ステーブルコインは、米ドルや日本円の価値に連動するように作られたデジタル通貨で、暗号資産(仮想通貨)の取引でも広く使われています。ただし「安定」は設計上の目標であって、価格が保証されているわけではありません。株式会社Claboが暗号資産の保有経験がある300人に尋ねたところ、ステーブルコインという言葉を聞いたことがある方は77.0%にのぼりました。一方で、価格が「連動先から大きく外れることがある」と正しく答えられた方は19.0%でした。本記事では、価格・発行体・税金の3つについて、どこに誤解があるのかを正誤問題の結果から読み解きます。

この調査でわかったこと

  • ステーブルコインという言葉を聞いたことがある方は77.0%(231人/回答者300人)でした。ただし、説明として正しいものを選べたのは34.3%(103人)です。
  • 価格が「連動先から大きく外れることがある」と正しく答えたのは19.0%(57人)でした。43.0%(129人)は、価格が連動先から外れることはない、または外れても元に戻ると考えています。
  • 海外の発行体が破綻したときの価値を正しく答えたのは27.0%(81人)です。17.3%(52人)は「銀行預金と同じように、公的な制度で一定額まで保護される」と考えていました。
  • ビットコインをステーブルコインに交換したときの税金を正しく答えたのは35.3%(106人)です。13.0%(39人)は「日本円にしていないので、税金はかからない」と答えました。
  • 保有したことがない162人に理由を尋ねると、「仕組みがよく分からない」が42.0%(68人)で最多でした。日本円に連動するステーブルコインについては、31.3%(94人/300人)が「内容が分かれば使ってみたい」と答えています。

これからステーブルコインを持とうとしている方は、記事の後半にある【確認リスト】ステーブルコインを持つ前に確かめたい4つのことから先にお読みください。

本調査の分母

  • 回答者 300人(言葉と銘柄名の認知・正誤問題・保有状況・利用意向の分母)
  • └ ステーブルコインを保有したことがある 113人(37.7%)=保有銘柄・目的・金額・入手方法を尋ねた分母
  • └ 保有したことがない 162人(54.0%)=保有していない理由を尋ねた分母
  • 「保有しているかどうか分からない」と答えた25人(8.3%)には、どちらの設問も尋ねていません。

名前は広まったが、中身の理解は3割台

まず、言葉の認知から見ていきます。「内容まで知っている」は39.3%(118人)、「言葉は聞いたことがあるが、内容は知らない」は37.7%(113人)でした。合わせて77.0%が言葉を聞いたことがあり、「知らない」は23.0%(69人)にとどまります。

「ステーブルコイン」という言葉の認知(単一回答/分母=回答者300人)

回答

%

人数

内容まで知っている

39.3%

118

言葉は聞いたことがあるが、内容は知らない

37.7%

113

知らない

23.0%

69

次に、中身がどこまで伝わっているかを確かめました。ステーブルコインの説明として正しいものを、5つの選択肢から1つ選んでもらっています。正解の「法定通貨の価値に連動するように設計されたデジタル通貨」を選んだのは34.3%(103人)で、「わからない」の34.0%(102人)とほぼ同じ数です。

ステーブルコインの説明として正しいと思うもの(単一回答/分母=回答者300人)

回答

%

人数

法定通貨の価値に連動するように設計されたデジタル通貨(正解)

34.3%

103

わからない

34.0%

102

国や中央銀行が発行するデジタル通貨

11.3%

34

値上がりしにくい代わりに、必ず利息が受け取れるデジタル通貨

10.3%

31

時価総額が上位の主要な暗号資産の総称

10.0%

30

誤答は合わせて31.7%(95人)で、3つの誤りにほぼ1割ずつ分かれました。いずれも、ステーブルコインの定義や性質を取り違えたものです。

  • 国や中央銀行が発行するデジタル通貨は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の説明です。ステーブルコインは主に民間の事業者が発行するもので、中央銀行が発行するものではありません。両者の違いは暗号資産とCBDCの違いで整理しています。
  • 必ず利息が受け取れるという性質は、ステーブルコインにはありません。持っているだけで利息が約束されるわけではなく、利回りを得るにはレンディングなど別のサービスを使うことになり、そこには別のリスクがあります。
  • 時価総額が上位の主要な暗号資産の総称も誤りです。時価総額の大きいステーブルコインはありますが、それは結果であって、ステーブルコインの定義ではありません。

日本の法律上の扱いも確認しておきます。法定通貨に連動し、同じ額で払い戻すことを約束しているステーブルコインは、資金決済法で「電子決済手段」と定められ、暗号資産とは別の区分です(資金決済法 第2条)。一方、アルゴリズムで価値を保とうとする型などは、暗号資産に当たり得ます(金融審議会 資金決済ワーキング・グループ報告)。金融庁も、電子決済手段は国が価値を保証する法定通貨ではなく、価格が変動することがあると注意を呼びかけています(金融庁「電子決済手段等取引業者登録一覧」)。

銘柄の名前についても尋ねました。代表的な5銘柄のうち、1つ以上の名前を知っている方は62.3%(187人)でした。JPYC(30.3%)とUSDT(29.0%)がほぼ並び、USDC(22.7%)とPYUSD(18.3%)は2割前後、DAIは12.7%でした。JPYCは日本円に、ほかの4銘柄は米ドルに連動するように設計されています。

名前を知っているステーブルコイン(複数回答/分母=回答者300人)

銘柄

%

人数

JPYC

30.3%

91

USDT(テザー)

29.0%

87

USDC

22.7%

68

PYUSD

18.3%

55

DAI

12.7%

38

この中に知っているものはない

37.7%

113

ステーブルコインそのものの仕組みや種類は、ステーブルコインとはで詳しく解説しています。

「安定」という名前と実際の値動き|価格の正答は19.0%

この調査で最も正答率が低かったのが、価格についての問題です。正解の「連動先の価格から大きく外れることがある」を選んだのは19.0%(57人)でした。「仕組み上、連動先の価格から外れることはない」が20.0%(60人)、「一時的に外れることはあっても、発行体の調整で元の価格に戻る」が23.0%(69人)で、合わせて43.0%(129人)が、価格は保たれるものだと考えています。「わからない」は38.0%(114人)でした。

ステーブルコインの価格について正しいと思うもの(単一回答/分母=回答者300人)

回答

%

人数

わからない

38.0%

114

一時的に外れることはあっても、発行体の調整で元の価格に戻る

23.0%

69

仕組み上、連動先の価格から外れることはない

20.0%

60

連動先の価格から大きく外れることがある(正解)

19.0%

57

価格が連動先から大きく外れることは「デペッグ」と呼ばれ、実際に起きています。2022年5月には、アルゴリズムで米ドルとの連動を保つ仕組みだったTerraUSD(UST)の連動が崩れ、価格はほぼゼロまで下落しました(米証券取引委員会の発表)。

米ドルの預金や国債を準備資産にしている型でも、外れることはあります。USDCは2023年3月、準備資産のうち33億ドル(総準備金の約8%)を、経営破綻したシリコンバレー銀行に預けていたことが明らかになりました(発行元Circle社の発表)。週末のあいだに価格は最安0.86ドルまで下がりました。日曜日に米当局がシリコンバレー銀行の預金を全額保護すると発表すると価格は大きく戻り、月曜日に払い戻しが再開されてから、1ドルに戻りました(米連邦準備制度理事会の分析)。

「一時的に外れることはあっても、発行体の調整で元の価格に戻る」と答えた23.0%の方にとって、この2つの違いは重要です。USDCが戻ったのは、預け先の銀行の預金が公的な措置で保護されて準備資産の穴が埋まり、払い戻しの再開で1USDCを1ドルに換えられると確かめられたからでした。USTには払い戻しに充てる法定通貨の準備資産がなく、戻りませんでした。元の価格に戻るかどうかは、裏付けとなる資産と、払い戻しに応じられるかどうかに大きく左右されます。USDCのように発行体の外の措置に助けられて戻った例もあり、発行体の調整で必ず戻るわけではありません。

デペッグという言葉そのものについても尋ねました。「言葉も内容も知っている」方は、保有中に経験した方と経験していない方を合わせて40.7%(122人)です。残る59.3%(178人)は「聞いたことがある程度」か「知らない」と答えました。

デペッグ(価格が連動先から大きく外れる現象)の認知(単一回答/分母=回答者300人)

回答

%

人数

言葉も内容も知っており、自分が保有している間に経験したことがある

24.7%

74

言葉も内容も知っているが、自分では経験したことがない

16.0%

48

言葉は聞いたことがある程度

19.7%

59

知らない

39.7%

119

「自分が保有している間に経験したことがある」は24.7%(74人)でしたが、ステーブルコインを保有したことがある方は113人です。この設問は300人全員に尋ねているため、74人がすべて保有経験者とは限りません。仮に全員が保有経験者だとしても、その65.5%がデペッグを経験した計算になります。回答が実際の経験に基づくかを確かめられず、どの出来事を指すかも設問では特定していないため、本記事ではこの24.7%を傾向の根拠には使わず、「言葉も内容も知っている」40.7%として読んでいます。

価格以外の落とし穴|発行体の破綻と税金

価格が外れる原因の1つは、発行体と準備資産です。価格とは別に見落とされやすいのが、ほかの暗号資産から交換したときの税金です。この2つについても、正誤問題で理解度を確かめました。

発行体が破綻したときの価値|17.3%が預金と同じ保護を想定

海外の事業者が発行するステーブルコインについて、発行している事業者が破綻した場合に価値がどうなるかを尋ねました。正解の「発行体の資産状況によっては、価値が大きく下がる可能性がある」を選んだのは27.0%(81人)です。「銀行預金と同じように、公的な制度で一定額まで保護される」が17.3%(52人)、「発行体が資産を管理しているので、基本的に元の価値のまま保たれる」が20.7%(62人)で、38.0%(114人)が価値は守られると考えていました。「わからない」は35.0%(105人)です。

海外の発行体が破綻した場合の価値(単一回答/分母=回答者300人)

回答

%

人数

わからない

35.0%

105

発行体の資産状況によっては、価値が大きく下がる可能性がある(正解)

27.0%

81

発行体が資産を管理しているので、基本的に元の価値のまま保たれる

20.7%

62

銀行預金と同じように、公的な制度で一定額まで保護される

17.3%

52

海外の発行体が破綻したとき、ステーブルコインの価値は、発行体に残った準備資産でどこまで払い戻せるかに左右されます。銀行預金のような公的な保護を前提にはできません。先に見たUSDCの例のように、準備資産の預け先に問題が起きただけでも、価格は連動先から外れます。

日本の制度では、発行する事業者の種類ごとに利用者の資産を守る仕組みが決まっています。銀行が預金として発行する型は預金として保護され、資金移動業者が発行する型は履行保証金の供託などで、信託会社が発行する型は信託で保全されます(金融審議会 資金決済ワーキング・グループ報告)。日本円に連動するJPYCは資金移動業者が発行する型で、預金保険の対象ではありません(資金移動業者に関する内閣府令 第28条)。

海外で発行されたステーブルコインを国内の登録業者が扱う場合には、発行体が債務を履行できなくなったときなどに、業者が額面で買い取る約束と、そのための資産の保全が義務づけられています(電子決済手段等取引業者に関する内閣府令 第30条)。たとえばSBI VCトレードは、1USDCを1米ドルで買い取ると説明しています(同社の電子決済手段取引説明書)。ただし同社の場合、対象は同社に預けている分に限られ、支払いは円で行われるため、為替の変動や両替の費用は残ります。海外の取引所や自分のウォレットで持っている分には、この仕組みは及びません。

発行体ではなく取引所が破綻した場合の扱いは、暗号資産取引所が破綻したらどうなるかで解説しています。

ビットコインから交換したときの税金|13.0%が非課税と誤解

保有しているビットコインをステーブルコインに交換した場合の税金についても尋ねました。正解の「利益が出ていれば、その時点で課税の対象になる」を選んだのは35.3%(106人)で、説明の問題の34.3%と並んで、4つの正誤問題のなかでは高い正答率です。それでも3人に1人ほどにとどまります。「日本円にしていないので、税金はかからない」が13.0%(39人)、「ステーブルコイン同士の交換だけが課税の対象になる」が16.7%(50人)で、誤答は合わせて29.7%(89人)でした。「わからない」は35.0%(105人)です。

ビットコインから交換した場合の税金(単一回答/分母=回答者300人)

回答

%

人数

利益が出ていれば、その時点で課税の対象になる(正解)

35.3%

106

わからない

35.0%

105

ステーブルコイン同士の交換だけが課税の対象になる

16.7%

50

日本円にしていないので、税金はかからない

13.0%

39

国税庁のFAQに、個人がビットコインをステーブルコインに換える場合を直接扱った問はありません。ただしFAQは、暗号資産で別の暗号資産や商品を手に入れた場合、手放した暗号資産を譲渡したものとして所得を計算すると説明しています(国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて」FAQの問1-2・問1-3)。この原則から、ステーブルコインを受け取る場合も、手放すビットコインは同じ扱いになります。日本円に換えていなくても、交換した時点の価額が取得価額(購入にかかった金額)を上回っていれば、その差額が所得になります。

「値動きの小さいものに換えただけ」という感覚と、税金の扱いは一致しません。暗号資産の所得は原則として雑所得で、損失が出ても給与などほかの所得とは差し引きできません(同FAQ 問2-2・問2-11)。申告の流れは暗号資産の確定申告で、暗号資産どうしを交換したときの課税がどこまで知られているかは暗号資産の税金に関する認知度調査で扱っています。個別の取引の扱いは、税理士または税務署にご確認ください。

持っている人と持っていない人の実像

保有経験は37.7%、「分からない」も8.3%

ステーブルコインを現在保有している方は17.7%(53人)、過去に保有していた方は20.0%(60人)で、保有経験があるのは37.7%(113人)でした。保有したことがない方は54.0%(162人)です。

ステーブルコインの保有状況(単一回答/分母=回答者300人)

回答

%

人数

現在保有している

17.7%

53

過去に保有していた(現在は保有していない)

20.0%

60

保有したことはない

54.0%

162

保有しているかどうか分からない

8.3%

25

目を引くのは、「保有しているかどうか分からない」と答えた8.3%(25人)です。海外の取引所には、ステーブルコインを介して暗号資産を売買する形の取引が多くあります。こうした取引所を使っていると、自分で買ったという意識がないまま、口座にステーブルコインが残っている可能性があります。心当たりのある方は、口座の残高一覧を一度確認しておくと安心です。

保有者の銘柄と目的は分散

ステーブルコインの保有経験がある113人には、銘柄・目的・金額・入手方法を尋ねました。このうち銘柄・目的・入手方法の3つは、選択肢の間の差が小さく、特定の銘柄や目的に偏ってはいませんでした。銘柄はJPYC(35.4%)、USDT(34.5%)、USDC(34.5%)がほぼ並んでいます。

保有している(していた)銘柄(複数回答/分母=ステーブルコインの保有経験がある113人)

銘柄

%

人数

JPYC

35.4%

40

USDT(テザー)

34.5%

39

USDC

34.5%

39

PYUSD

24.8%

28

DAI

22.1%

25

その他の銘柄

7.1%

8

銘柄までは覚えていない

10.6%

12

保有する目的も、6つの選択肢が24.8%〜38.1%の範囲に分かれました。

ステーブルコインを保有する目的(複数回答/分母=ステーブルコインの保有経験がある113人)

目的

%

人数

値上がりを期待して

38.1%

43

レンディングやステーキングで利回りを得るため

34.5%

39

値動きの大きい暗号資産からの一時的な避難先として

29.2%

33

DeFiやNFTの取引で使うため

26.5%

30

海外への送金や決済のため

25.7%

29

海外取引所で売買するための元手として

24.8%

28

その他

1.8%

2

特に目的はない

4.4%

5

連動先の価格に連動するように設計されたステーブルコインで「値上がりを期待して」(38.1%)が挙がるのは、意外に見えます。ただし米ドルに連動する銘柄は、円で見ると為替によって値動きします。SBI VCトレードも、外国通貨で表示される電子決済手段は為替の変動で円での換算価値が下がる可能性があると説明しています(SBI VCトレードのUSDCの説明)。この回答には、円安による円換算額の上昇を期待したものが含まれている可能性があります。レンディングで利回りを得る方法とリスクは、ステーキングとレンディングの比較で扱っています。

最も多く保有していた時点の合計額は、10万円以上が67.3%(76人)、50万円以上が40.7%(46人)でした。入手方法は、「キャンペーンや報酬として受け取った」(38.9%)、「国内の暗号資産取引所で購入した」(38.1%)、「DEX(分散型取引所)で暗号資産と交換した」(34.5%)の3つが並びました。

最も多く保有していた時点の合計額(単一回答/分母=ステーブルコインの保有経験がある113人)

金額

%

人数

1万円未満

8.0%

9

1万円以上10万円未満

22.1%

25

10万円以上50万円未満

26.5%

30

50万円以上100万円未満

29.2%

33

100万円以上

11.5%

13

覚えていない

2.7%

3

ステーブルコインの入手方法(複数回答/分母=ステーブルコインの保有経験がある113人)

入手方法

%

人数

キャンペーンや報酬として受け取った

38.9%

44

国内の暗号資産取引所で購入した

38.1%

43

DEX(分散型取引所)で暗号資産と交換した

34.5%

39

海外の暗号資産取引所で購入した

23.9%

27

他の人から送ってもらった

21.2%

24

その他

0.9%

1

覚えていない

4.4%

5

持たない理由は「仕組みがよく分からない」が42.0%

保有したことがない162人に理由を尋ねると、「仕組みがよく分からない」が42.0%(68人)で、次に多い「使う場面がない」(22.8%)と「買い方が分からない」(21.6%)を大きく上回りました。仕組みや買い方が分からないという知識の不足が、保有の手前で壁になっている様子がうかがえます。

ステーブルコインを保有していない理由(複数回答/分母=保有したことがない162人)

理由

%

人数

仕組みがよく分からない

42.0%

68

使う場面がない

22.8%

37

買い方が分からない

21.6%

35

値上がりが期待できないため魅力を感じない

15.4%

25

発行体や安全性が不安

14.8%

24

日本国内では買えないと思っていた

8.0%

13

その他

8.6%

14

「日本国内では買えないと思っていた」は8.0%(13人)でした。実際には、国内でも登録を受けた業者での取扱いが始まっています。SBI VCトレードは2025年3月に電子決済手段等取引業者の登録を受けてUSDCの取扱いを始め、2026年8月にはコインチェックが2社目の登録を受けました(金融庁「電子決済手段等取引業者登録一覧」)。一方、USDTとPYUSDは、2026年9月時点で国内の登録業者での取扱いを確認できません。なお、DAIは電子決済手段ではなく暗号資産として、国内の暗号資産交換業者でも扱われています(金融庁「暗号資産交換業者登録一覧」)。

日本円連動の利用意向|「内容が分かれば使ってみたい」が31.3%

最後に、日本円に連動するステーブルコイン(JPYCなど)を使いたいかを尋ねました。最も多かったのは「内容が分かれば使ってみたい」の31.3%(94人)です。「内容を理解しており、使ってみたい」の20.0%(60人)と合わせると、51.3%(154人)が使ってみたいと答えています。「すでに使っている」は9.0%(27人)、「使いたいとは思わない」は21.0%(63人)でした。

日本円連動ステーブルコインの利用意向(単一回答/分母=回答者300人)

回答

%

人数

すでに使っている

9.0%

27

内容を理解しており、使ってみたい

20.0%

60

内容が分かれば使ってみたい

31.3%

94

使いたいとは思わない

21.0%

63

わからない

18.7%

56

日本円に連動するステーブルコインが、法律上の「電子決済手段」として国内で発行されるようになったのは2025年からです。JPYCは2025年8月に資金移動業者の登録を受け(金融庁「資金移動業者登録一覧」)、10月に電子決済手段としての発行を始めました。以前から発行されているJPYC Prepaidとは別のもので、JPYC社は両者を全く異なるものと説明しています。2026年6月には、SBI新生信託銀行が発行する信託型のJPYSCも、SBI VCトレードの口座内で扱われるようになりました。

「内容が分かれば」と答えた31.3%の方は、関心はあっても、内容がまだ分からないと感じている方々です。ここまで見てきた価格・発行体・税金の3つは、使うかどうかを判断するための材料になります。次の確認リストに、持つ前に確かめたい点をまとめました。

【確認リスト】ステーブルコインを持つ前に確かめたい4つのこと {#check-list}

本調査の正誤問題で誤解が多かった点に、円で見たときの値動きを加えて、確認する順に並べました。すでに保有している方も、手元の銘柄について確かめてみてください。

A:連動の仕組みと過去のデペッグ

  • 何に連動しているか(米ドルか日本円か)と、連動を保つ仕組み(法定通貨や国債などの準備資産を持つ型か、暗号資産を担保にする型か、アルゴリズムで調整する型か)を確認してください。
  • アルゴリズムで連動を保つ仕組みで、払い戻しに充てる法定通貨の準備資産がなかったUSTは、連動が崩れたあと元に戻りませんでした。本調査で価格の問題に正答した方は19.0%でした。
  • 過去に連動が外れたことがあるか、そのとき何が起きて、どう戻ったかを調べておくと、その銘柄の弱点が見えます。

B:発行体と破綻時の扱い

  • 誰が発行しているか、準備資産をどこに、どう置いているかを、発行体の公式サイトで確認してください。
  • 海外で発行された銘柄を国内の登録業者に預けている場合は、発行体が破綻したときなどに業者が額面で買い取る仕組みがあります。海外の取引所や自分のウォレットに移した分は対象外です。
  • JPYCのように国内の資金移動業者が発行する型は、履行保証金の供託などで保全されますが、預金保険の対象ではありません。
  • 破綻時の価値の問題に正答した方は27.0%でした。銀行預金と同じように公的な制度で保護されると考えた17.3%の方は、特に確認をおすすめします。

C:円で見たときの値動き

  • 米ドルに連動する銘柄は、ドル建てでは安定していても、円建てでは為替で値動きします。円安なら円換算額は増え、円高なら減ります。
  • 日本円で使う予定のお金を置いておく場所としては、この値動きを前提に考える必要があります。

D:交換したときの税金

  • 国税庁FAQの原則に沿えば、ビットコインなどをステーブルコインに交換した時点で、手放した暗号資産の値上がり分が所得になります。日本円に換えていなくても同じです。
  • 税金の問題に正答した方は35.3%でした。交換のたびに、日付・数量・円換算額を記録しておくと、確定申告の計算が楽になります。
  • 計算と申告の流れは暗号資産の確定申告で確認できます。

まとめ:「安定」は設計上の目標

ステーブルコインという言葉は、暗号資産の保有経験がある方の77.0%に届いていました。しかし、説明として正しいものを選べたのは34.3%で、価格が連動先から大きく外れうると答えられたのは19.0%です。名前の広がりに対して、中身の理解が追いついていません。

誤解の中身は、価格・発行体・税金の3つに分かれます。43.0%は価格が保たれるものだと考え、38.0%は発行体が破綻しても価値が守られると考えていました。税金の問題には35.3%が正答しましたが、13.0%は日本円にしなければ課税されないと答えています。USDCが0.86ドルまで下がり、USTがほぼゼロになったように、「安定」は発行体と準備資産があって初めて成り立つ設計上の目標です。

一方で、保有したことがない方の42.0%は「仕組みがよく分からない」ことを理由に挙げ、日本円連動の銘柄は31.3%が「内容が分かれば使ってみたい」と答えています。仕組みを知ることは、避けるためだけでなく、納得して使うための準備でもあります。持つ前に、確認リストの4点を確かめておくことをおすすめします。

調査概要と数値の読み方

調査名:ステーブルコインの認知・保有実態調査

調査主体:株式会社Clabo

調査方法:インターネットリサーチ(モニタパネル)

調査期間:2026年9月16日

調査対象:暗号資産を現在保有している、または過去に保有していた方

有効回答数:300

回答者の構成:男性233人(77.7%)、女性67人(22.3%)です。年代は40代30.7%、50代24.7%、60代以上21.3%、30代17.3%、20代6.0%で、40代以上が76.7%を占めます。既婚61.0%・未婚39.0%で、職業は会社員(正社員)が60.0%です。

回答者の暗号資産の投資歴(単一回答/分母=回答者300人)

投資歴

%

人数

半年未満

16.3%

49

半年以上1年未満

16.0%

48

1年以上3年未満

26.0%

78

3年以上5年未満

15.3%

46

5年以上

26.3%

79

回答者の現在の暗号資産の保有額(単一回答/分母=回答者300人)

保有額

%

人数

10万円未満

22.7%

68

10万円以上50万円未満

18.3%

55

50万円以上100万円未満

18.7%

56

100万円以上500万円未満

13.7%

41

500万円以上

9.3%

28

現在は保有していない

17.3%

52

回答者の暗号資産の投資スタイル(単一回答/分母=回答者300人)

投資スタイル

%

人数

長期保有が中心

41.3%

124

数か月単位の売買

25.3%

76

短期売買が中心

7.3%

22

決めていない

26.0%

78

数値の読み方について、7点を補足します。

  • 本調査は設問ごとに分母が変わります。回答者300人、ステーブルコインの保有経験がある113人、保有したことがない162人の3種類がありますので、割合はすべて何を100%としたかを明示しています。
  • 正誤問題(ステーブルコインの説明・価格・発行体の破綻・税金の4問)の正解は、本記事で示した制度や事例に基づいて判定しています。
  • 言葉を「内容まで知っている」と答えた方(39.3%)と、説明の問題に正答した方(34.3%)は、同じ人たちとは限りません。本記事では両者を回答者ごとに突き合わせていません。
  • 複数回答の設問(名前を知っている銘柄、保有している銘柄、保有する目的、入手方法、保有していない理由)は、各項目の人数を足し合わせても分母にはなりません。
  • ステーブルコインの保有経験がある113人に尋ねた銘柄・目的・入手方法は、選択肢の間の差が小さいため、本記事では順位をつけていません。性別に分けると女性は27人となり、分母が50人を下回るため参考値の扱いになります。本記事では性別の比較を扱っていません。
  • 回答者の76.7%が40代以上で、20代は18人です。結果はこの年代構成を反映しています。
  • 図解の割合は小数第2位まで表示しています。本文と表の割合は、人数を分母で割って小数第1位に丸めた値ですので、図解の表示と末尾の桁が異なる場合があります。

主な調査設問

本調査で実際に尋ねた設問は次のとおりです。SAは単一回答、MAは複数回答を表します。

  • 対象条件:暗号資産を現在保有している、または過去に保有していた方
  • Q1 「ステーブルコイン」という言葉の認知(SA)
  • Q2 ステーブルコインの説明として正しいと思うもの(SA)
  • Q3 名前を知っているステーブルコイン(MA)
  • Q4 ステーブルコインの価格について正しいと思うもの(SA)
  • Q5 デペッグ(価格が連動先から大きく外れる現象)の認知(SA)
  • Q6 ステーブルコインの保有状況(SA)
  • Q7 保有している(していた)銘柄(MA)
  • Q8 保有する目的(MA)
  • Q9 最も多く保有していた時点の合計額(SA)
  • Q10 入手方法(MA)
  • Q11 保有していない理由(MA)
  • Q12 海外の事業者が発行するステーブルコインで、発行体が破綻した場合の価値(SA)
  • Q13 保有しているビットコインをステーブルコインに交換した場合の税金(SA)
  • Q14 日本円に連動するステーブルコイン(JPYCなど)の利用意向(SA)
  • Q15〜Q17 暗号資産の投資歴・現在の保有額・投資スタイル(SA)
  • 属性:年代/性別/居住地/未既婚/職業/業種/世帯年収/居住形態/子どもの有無

Q7〜Q10はQ6で「現在保有している」「過去に保有していた」と答えた方に、Q11は「保有したことはない」と答えた方に尋ねました。設問文の全文や、本記事に掲載していない集計についてはお問い合わせください。

本調査データの引用について

本記事の調査結果は、出典を明記いただければ引用・転載いただけます。図表もあわせてご利用いただけます。

出典:株式会社Clabo「ステーブルコインの認知・保有実態調査」(2026年9月/有効回答300)

Webメディア・ニュース記事でご利用の場合は、あわせて本記事へのリンクをお願いいたします。本調査は設問ごとに分母が異なりますので、数値を引用される際は母数を必ず併記してください。とくに保有銘柄・目的・金額・入手方法はステーブルコインの保有経験がある113人、保有していない理由は保有したことがない162人が分母であり、回答者300人を分母にした数値ではありません。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、投資助言・税務助言ではありません。特定の銘柄の購入や保有を勧めるものではありません。税金の扱いや個別の取引については、税理士または税務署にご確認ください。

掲載している数値は回答者の自己申告に基づくアンケート結果であり、実際の保有状況や理解度と一致することを保証するものではありません。調査結果は2026年9月時点の回答に基づきます。制度や事例の記述は2026年9月時点の情報です。