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2026年上半期、AIをめぐり4,500万米ドルが消滅——訴える相手がいない中、AI裁判所は答えになるか
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2026年07月23日

2026年上半期、AIをめぐり4,500万米ドルが消滅——訴える相手がいない中、AI裁判所は答えになるか

執筆池池田 将
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AIエージェントに資産運用を任せる時代が、想像より早く来ている。海外ではすでに、AIが自分のウォレットを持ち、相場を判断し、他のAIに代金を支払っている。日本の投資家がその種のサービスに触れるのも、そう遠い話ではない。

しかし委ねる前に、一つだけ確認しておくべきことがある。そのAIが間違えたとき、誰が責任を取るのか。

現時点での答えは「誰も取らない」だ。世界のどの法制度も、この問いに明確な答えを用意していない。そして2026年に入ってから、その空白の中で実際に資産が消える事故が続いている。攻撃されたケースもあれば、誰も攻撃していないのに消えたケースもある。共通しているのは、消えたあとに向かう先がどこにもないという点だ。

技術だけが先に走り、制度が置き去りになった。その空白を、業界は自力で埋めようとしている。2026年7月に立ち上がったのは、1,001体のAIが裁判官を務める「インターネット裁判所」だった。

モールス信号で盗まれた

2026年5月4日に起きた事件から始めたい。

攻撃者はまず、Baseチェーン上でGrokに紐づくウォレットに、無料のNFTを一つ送りつけた。「Bankr Club Membership」というトークンだ。このNFTを保有すると、Bankrbotというエージェント基盤の中でウォレットの権限が自動的に拡張される。送金・スワップなど、それまで制限されていたWeb3の操作が解禁される仕組みだった。

次に攻撃者は、X上でGrokに返信を送った。その内容は、モールス信号で符号化された指示だった。

Grokはそれを解読し、平文にして公開返信の中で@bankrbotをタグ付けした。Bankrbotはその返信を正規の指示として処理し、3億DRBトークン——報道された時価で約17万4,000〜20万米ドル相当——を攻撃者のウォレットへ送金した。

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執筆者

池田 将

1973年大阪生まれ。12歳でIT関連誌への寄稿を始め、20歳の頃からアジア各国やシリコンバレーで新興技術を取材を行う。ベンチャーキャピタルでの技術デューデリジェンス、SI-erやコンサルティングファームの共同創業、ISPインフラや日本初のモバイルウォレット開発などに携わる。

2010年代には、アジアを代表するスタートアップメディアを共同創業し、約15年間運営。現在は、経済産業省のJ-Startup推薦委員、Tokyo Startup GatewayやMASPのメンターを務めるほか、韓国・延世大学で定期的に講義を行う。

2025年からは、「SOCIA」代表、「Growthstock Pulse」を運営するCohhのCCOとして新事業に取り組む。YouTubeやオーディオブック出演、メディア執筆、国内外のカンファレンス登壇など、多方面で活動中。

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