハードウェアウォレットの利用を検討するのがおすすめです。

カストディ型とノンカストディ型の違い

ウォレットを分類するうえで「ネット接続の有無」と並んでもうひとつ重要な視点があります。それは「秘密鍵を誰が管理するのか」という違いです。この観点で、ウォレットは大きくカストディ型とノンカストディ型の二つに分けられます。

カストディ型は、秘密鍵の管理を取引所などのサービス提供者に預けるタイプです。「カストディ(custody)」とは「保管・管理」を意味する言葉で、ユーザーはIDとパスワードでログインするだけで資産を扱えるため、鍵の管理に神経を使う必要がありません。暗号資産取引所の口座で保有している状態が、その代表例です。手軽で初心者にもやさしい反面、資産の最終的な管理権は自分ではなくサービス提供者側にあることに注意が必要です。

一方のノンカストディ型は、秘密鍵をユーザー自身が管理するタイプです。誰にも預けず、自分の資産を完全に自分でコントロールできるのが最大の魅力です。暗号資産の世界には「Not your keys, not your coins(鍵を持たない者はコインを持っていないのと同じ)」という有名な言葉がありますが、これはまさにノンカストディ型の考え方を表しています。ただし、秘密鍵やリカバリーフレーズの管理責任もすべて自分が負うことになり、紛失すれば資産を取り戻す手段はありません。

どちらが優れているという単純な話ではなく、「手軽さ・サポートを取るか」「自己管理による自由と安全性を取るか」という、目的やスタイルに応じた選択になります。それぞれのメリット・デメリットや、具体的なウォレットの選び方については、「カストディアルウォレットとは?ノンカストディアルとの違いを徹底解説」でより詳しく掘り下げていますので、あわせてご覧ください。

目的別・暗号資産ウォレットの選び方

暗号資産のウォレットには色々な種類があるので「結局はどれを使えばいいのか」と迷うことでしょう。結論からお伝えすると「すべての人にとって最適な唯一のウォレット」は存在しません。なぜなら、ウォレットにはそれぞれ「セキュリティの高さ」「使い勝手の良さ」「対応サービスの幅広さ」といった強みと弱みがあり、どれを重視すべきかは「あなたの使い方」によって変わるからです。

例えば、少額をコツコツ運用したい人と、資産の大半を長期間しまっておきたい人とでは、優先すべきポイントがまったく異なります。だからこそ、暗号資産をどう扱うのかを基準に選ぶことが、失敗しないウォレット選びの一番の近道になります。

そこでまずは、あなたに合うウォレット早見フローチャートを試してみてください。質問に答えていくだけで、あなたのスタイルに近いタイプがひと目で分かるようになっています。

フローチャートで大まかな方向性がつかめたら、続く4つのタイプ別解説で、その理由と具体的な選択肢を確認していきましょう。自分に当てはまる項目はもちろん、当てはまらない項目にも目を通しておくと「将来こういう使い方をするならこのウォレット」といった判断材料になり、選択の精度がぐっと高まります。

初心者・少額投資なら

これから暗号資産を始める方や、まずは無理のない少額から試してみたいという方は、難しい設定や管理が不要で、手軽に使い始められるウォレットから入るのがおすすめです。具体的には、CoincheckやbitFlyerといった「暗号資産取引所が提供するウォレット(取引所ウォレット)」が第一候補になります。

取引所の口座を開設すれば自動的に利用できるため、別途アプリを用意したり、複雑な初期設定をおこなったりする必要がありません。購入・保管・売却までを一つのアプリ内で完結できる手軽さが最大のメリットです。どの取引所を選べばよいか迷った場合は、以下のような金融庁に登録された交換業者のなかから検討するのが安心です。

また、取引所ウォレットは秘密鍵を取引所が管理してくれるため、「自分で鍵を紛失して資産を失う」といった初心者にありがちな失敗を避けやすいのも安心材料です。

ただし、取引所ウォレットは資産の管理を取引所に預ける形になるため、取引所側のトラブル(ハッキングや経営破綻など)の影響を受ける可能性がある点は理解しておきましょう。まずは少額から始め、暗号資産の扱いに慣れてきた段階で、次に紹介するような自分で管理するウォレットへ移行していくのが、無理のないステップアップの流れです。

長期保有(ガチホ)なら

購入した暗号資産を売買せず、数年単位でじっくり保有し続ける、いわゆる「ガチホ」を考えている方は、利便性よりもセキュリティを最優先にウォレットを選ぶべきです。そこで最有力となるのが、ハードウェアウォレットです。

これはLedgerやTrezorに代表される、USBメモリのような専用の物理デバイスで、秘密鍵をインターネットから完全に切り離した状態で保管できます。ネットに接続されていないため、ハッキングによる不正送金のリスクを極めて低く抑えられるのが、長期保有に適している最大の理由です。

長期保有では、資産を頻繁に動かさない代わりに「その間は如何に安全に保管し続けられるか」が重要になります。多少の初期費用(デバイス購入代)や、送金時にひと手間かかることを差し引いても、まとまった資産を守るための金庫として導入する価値は十分にあります。

なお、ハードウェアウォレットを使う際は、初期設定時に表示されるリカバリーフレーズ(復元用の言葉の羅列)を、紙などに書いて厳重にオフライン保管することが必須です。デバイスを紛失・故障させても、このフレーズさえあれば資産を復元できますが、逆にこれを失うと二度と資産を取り戻せなくなる点だけは、必ず覚えておきましょう。

頻繁に取引するなら

相場の変動を見ながら短期で売買を繰り返す方や、複数の銘柄をこまめに入れ替えたい方は、すばやく・スムーズに取引できる利便性を重視してウォレットを選びましょう。

このスタイルに向いているのは、インターネットに常時接続された「ホットウォレット」、なかでも取引所ウォレットです。

取引所ウォレットなら、資産の保管場所と売買の場が同じであるため、「ウォレットから取引所へ送金してから売る」といったタイムラグや手間がなく、値動きのチャンスを逃しにくくなります。スマホアプリからいつでもすぐに注文できるスピード感は、頻繁に取引する人にとって大きな武器です。

一方で、常にネットにつながっているホットウォレットは、その利便性と引き換えに、オフラインで保管するタイプに比べてハッキングなどのリスクが相対的に高くなります。そのため、取引で日常的に動かす分だけをホットウォレットに置き、当面使う予定のない資産は別の安全な場所(ハードウェアウォレットなど)に分けて保管するという使い分けが、リスクを抑えるうえで効果的です。

DeFi・NFTを使うなら

取引所での売買だけでなく、DeFi(分散型金融)でのレンディングやスワップ、NFTの売買・保有といった、より幅広いサービスを活用したい方は、さまざまなdApps(分散型アプリ)と接続できるウォレットが必須になります。

この用途で定番となっているのが、MetaMaskに代表されるWeb3対応のウォレットです。これらは自分で秘密鍵を管理する非カストディアル型のホットウォレットで、ブラウザ拡張機能やスマホアプリからDeFiサービスやNFTマーケットプレイスに直接接続し、署名・取引できるのが特徴です。

取引所ウォレットでは、こうした外部サービスへの接続に対応していないことが多いため、DeFiやNFTの世界に踏み込むなら、この種のウォレットを用意することがほぼ前提となります。

ただし、この自由度の高さは「すべて自己責任」と表裏一体です。悪意のあるサイトへ誤って接続してしまったり、偽サイトでリカバリーフレーズを入力してしまったりすると、資産を一瞬で抜き取られる被害につながります。接続するサイトの正当性を必ず確認する、身に覚えのない署名要求には応じないといった基本を徹底し、ここでもDeFi・NFT用に使う分だけを入れておき、大切な資産は別のウォレットで分けて管理することをおすすめします。

暗号資産ウォレットに関するよくある質問

暗号資産のウォレットにおける種類や選び方を解説してきましたが、実際に使い始めるとなると「これはどうなんだろう?」という細かな疑問が次々と出てくるものです。

そこで、暗号資産ウォレットに関して特に多い疑問をピックアップし、それぞれ簡潔にお答えしていきます。

MetaMask以外のおすすめウォレットは?

MetaMaskは、世界的に利用者の多い定番ウォレットですが、決して唯一の選択肢ではありません。用途によっては、他のウォレットのほうが快適に使える場面もあります

例えば、対応するブロックチェーンの幅広さを重視するなら「Trust Wallet」、セキュリティを最優先してオフラインで資産を保管したいなら「Ledger」などのハードウェアウォレットが候補になります。また、特定の取引所と連携して使いたい場合は、その取引所が提供する公式ウォレットも選択肢に入るでしょう。

大切なのは「有名だから」ではなく、ご自身の目的(DeFiを使うのか・長期保管が中心なのか等)に合っているかどうかです。当記事の前半で紹介した種類別の特徴と照らし合わせながら、最適な一つを選んでみてください。

海外製ウォレットは使っても大丈夫?

結論から言えば、海外製のウォレットであっても、実績と信頼性が確認できるものであれば多くのユーザーに利用されています。前述のMetaMaskをはじめ、広く使われているウォレットの多くは海外で開発されたものです。

ただし、いくつか注意すべき点があります。まず、アプリの表記や公式サポートが日本語に対応していないケースが多く、トラブル時に自力で解決する必要が出てくる点です。また、日本の金融庁の登録を受けた取引所とは異なり、ウォレット自体は法規制の枠外にあることも理解しておく必要があります。

安全に使うためには、公式サイト以外からダウンロードしない、利用者数や運営歴といった実績を事前に確認するといった基本を徹底することが欠かせません。国内・海外を問わず、「提供元が信頼できるか」を見極める姿勢が重要です。

マルチシグウォレットとは?

マルチシグウォレットとは、一回の送金に対して複数の秘密鍵による署名(承認)を必要とするタイプのウォレットのことです。

例えば「三つの鍵のうち二つの署名が揃わないと送金できない」といった設定にすることで、仮に鍵の一つが盗まれても、それだけでは資産を動かされずに済みます。一つの鍵だけで送金できる一般的なウォレットに比べ、盗難や不正送金に対する安全性が格段に高まるのが特徴です。

そのため、法人での資産管理や、複数人での共同管理、あるいは多額の資産を長期保管する場面などで活用されています。一方で設定や運用がやや複雑になるため、初心者がまず使うというよりは、資産管理に慣れてきた段階での選択肢と考えるとよいでしょう。

マルチシグの仕組みや導入するメリット・デメリットについては「暗号資産のマルチシグとは?」で解説していますので、あわせてご覧ください。

取引所が倒産したら資産はどうなる?

取引所に預けている暗号資産は、その取引所が倒産した場合、全額が返還されるとは限らないのが実情です。この点は、暗号資産を保有するうえで必ず理解しておきたいリスクの一つです。

日本国内では、金融庁の登録を受けた取引所に対し、利用者の資産を自社の資産と分けて管理する「分別管理」や、暗号資産の信託保全などが義務付けられており、利用者保護の仕組みは年々強化されています。ただし、これらは銀行預金のように国が一定額を保証する制度(預金保険)とは性質が異なり、必ずしも全額が保護されるわけではない点に注意が必要です。

だからこそ、長期保有する資産や当面動かす予定のない資産については、取引所に預けっぱなしにせず、自分で秘密鍵を管理するウォレットへ移すという考え方が重要になります。「取引所は取引の場、保管は自分のウォレットで」という使い分けを意識しておきましょう。

過去に実際に起きた取引所の破綻事例や、今できる具体的な対策については、別記事の「暗号資産取引所が倒産したら資産はどうなる?実例と今できる対策を解説」をご覧ください。

複数のウォレットを使い分けるべき?

用途に応じて複数のウォレットを使い分けることは、安全性と利便性を両立させるうえで有効な方法です。全ての資産を一つのウォレットにまとめてしまうと、その一つが被害に遭ったとき、全ての資産を失うリスクがあるためです。

一般的な使い分けの例としては、日常的に取引やDeFiで使う少額用の「ホットウォレット」と、長期保管する大切な資産を入れておくオフラインの「コールドウォレット(ハードウェアウォレット)」を分けるという方法があります。「普段使い用の財布」と「金庫」を分けるイメージに近いでしょう。

ただし、管理するウォレットや秘密鍵が増えるほど、その保管や管理の手間も増えていきます。むやみに数を増やすのではなく、「日常用」と「保管用」の二つから始めるなど、ご自身が無理なく管理できる範囲で使い分けることをおすすめします。

まとめ

暗号資産ウォレットには数多くの種類があるものの、その全体像は「ネット接続の有無(ホット/コールド)」と「秘密鍵を誰が管理するか(カストディ型/ノンカストディ型)」という二つの軸で整理できます。そして、どのウォレットが正解かは、その性能ではなく「あなたがどう暗号資産を扱いたいか」によって決まります。

冒頭でお伝えしたとおり、当社の調査では長期保有派の59.3%もの人が、資産を取引所に預けっぱなしにしているのが実態でした。手軽さゆえの選択ではありますが、ハッキングや取引所の破綻といったリスクと隣り合わせであることは忘れてはいけません。だからこそ、「取引所は取引の場で、保管は自分のウォレットで」という使い分けの発想が、大切な資産を守る第一歩になります。

あらためて、目的別の考え方を整理しておきましょう。

  • 初心者・少額投資なら:取引所ウォレット
  • 長期保有(ガチホ)なら:ハードウェアウォレット
  • 頻繁に取引するなら:取引所ウォレット
  • DeFi・NFTを使うなら:MetaMaskなどのWeb3対応ウォレット

そして忘れてはならないのが、これらは「どれか一つを選ぶ」ものではなく、「普段使い用の財布」と「大切な資産をしまう金庫」のように使い分けられるという点です。日常的に動かす資産はホットウォレットに、当面動かさない資産はコールドウォレットにと分けておくだけで、利便性を保ちながらリスクを大きく減らせます。

「安全性」と「使いやすさ」のバランスは、人それぞれの正解があります。フローチャートやタイプ別解説を手がかりに、まずはご自身のスタイルに合った一つを選び、慣れてきたら少しずつ理想の管理方法へと近づけていってください。