暗号資産(仮想通貨)の税金は日本円に換えたときにかかるものだと、考えている人は多いのではないでしょうか。しかし、税金がかかる場面は、それだけではありません。たとえば、持っている暗号資産を別の暗号資産に交換したときです。暗号資産で買い物をしたときや、ステーキング報酬を受け取ったときも当てはまります。これらの場面でも、利益が出ていれば税金の対象になることがあります。

暗号資産を持っている、または過去に持っていた300人に調査しました。「売って日本円にした」ときに税金がかかると答えた人は60.33%。これに対して「暗号資産どうしを交換した」ときは42.67%にとどまりました。交換は、回答者の5人に1人が実際にやっている取引です。それでも、税金がかかる場合があると答えた人は半数に届きませんでした。

さらに、税金がかかると知らないまま、これらのどれかをしていた人が29.67%いました。その人たちが税金に気づいた時期を見ると、79.78%は確定申告の準備中か、申告を終えたあとです。つまり、取引をやり直せなくなってから気づいています。

この記事では、調査データをもとに次の点を順に見ていきます。7つの場面で税金の認識がどこまで揃っているか、知らないまま進めていた人がいつ気づいたか、そして税金がかかるタイミングを知ったあとに取引のしかたが変わったかです。

暗号資産どうしの交換に税金がかかると理解しているのは42.7%のみ

暗号資産の扱い方は、1つではありません。売ることもあれば、別の銘柄に交換することもあります。買い物の支払いに使ったり、自分のウォレットへ移したりすることもあります。そして、税金がかかるかどうかは、このうちどれをしたかで変わります。

そこで本調査では、300人に7つの場面を1つずつ示し、「税金が発生すると思うか」を尋ねました。すると回答は場面によってはっきり分かれ、多くの人が判断できた場面もあれば、迷いが残った場面もありました。まずは、その分かれ方から見ていきます。

行為によって「発生する」の回答は27%〜60%まで開く

「税金が発生する」と答えた人の割合は、場面によって大きく開きました。最も高いのは「売って日本円にした」の60.33%(181人)、最も低いのは「買って、そのまま保有している」の27.33%(82人)です。

行為

発生する

発生しない

わからない

買って、そのまま保有している

27.33%(82人)

53.00%(159人)

19.67%(59人)

売って日本円にした

60.33%(181人)

23.33%(70人)

16.33%(49人)

暗号資産どうしを交換した

42.67%(128人)

33.67%(101人)

23.67%(71人)

暗号資産で買い物をした

45.00%(135人)

36.33%(109人)

18.67%(56人)

自分のウォレットに送金した

34.33%(103人)

44.67%(134人)

21.00%(63人)

ステーキング報酬を受け取った

49.67%(149人)

23.67%(71人)

26.67%(80人)

暗号資産でNFTを購入した

38.67%(116人)

36.33%(109人)

25.00%(75人)

ただし、この7つは税金の扱いが同じではありません。たとえば、買った暗号資産をそのまま持っているだけなら、まだ売っていないので利益は出ていません。自分のウォレットへ移しただけの場合も、置き場所を変えただけです。どちらも原則として、それだけでは税金の計算は必要ありません。そのため、この2つで「発生する」と答えた人が少ないことは、間違いではありません。

一方、残る5つは違います。売却・交換・買い物・NFT購入は、持っていた暗号資産を手放す取引です。ステーキング報酬は、新しく暗号資産を受け取る取引です。どちらも利益が出ることがあるため、税金がかかるかどうかの確認が必要になります。

しかし、この5つのうち「発生する」と答えた人が6割に届いたのは、「売って日本円にした」だけでした。交換・買い物・ステーキング報酬・NFT購入では、いずれも半数に届きません。

つまり、多くの人が「日本円を受け取ったときだけ税金がかかる」と考えているようです。では、なぜ交換はこれほど見落とされるのでしょうか。たとえば、Aコインを持っている人が、それをBコインに交換したとします。このとき手元に増えるのはBコインだけで、日本円は1円も入ってこないため、税金とは無関係のように見えます。しかし税金の計算では、この人はAコインを手放したものとして扱われます。そのため、Aコインの値段が買ったときより上がっていれば、その差額は利益として所得の計算に含まれ、日本円を受け取っていなくても原則として課税対象になります。

どの行為にも「わからない」が2割前後残る

もう1つ見過ごせないのが、「わからない」という回答です。7つのどの場面でも2割前後の人が判断できておらず、最も少ない「売って日本円にした」でも、16.33%(49人)が「わからない」と答えました。

「わからない」が特に多かったのは、ステーキング報酬の受け取り・NFTの購入・暗号資産どうしの交換の3つです。この3つには共通点があります。どれも、取引のどこにも日本円が出てきません。現金が手元に入らない取引だと、税金と結びつけて考えるきっかけがないのかもしれません。

「発生する」「発生しない」と答えた人は、正しいかどうかは別として、自分で判断はしています。しかし「わからない」と答えた人は、その手前で止まっています。判断する材料がなければ、暗号資産を動かす前に調べようとも思いません。

税金がかかると知らないまま行為をした経験がある人は29.7%

ここまでは、「税金が発生すると思うか」という認識の話でした。しかし、頭で考えていることと、実際にやっていることは必ずしも同じではありません。そこで本調査では、同じ7つについて、実際にしたことがあるかどうかも尋ねました。

7つのうちいくつを経験しているか、税金がかかると知らないまま手をつけてしまった人がどれくらいいるかを、順に見ていきます。

経験者222人の平均行為数は2.13種類

回答者に、実際にしたことがあるものをすべて選んでもらいました。最も多かったのは「買って保有している」の48.33%(145人)で、次いで「売って日本円にした」が34.33%(103人)でした。

図中・本文・下表の割合は、いずれも人数を分母で割った値を小数第2位まで示しています。

回答

人数

割合

買って保有している

145

48.33%

売って日本円にした

103

34.33%

暗号資産どうしを交換した

60

20.00%

自分のウォレットに送金した

56

18.67%

暗号資産で買い物をした

45

15.00%

ステーキング報酬を受け取った

44

14.67%

NFTを購入した

20

6.67%

どれもしたことがない

78

26.00%

残りの5つ、つまり交換・送金・買い物・ステーキング報酬・NFT購入は、いずれも2割以下でした。また、「どれもしたことがない」と答えた人は26.00%(78人)です。

この設問は複数回答のため、各項目の人数を合計しても300人にはなりません。7項目の合計は473件で、これを何かしら経験のある222人で割ると、1人あたり平均2.13種類という計算になります。つまり、買って持っているだけで終わる人は少数派であり、やることの種類が増えれば、税金がかかるかどうかを判断する場面もその分だけ増えます。

ここで注目したいのが、暗号資産どうしの交換です。実際に交換したことがある人は60人(20.00%)と、5人に1人が経験しているのに対し、前の章で見たとおり、交換で税金が発生すると答えた人は半数に届きませんでした。つまり、自分でやったことがある取引でも、税金の扱いまで知っているとは限りません。ただし本調査は、「交換したことがある人」が実際にどう答えたかまでは集計していないため、この60人自身の認識を示す数字ではない点にご注意ください。

女性は40.98%と、男性26.78%より統計的に高い

次に、税金が発生すると知らないまま、これらをしたことがあるかを尋ねました。300人全体では、「ある」と答えた人が29.67%(89人)。「ない」は54.33%(163人)、「わからない」は16.00%(48人)でした。

回答

人数

割合

ある

89

29.67%

ない

163

54.33%

わからない

48

16.00%

この回答を性別で分けると、差が現れました。「ある」と答えた人は男性が26.78%(239人中64人)だったのに対し、女性は40.98%(61人中25人)と高くなっています。この差は、たまたま生じたばらつきでは説明できず、統計的に意味のある差(有意差)だといえます。

ただし、注意点があります。本調査の回答者は男性239人・女性61人で、8割が男性です。そのため、この記事の割合を、暗号資産を持つ人全体にそのまま当てはめることはできません。とはいえ、これは回答者の人数構成の話です。いま述べた男女差そのものを否定するものではありません。

「わからない」と答えた16.00%(48人)も気になります。この人たちは、自分が過去にした取引に税金がかかるのかどうかを、いまも判断できていません。「ある」と答えた89人には、少なくとも自覚があります。しかしこの48人は、その自覚の手前にいます。

気づくのは「確定申告の準備中」「終えたあと」が8割

税金が発生すると知らないまま取引をしていた89人に、税金がかかると気づいたのはいつかを尋ねました。答えは「確定申告の準備をしているとき」と「確定申告を終えたあと」に集中しています。この2つを合わせると79.78%(71人)。8割が、その年の取引をすべて終えたあとで気づいていました。

回答

人数

割合

確定申告の準備をしているとき

41

46.07%

確定申告を終えたあと

30

33.71%

税務署から連絡を受けたとき

6

6.74%

まだ対応していない

12

13.48%

その他

0

0%

同じ「あと」でも、この2つは状況が違います。準備中に気づいた人(46.07%・41人)は、これから出す申告書に反映できます。しかし、終えたあとに気づいた人(33.71%・30人)は、すでに出した申告書をどうするかから考えることになります。

「税務署から連絡を受けたとき」と答えた人は6人(6.74%)でした。人数は少ないものの、自分で気づく前に外から指摘された人が実際にいます。

また、「まだ対応していない」と答えた人が13.48%(12人)います。税金がかかると気づいてはいるものの、手をつけられていない状態です。なお、本調査はこの12人がその後どうしたかまでは尋ねていません。

4つの回答に共通するのは、取引をした時点では気づいていなかったという点です。確定申告の時期は取引から数か月あとにやってくるため、そのとき手元に残っているのは、終わった取引の記録だけです。つまり、取引のやり方を選び直せるのは、暗号資産を動かす前だけだといえます。

課税タイミングを知って「行動を変えた」人は23.0%にとどまる

次に、税金がかかるタイミングを知ったことで、取引のしかたを変えたかを300人全員に尋ねました。「変えた」と答えた人は23.00%(69人)。4人に1人に届きません。

回答

人数

割合

変えた

69

23.00%

変えようと思っているが、まだ変えていない

83

27.67%

変えていない

84

28.00%

知る前と変わらない

64

21.33%

残りの回答は、「変えようと思っているが、まだ変えていない」が27.67%(83人)、「変えていない」が28.00%(84人)、「知る前と変わらない」が21.33%(64人)でした。このうち前の2つを合わせると、半数を超えます。

なかでも注目したいのが、「変えようと思っているが、まだ変えていない」と答えた3割近くの人です。この人たちは無関心なわけではなく、変える必要は感じているものの、実行に移せていません。取引のしかたを変えるには、どの取引に税金がかかるかを整理し、記録の残し方を決める手間がかかります。ただし本調査は、実行に移せていない理由までは尋ねていません。

ただし、この設問には注意点があります。「税金がかかるタイミングを知っている」ことを前提にした聞き方だからです。あとで見るとおり、同じ300人のなかには、そのタイミングを知らなかったと答えた人も含まれています。そのため、ここでの回答が、全員が正しく理解したうえでの行動だとは限りません。

過去の申告漏れを不安視する人は5割

続いて、過去の取引に申告し忘れがあるかもしれないと感じるかを尋ねました。「よくある」が14.00%(42人)、「ときどきある」が36.00%(108人)。この2つを合わせると**50.00%**です。ちょうど半数の人が、過去の申告に不安を抱えています。

回答

人数

割合

よくある

42

14.00%

ときどきある

108

36.00%

ない

93

31.00%

考えたことがない

57

19.00%

一方、「ない」と答えた人は31.00%(93人)、「考えたことがない」と答えた人は19.00%(57人)でした。この2つは、似ているようで意味が違います。「ない」と答えた人は、自分の取引を振り返ったうえで答えている可能性があります。しかし「考えたことがない」と答えた人は、そもそも振り返っていません。不安を感じている5割の人よりも、この57人のほうが自分の状況をつかみにくい位置にいます。

なお、不安を感じていることと、実際に申告漏れがあったこととは別です。本調査は、その不安の中身や、本当に漏れがあったかどうかまでは尋ねていません。ただ、ここまで見てきたとおり、どこから税金がかかるかの線引きは人によって大きく違います。本調査で確認できたのは、この線引きのばらつきと、過去の申告に対する不安が同時に存在するという事実です。

課税タイミングを知った情報源は暗号資産メディアが最多、それでも21%は「知らなかった」

最後に、課税されるタイミングをどこで知ったかを見ていきます。最も多かったのは「暗号資産のメディア・ブログ」で**25.33%(76人)**でした。

回答

人数

割合

暗号資産のメディア・ブログ

76

25.33%

知らなかった

63

21.00%

国税庁の資料

42

14.00%

税理士などの専門家

37

12.33%

SNS

33

11.00%

取引所からの案内

32

10.67%

損益計算ツール

17

5.67%

その他

0

0%

次に多いのは「国税庁の資料」14.00%(42人)、「税理士などの専門家」12.33%(37人)です。つまり、国の公式な資料や税の専門家、取引所からの案内よりも、メディア・ブログで知った人のほうが多いということです。暗号資産の税金について、実際に誰が説明役を担っているかが表れています。

そして「知らなかった」と答えた人が**21.00%(63人)**います。これはメディア・ブログに次ぐ多さです。調査に答えた時点でも、5人に1人は税金がかかるタイミングを知りませんでした。

ここで1つ注意点があります。この21.00%は、先に見た「知らないまま取引をしていた29.67%」とは別の設問への回答です。21.00%は「いま知っているかどうか」、29.67%は「過去に経験があるかどうか」を尋ねています。聞いている内容も時期も違うため、2つを足したり、同じ「理解していない人の割合」として並べたりはできません。

なお、この63人は、取引のしかたを変えたかを尋ねた設問にも答えています。つまりその設問の回答には、税金がかかるタイミングを知らないまま答えた人の分も含まれている可能性があります。行動を変えるかどうか以前に、そもそも情報が届いていない人が残っています。

まとめ

暗号資産に税金がかかるタイミングの理解は、何をしたかによって大きく開きました。「売って日本円にした」で税金が発生すると答えた人は60.33%(181人)。一方、暗号資産どうしの交換では42.67%(128人)にとどまります。日本円が動かない取引だと、多くの人は税金と結びつけて考えていません。判断できずに「わからない」と答えた人も、7つのどの場面でも2割前後いました。

実際の経験と理解のあいだにも、ずれがありました。何かしら経験のある222人は、平均2.13種類の取引をしています。そして、税金が発生すると知らないまま取引をしていた人は29.67%(89人)。この割合は男性26.78%に対し、女性40.98%と高く、統計的に意味のある差が確認できました。

その89人が税金に気づいたのは、79.78%(71人)が確定申告の準備中か、申告を終えたあとです。つまり、取引をした時点ではなく、申告の場面で初めて気づいています。

そして、税金がかかるタイミングを知って取引のしかたを「変えた」人は23.00%(69人)にとどまりました。「変えようと思っているが、まだ」27.67%(83人)と「変えていない」28.00%(84人)を合わせると半数を超えます。過去の申告に漏れがあるかもしれないと感じる人も50.00%に達しました。

情報源としては暗号資産のメディア・ブログが25.33%(76人)で最も多く、国税庁の資料14.00%(42人)や税理士などの専門家12.33%(37人)を上回っています。それでも「知らなかった」が21.00%(63人)残りました。

この調査から見えてくるのは、次のことです。税金がかかるかどうかを確認すべき場面は、日本円に換える瞬間だけではありません。暗号資産どうしの交換、買い物での支払い、ステーキング報酬の受け取り、NFTの購入も、利益が出ていないかを確認する対象になり得ます。そして、その確認ができるのは、暗号資産を動かす前だけです。取引の内容と日時、そのときの価格を記録に残しておけば、あとから慌てずに済みます。個別の税額の計算や、申告が必要かどうかについては、税務署または税理士などの専門家にご確認ください。

調査概要と数値の読み方

アンケート名 暗号資産に税金がかかるタイミングの理解度調査

調査期間 2026年8月12日(1日間)

調査対象 暗号資産を保有している、または過去に保有していた方

有効回答数 300人(男性239人・女性61人)

調査方法 Webアンケートパネル(モニタリスト会員)によるインターネット調査

本記事の数値は、次の前提のもとでお読みください。

  • 回答者の構成は男性239人・女性61人と男性に偏っています。全体の割合を暗号資産の保有者全般にそのまま当てはめる際は、この偏りに留意が必要です。なお、男女間で確認された差の有無については、回答者構成とは別に判断しています。
  • 7つの項目は税務上の扱いが同じではないため、これらをまとめた「理解度スコア」のような単一の指標は作成していません。項目ごとに個別の数値として扱っています。
  • 実際にしたことを尋ねた設問は複数回答のため、各項目の人数を合計しても回答者数とは一致しません。1人あたりの平均種類数は、7項目のいずれかを経験した222人を分母として算出しています。
  • 項目ごとの理解を尋ねた設問と、実際にしたことを尋ねた設問は、いずれも300人全員が対象ですが、どれを経験した人がどう回答したかを組み合わせた集計は行っていません。
  • 課税に気づいた時期を尋ねた設問は、知らないまま行為をしていた経験が「ある」と答えた89人のみが対象です。このうち女性は25人と少ないため、男女別の内訳は扱っていません。
  • 取引のしかたを変えたかを尋ねた設問は300人全員が対象で、課税されるタイミングを「知らなかった」と回答した63人も含まれています。
  • 「知らないまま行為をしていた経験がある人」と「課税されるタイミングを知らなかった人」は、尋ねている対象も時期も異なる別の設問です。合算・比較はしていません。

主な調査設問

  • 次のそれぞれの行為をしたとき、税金が発生すると思いますか。(買って、そのまま保有している/売って日本円にした/BTCをETHに交換した/暗号資産で買い物をした/自分のウォレットに送金した/ステーキング報酬を受け取った/暗号資産でNFTを購入した)
  • 上記の行為のうち、実際にしたことがあるものをすべてお選びください。(複数回答)
  • 税金が発生すると知らないまま、これらの行為をしたことがありますか。
  • 課税されると気づいたのは、いつですか。
  • 課税されるタイミングを知ったことで、取引のしかたを変えましたか。
  • 過去の取引に、申告し忘れがあるかもしれないと感じますか。
  • 課税されるタイミングについて、どこで知りましたか。