2026年7月14日、イーサリアム財団から3つ目のスピンオフとなる新会社EthSystemsが発足した。出資者に名を連ねるのは、イーサリアムを企業の金庫に貯め込む「DAT(デジタル資産トレジャリー)企業」の最大手Bitmineだ。
同社の会長Tom Lee氏は昨年10月、DATバブルはすでに崩壊した可能性があると自ら語った人物である。崩壊を宣告した勝者が、いま非営利財団が担ってきた開発の中枢を静かに買い支えている。企業がコインを買う時代——第1幕——は終わった。始まったのは、企業がエコシステムそのものを養う第2幕である。
第1幕の終幕——mNAV1割れという構造的な死
DATとは、暗号資産の購入・保有を主要事業に据えた上場企業のことだ。2020年にビットコイン購入を始めた米Strategy(旧MicroStrategy)が先駆けで、資産運用大手VanEckの集計では2025年9月時点でDAT企業の保有資産は約1,350億米ドルに達し、その53%をStrategy1社が占めた。模倣者は世界で200社を超えた。
このモデルのエンジンは、株価が保有コインの純資産価値(NAV)を上回る「プレミアム」にある。時価総額がNAVの何倍かを示す指標をmNAVと呼び、これが1を超えている限り、新株を発行して得た資金でコインを買い増せば1株あたりの保有量が増え、さらに株が買われる好循環が回る。だがmNAVが1を割ると、同じエンジンが逆回転する。新株発行は既存株主の価値を削る行為となり、買い増しが止まり、成長の物語が消え、さらに株が売られる。
そして逆回転は、すでに現実になっている。調査会社K33は2025年9月、ビットコイン・トレジャリー企業の4社に1社が純資産割れで取引されていると報告した。2026年6月には本家Strategy自身のmNAVが1を割り込み、ビットコインは一時6万米ドルを下回った。
