暗号資産を買ってみようと思っても、取引所の画面を開いた時点で手が止まってしまうことがあります。入金方法が3種類並んでいる、購入ボタンが「販売所」と「取引所」に分かれている、注文方式にも成行と指値がある。どれを選んでも買えるように見えるのに、何がどう違うのかはどこにも書かれていません。

手順そのものは複雑ではありません。暗号資産の購入は、口座を開き、日本円を入金し、注文を出すという3つのステップで完結します。特別な資格も、まとまった資金も必要ありません。

迷いが生まれるのは、手順そのものよりも、その3ステップの途中に現れる選択のほうです。しかも、選び方を間違えてもエラーは出ません。余計なコストを払ったり、買えるようになるまで数日待たされたりするだけなので、後になってから気づくことになります。

どの場面で何を選ぶことになるのかを先に把握しておけば、画面の前で立ち止まらずに済みます。取引所の選び方から、口座開設・入金・注文の各ステップ、そして買ったあとにやっておくことまで、順に確認していきましょう。

暗号資産(仮想通貨)の買い方は3ステップ

暗号資産の買い方は、手順そのものは3つのステップに整理できます。暗号資産を扱う取引所で口座を開き、その口座に日本円を入金し、買いたい銘柄に注文を出す。この3つを終えた時点で、暗号資産は自分の口座に入っています。特別な資格や難しい審査が必要になる場面はありません。

  1. ステップ1:口座開設 取引所に申し込み、本人確認(KYC)を済ませて、口座を使える状態にします。
  2. ステップ2:日本円の入金 銀行振込などで、開設した口座に購入資金を移します。
  3. ステップ3:注文 販売所または取引所の画面で、買いたい銘柄と数量を指定して注文を出します。

このうち、手続きらしい手続きが発生するのはステップ1だけです。スマホで完結する本人確認を使えば、申し込みから取引を始められるまでは最短で当日から翌営業日程度が目安になります(かかる日数は取引所によって異なります)。ステップ2とステップ3は、いずれもアプリの画面に沿って金額や数量を入力していく作業で、慣れてしまえば数分で終わります。

用意する資金も、まとまった額である必要はありません。国内の主要な取引所では、ビットコインを1枚まるごと買うのではなく小数点以下の数量で購入できるため、数百円程度の少額から始められます。「最低でも数十万円は用意しないと買えない」というイメージは、実際の仕様とは異なります。

ただし、暗号資産の価格は短い期間でも大きく動きます。購入した直後に評価額が目減りすることもあるため、生活費や近いうちに使う予定のあるお金ではなく、当面使う予定のない余剰資金の範囲で購入することが前提になります。この点は、購入する金額の大小にかかわらず、最初に押さえておきたいところです。

一方で、実際につまずきやすいのは3ステップの手順そのものではなく、各ステップに現れる「選択」のほうです。どの取引所を選ぶのか、入金は何を使うのか、注文は販売所と取引所のどちらで出すのか。ここからは、この3ステップを順に追いながら、それぞれの分かれ道で何を基準に選べばよいのかを見ていきます。

自分に合う暗号資産取引所の選び方

3ステップの最初の分かれ道が、どの取引所で口座を開くかです。国内で暗号資産交換業者として登録されている会社は複数あり、公式サイトを見比べてもどれも似たような説明が並びます。比較記事を何本か読んだ結果、かえって決め手が分からなくなってしまった、という状態になりやすいところです。

先に前提を1つ共有しておきます。すべての人にとって最も良い1社というものは存在しません。取引所の特徴は、手数料の安さ・セキュリティの手厚さ・画面や手続きの分かりやすさといった複数の軸に分かれており、どの軸を優先すべきかは、その人が暗号資産をどう使うつもりなのかによって変わるからです。実際、当社が取引所の利用者を対象におこなった調査でも、重視されているポイントは特定の1つに集中せず、いくつかの項目に分かれていました。

なお、普段使っている証券会社のグループが暗号資産のサービスを提供していることもあり、その延長で選ぶ人もいます。その場合も、比べるべき観点はこれから挙げるものと変わりません。

そこで、まずは自分がどのタイプに近いかを確認してください。

タイプ

こんな人が当てはまります

手数料を重視するタイプ

値動きを見ながら売買を繰り返したい/1回の金額は小さくても取引の回数が多くなりそう

セキュリティを重視するタイプ

一度買ったら基本は持ち続けたい/預けている間の安全性が気になる

使いやすさ・日本語対応を重視するタイプ

暗号資産の口座を持つのは今回が初めて/操作や問い合わせでつまずきたくない

同じ取引所を前にしても、このタイプによって見るべき場所は変わります。ここからは、それぞれのタイプが何を基準に比べればよいのかを順に見ていきます。複数に当てはまる場合は、自分にとって最も譲れないものから読み進めてください。

手数料を重視するタイプ

売買を繰り返すつもりであれば、比べるべきなのは「取引手数料」「出金手数料」「スプレッド」の3つを足し合わせた合計コストです。どれか1つだけを見ても、実際に負担する金額は分かりません。

というのも、取引手数料が無料と書かれていても、売値と買値の差であるスプレッドという形でコストが乗っていることがあるためです。日本円を引き出すたびにかかる出金手数料も同様で、1回あたりの金額は小さくても、取引や出金の回数が増えるほど合計額の差は開いていきます。年に数回しか売買しない人にとっては誤差でも、月に何度も動かす人にとっては無視できない差になります。

実際に利用者が不満を感じている箇所も、取引手数料そのものとは限りません。当社が暗号資産の利用者を対象におこなった手数料に関する調査(n=515)では、「出金手数料が高い」が26.4%、「手数料体系がわかりにくい」が22.7%、「スプレッドが広い」が17.9%という結果でした。さらに、手数料を理由に他社への乗り換えを検討または実施した人は46.2%にのぼります。最初に合計コストを確認しておかないと、後から口座を移す手間が発生しやすいということです。

ただし、手数料の水準は各社の判断で改定されます。どこが安いかを他社との比較記事だけで判断せず、口座を開く前に、その取引所の公式サイトの手数料ページで最新の条件を自分で確認してください。

セキュリティを重視するタイプ

買ったら基本的に持ち続けるつもりであれば、二段階認証に対応しているか、顧客から預かった資産を会社自身の資産と分けて管理しているか、運営会社がどのような体制で運営しているか、という守りの条件で比べます。

長期保有の場合、取引の回数が少ないぶん手数料の差はあまり効きません。代わりに効いてくるのが、資産を預けている期間の長さです。取引所に置いている間はずっと、その会社の管理体制に自分の資産を委ねた状態が続きます。数日で売り抜けるつもりの人と、数年単位で持つつもりの人とでは、同じ取引所でも引き受けているリスクの性質が違うということです。

もっとも、利用者が実際に見ているポイントは1つに定まっていません。当社が取引所の安全性について利用者に尋ねた調査(n=507)では、重視する点として二段階認証が27.0%、資産の保全方法が23.7%、ハッキング対策が23.5%、運営会社の信頼性が20.1%と、いずれも2割台で並びました。「ここさえ確認すれば安全」と言い切れる単一の指標は存在しないため、複数の項目を並べて確認することになります。

なお、暗号資産交換業者には、顧客から預かった資産を自社の資産と分けて管理することが法令上の義務として課されています。そのうえで、国内の取引所でも過去に外部からの不正アクセスによって暗号資産が流出した事例があり、これを受けて、預かった資産の大部分をインターネットから切り離して保管することや、万一の事態に備えて顧客の預かり分に相当する暗号資産を自社でも保有しておくことが、あらためて求められるようになりました。過去に事故があったかどうかだけで判断するのではなく、その後に体制をどう変えたかまで公表資料で確認する、という見方をおすすめします。

使いやすさ・日本語対応を重視するタイプ

今回が最初の1社であれば、日本語でのサポートが受けられることと、普段使っている国内の銀行から入出金しやすいことを優先してください。

最初の口座開設では、つまずく場面が出てくる前提で考えておいたほうが現実的です。本人確認の書類が通らない、入金したはずの日本円が残高に反映されない、といった状況になったとき、問い合わせて日本語で答えが返ってくることの価値は、手数料の数十円の差よりも大きくなります。解決に何日もかかれば、その間は買うことも売ることもできません。

この傾向は、すでに使っている人の回答にも表れています。当社が国内・海外の取引所の利用状況を尋ねた調査(n=1,265)では、国内の取引所を使い続けている理由として「日本語対応で安心」が22.5%、「セキュリティが信頼できる」が21.2%、「入出金が簡単」が18.3%と挙がりました。機能の多さや銘柄の豊富さではなく、手続きがつまずかずに通ることが理由の上位に来ています。

一方、海外の取引所は取扱銘柄が多く、手数料の水準も国内とは異なります。ただし、日本語サポートの範囲や国内銀行からの入出金の扱いは事業者ごとに違うため、条件は個別に確認する必要があります。また、日本国内で暗号資産交換業をおこなうには金融庁への登録が必要で、登録を受けている事業者は金融庁が公表する「暗号資産交換業者登録一覧」で確認できます。金融庁サイトの「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」からたどれるので、口座を開く前に、検討している会社が掲載されているかを自分の目で確かめてください。

ステップ1:口座開設と本人確認(KYC)の進め方

登録を確認して1社に決めたら、いよいよ口座開設です。とはいえ、申し込みフォームを開く手前で止まってしまう人は少なくありません。何を用意すればいいのか、申し込んでから実際に買えるようになるまでどのくらいかかるのか、その見通しが立たないままだからです。

口座開設でやること自体は、「必要なものを用意する」「本人確認(KYC)を済ませる」「審査の結果を待つ」の3つに整理できます。難しい判断を求められる場面はなく、順番に片付けていけば終わる手続きです。それでも途中で止まる人が出るのは、この3つのそれぞれに、知らずに進むと引っかかる箇所があるためです。

そこでここからは、口座開設を「何を用意し、どう進み、どこで時間がかかるのか」という順番で確認していきます。最後に、実際に口座を開こうとした人がどこでつまずいたのかも見ておきます。

口座開設に必要なもの

暗号資産の口座開設で用意するものは、メールアドレス・本人確認書類・日本円の入出金に使う銀行口座の3点だけです。印鑑や収入証明のような書類を求められることは、通常はありません。

メールアドレスは、登録の案内や取引に関する通知が届く連絡先になります。普段から確認しているものを使ってください。携帯電話会社のメールアドレスは、迷惑メールの設定によって取引所からの通知が届かないことがあるため、受信できるかどうかを先に確認しておくと安心です。本人確認書類は、運転免許証やマイナンバーカードなど、顔写真の付いた公的な書類が基本になります。使える書類の種類は取引所ごとに決まっているので、手元にあるもので申し込めるかを事前に見ておきましょう。銀行口座は日本円の入出金に使うもので、口座を開設する本人と同じ名義であることが条件です。

このうち、手続きの長さを左右するのがマイナンバーカードの有無です。暗号資産の口座開設ではマイナンバーの提出も求められるため、マイナンバーカードが1枚あれば、本人確認書類としての役割とマイナンバーの確認を同時に満たせます。持っていない場合は、顔写真付きの本人確認書類に加えて、番号を確認できる書類を別に用意することになり、その分だけ工程が増えます。

本人確認(KYC)の流れと完了までの日数

本人確認は、スマホで完結する方式(eKYC)を選べば、郵送物の到着を待たずに進められます。この方式であれば、最短で申し込んだ当日から翌営業日には取引を始められます。

流れは3段階です。まず本人確認書類をスマホのカメラで撮影します。表面だけでなく、裏面や厚みが分かる角度からの撮影を求められることもあります。次に自分の顔を撮影します。画面の指示に従って顔を動かすなど、その場で本人が操作していることを確認する動作が入るのが一般的です。ここまで送信すると、あとは取引所側の審査を待つだけになります。

日数の目安は、最短で当日から翌営業日です。ただしこれはあくまで最短であり、申し込みの混み具合や送った書類の状態によっては、もう少し時間がかかることもあります。一方、郵送での確認を選んだ場合は、書類やハガキの発送と配達にかかる日数がそのまま上乗せされます。早く始めたいのであれば、検討している取引所がeKYCに対応しているかどうかを、申し込む前に確認しておいてください。対応している確認方法も実際にかかる日数も取引所によって異なるため、数字は各社の案内ページで確かめるのが確実です。

口座開設でつまずきやすいポイント

口座開設は難しい手続きではありませんが、全員がすんなり終わるわけではありません。当社が暗号資産の口座開設を経験した人を対象におこなった調査(n=508)では、20.1%が途中でつまずいて想定より時間がかかったと回答し、5.5%は途中で断念しています。およそ5人に1人が引っかかり、20人に1人以上は口座を持つこと自体をやめている計算になります。

つまずきの中身は、大きく2つに分かれます。1つは本人確認書類の不備です。撮影した画像が不鮮明だった、光が反射して文字が読み取れなかった、書類の四隅が写っていなかった、記載されている住所が現住所と違っていた。こうした理由で差し戻され、撮り直しからやり直しになります。もう1つは、審査結果を待つ時間です。

同じ調査で、実際に口座開設を経験した294名にどこでつまずいたかを尋ねたところ、最も多かったのは「審査に時間がかかり不安になった」で12.4%でした。以下、「写真撮影やアップロードがうまくできなかった」が9.6%、「入力項目が多く面倒になった」が9.4%と続きます。先に挙げた書類の不備と審査待ちが、実際のつまずきの上位を占めているということです。

一方、開設にあたって感じた不安を尋ねた別の設問では、「本当に安全な取引所かどうか」が14.4%で最も多くなっています。手続きのどこで手が止まるかという問題と、預け先そのものを信用してよいのかという迷いは、別々に存在しているということです。前者は事前の準備で減らせますが、後者は預け先の情報を自分で確認することでしか解消できません。

書類の不備は、撮影の段階でほとんど防げます。明るい場所で、カバーやケースから出した状態にして、書類の四隅が枠内に収まるように撮る。照明が反射している場合は角度を変える。送信する前に、券面の文字が自分で読めるかどうかを確かめる。この3点を守るだけで、差し戻しの多くは避けられます。なお、住所が現住所と異なる書類は使えません。引っ越し後に変更手続きをしていない場合は、先に書類側を更新しておく必要があります。

審査待ちのほうは、待ち時間そのものを短くすることはできません。それでも、待っている間にできることはあります。1つは、日本円の入金に使う銀行口座を、口座開設に使ったものと同じ名義で準備しておくことです。もう1つは、安全性への不安が残っているなら、その時間を使って取引所の公表資料を確認しておくことです。金融庁の登録一覧に掲載されているか、顧客から預かった資産をどのように管理しているかは、審査の結果を待つ間にも調べられます。審査に落ちたと決まったわけではない段階で問い合わせを重ねるよりも、口座が使えるようになった直後に動ける準備を進めておいたほうが、結果的に早く購入までたどり着けます。

ステップ2:日本円の入金方法と選び方

審査が通って口座が使えるようになったら、次は購入資金となる日本円を入金します。入金画面を開くと、銀行振込・コンビニ入金・クイック入金といった選択肢が並んでいるはずです。どれを選んでも口座に入るのは同じ日本円ですから、一見するとどれでも変わらないように見えます。

ところが実際には、選んだ手段によって、かかるコストも、入金してから買えるようになるまでの時間も、一度に入れられる金額の上限も変わります。値動きを見て今すぐ買いたいときと、時間に余裕があってコストを抑えたいときとでは、選ぶべき手段が違うということです。

ここでは、主な3つの入金手段をどう選び分けるのか、クレジットカードは使えるのか、そして入金したはずなのに残高に反映されないときは何を確認すればよいのかを、順に見ていきます。

銀行振込・コンビニ入金・クイック入金の違い

3つの入金手段は、手数料・着金までの時間・1回あたりの限度額のバランスがそれぞれ異なります。選び分けの基準はシンプルで、今すぐ買いたいならクイック入金、コストを抑えたいなら銀行振込になります。コンビニ入金は、その中間に位置する選択肢だと考えてください。

入金方法

手数料

着金までの時間

1回あたりの上限

銀行振込

振込元の銀行に支払う振込手数料。取引所側では入金手数料を設けていない場合が多い

銀行の営業時間内なら当日中。時間外や土日祝にまたがると翌営業日以降

利用する銀行の振込限度額に準じるため、比較的大きい

コンビニ入金

取引所が定める入金手数料がかかるのが一般的

店頭での支払い手続き後、比較的短時間で反映される

3つのなかでは低めに設定されていることが多い

クイック入金

取引所が定める入金手数料がかかるのが一般的

24時間受け付けており、ほぼ即時に反映される

取引所側が上限を定めている

クイック入金は、提携しているインターネットバンキングの画面を経由して入金する方法です。深夜でも休日でも手続きが完結し、反映もほぼ即時であるため、買いたいタイミングを逃さずに済みます。その速さと引き換えに、取引所側の入金手数料がかかるのが一般的です。銀行振込はその逆で、振込手数料は自分の銀行に支払うものの、取引所側では無料としている場合が多く、まとまった金額を動かすときほどコスト面で有利になります。ただし反映は銀行の営業時間に左右されるため、金曜の夜に振り込んでも、実際に買えるようになるのは週明けということが起こります。コンビニ入金は、インターネットバンキングを契約していなくても現金で入金できる点が利点ですが、1回あたりの上限が低めに設定されていることが多く、大きな金額には向きません。

実際の金額・上限・受付時間帯は、取引所と提携している金融機関によって異なります。ここで挙げているのはあくまで手段ごとの性質の違いなので、具体的な数字は、口座を開いた取引所の入金案内ページで必ず確認してください。

自分がどれを使うべきかは、次のように当てはめると判断できます。相場を見ながら今日中に買いたい、あるいは平日の日中に銀行の手続きをする時間が取れないのであれば、クイック入金が現実的な選択肢になります。買う時期を急いでおらず、ある程度まとまった金額を入れるつもりなら、銀行振込のほうがコストを抑えられます。インターネットバンキングを契約しておらず、まずは少額で試したいという場合は、コンビニ入金が入口として使えます。

もう1つ、金額の決め方にも触れておきます。入金手数料は、1回の入金額が小さいほど、入れた金額に対する負担の割合が大きくなります。少額を何度も入金するより、使う予定のある分をある程度まとめて入れたほうが、手数料の比率は下がるということです。ただし、まとめるといっても増やすべきなのは入金の1回あたりの金額であって、暗号資産に回す総額ではありません。前提として置いた余剰資金の範囲は動かさないでください。

クレジットカードで暗号資産は買えるのか

国内の主要な取引所では、クレジットカードで暗号資産を直接購入する方法は一般的ではありません。日本円を入金してから買う、というここまでの流れが基本になります。

理由は、クレジットカードが後払いの仕組みであることにあります。カード払いでは、利用者が代金を支払い終える前に商品が引き渡されます。これが値動きする資産だと、支払いの完了前に資産を取得できてしまう形になります。加えて、カード利用者からの申し立てによって決済が取り消されるチャージバックが発生した場合、すでに引き渡した暗号資産を取り戻すことは困難です。こうした事情が、日本円の入金を挟む形が一般的である背景の一つとされています。

海外のサービスのなかには、カード決済に対応しているものもあります。ただし、その場合も手数料が割高に設定されていたり、カード会社側の判断で決済が通らなかったりすることがあります。カード会社によっては、暗号資産の購入をキャッシング扱いとしていたり、利用そのものを制限していたりする場合もあるため、規約の確認が必要です。

なお、ここで書いているのは現時点で確認できる一般的な取り扱いです。対応状況は取引所やカード会社の方針によって変わり得るものなので、カードを使いたい場合は、利用を検討している会社の最新の案内を確認してください。

入金が反映されないときの確認ポイント

振り込んだのに残高に反映されない。このとき最初に確認すべきなのは、振込名義と、振込をおこなった時間帯の2つです。入金が止まる原因の多くはこのどちらかで、取引所側のトラブルであるケースはそれほど多くありません。

次の順番で確認してください。

  1. 振込名義が口座開設時の名義と一致しているか 家族名義の銀行口座からの振込や、旧姓のままの口座からの振込は、本人の入金として自動では紐づけられず、保留されることがあります。
  2. 振込をした時間帯 銀行の営業時間外や土日祝に手続きした場合、取引所側で確認されるのは翌営業日です。この場合は反映されていないのではなく、まだ処理の順番が来ていないだけです。
  3. 指定された振込人名義で振り込んだか 取引所によっては、振込人名義の前に利用者ごとの識別番号を付けるよう指定されます。この番号が抜けていると、誰の入金かを自動で判別できません。
  4. 振込先の口座情報と金額 振込先が案内どおりか、入金の下限額を下回っていないかを確認します。

ここまで確認して問題が見当たらない、あるいは翌営業日を過ぎても反映されない場合は、取引所のサポート窓口へ問い合わせます。振込自体は完了しているため、連絡先は銀行ではなく取引所です。その際、振込日時・金額・振込元の金融機関名・振込名義・振込明細の控えを手元に揃えておくと、確認が早く進みます。インターネットバンキングを使ったのであれば、取引履歴の画面を保存しておいてください。

ステップ3:販売所と取引所の選び分け

入金した日本円が残高に反映されたら、いよいよ購入です。ところが購入画面を開くと、「販売所」と「取引所」という2つの入口が並んでいます。同じアプリの中で、同じビットコインを買おうとしているだけなのに、ボタンが2つある。ここで手が止まってしまう人は少なくありません。

先に結論を言えば、どちらを選んでも暗号資産は買えます。ただし、同じ銘柄を同じ数量だけ買ったとしても、支払う金額は変わります。名前が並んでいるだけで、実際には仕組みの異なる2つの窓口だからです。

ここでは、この2つが何によって違うのか、そしてそもそもいくらから買えるのかを確認します。あわせて、購入画面にもう1つ現れる「現物取引」と「レバレッジ取引」という分かれ道も、ここで整理しておきます。こちらは販売所と取引所の違いとは性質が異なり、取り違えたまま進むと、想定していなかったリスクを抱えることになるためです。

販売所と取引所は何が違うのか

どちらも同じアプリの同じ階層に並んでいるため、「取引所が用意した2種類の購入ボタン」程度の違いに見えます。実際、名前の差を気にせず、先に表示されていたほうで買ってしまう人も多くいます。

しかし、この2つで違っているのは取引の相手です。販売所では、運営会社そのものが売買の相手になります。会社が保有している暗号資産を、会社が提示した価格で買う形です。一方の取引所は、利用者同士が売買の相手になります。「この価格で売りたい」という他の利用者の注文に対して、自分が買い手として応じる形です。運営会社は、その売買の場を提供する立場に回ります。

この違いが、そのままコストの違いになって表れます。販売所では、会社が買い取る価格と、利用者に売る価格が別々に提示されます。この2つの価格の差がスプレッドです。買った直後に評価額がわずかにマイナスから始まるのは、この差があるためです。画面上は「取引手数料無料」と書かれていても、負担がないわけではなく、コストが価格の差に含まれているということになります。取引所のほうにも、売りたい人の希望価格と買いたい人の希望価格の差は存在します。ただし価格を決めるのが利用者同士であるため、販売所ほど差が広がりにくく、代わりに取引手数料が金額として明示されます。

このスプレッドは、金額として表示されない分だけ後から気づきやすい負担でもあります。当社が暗号資産の利用者を対象におこなった手数料に関する調査(n=515)でも、「スプレッドが広い」ことへの不満は17.9%が挙げていました。操作の手軽さを優先するなら販売所、コストを抑えたいなら取引所、という選び分けになります。取引所での購入は板の画面を使うことになるため、実際の操作は次の章で扱います。

暗号資産はいくらから買えるのか

国内の主要な取引所では、数百円程度の少額から購入できます。始めるためにまとまった資金を用意する必要はありません。

暗号資産を1枚単位で買う必要がないためです。ビットコインは1枚あたりの価格が高額ですが、購入するときは小数点以下の細かい数量を指定できます。多くの取引所では、数量ではなく「何円分」と金額のほうから入力する買い方にも対応しており、手元の予算に合わせて購入できます。「ビットコインを買うには1枚ぶんの資金が必要だ」というのは、仕様としては誤解です。

ただし、最低購入金額は同じ取引所の中でも販売所と取引所で異なる場合があります。金額を指定して買える販売所のほうが下限が低く、注文の数量単位が決まっている取引所のほうがやや高い、という設定になっていることがあります。実際の下限は取引所と銘柄によって違うので、注文を出す前に購入画面の表示で確認してください。

現物取引と「レバレッジ(信用)取引」の違い

ここまで説明してきた買い方は、すべて現物取引です。自分が用意した日本円の範囲で暗号資産そのものを買い、そのまま保有する取引を指します。買った暗号資産は自分の資産として口座に残り、値上がりすれば利益になり、値下がりすれば評価額が下がります。仕組みとしてはそれだけです。

これとは別に、取引所によっては「レバレッジ取引」というメニューが用意されています。こちらは、預けた資金を証拠金(担保)として、自分が用意した金額を超える規模の取引ができる仕組みです。そして取引所によっては、この取引が「信用取引」という名称で提供されています。

注意しておきたいのが、この「信用」という言葉です。日常の言葉としての信用には、信頼できる、保証されている、といった響きがあります。そのため、信用取引という名前から、運営会社が安全性を保証している取引方法である、あるいは通常の買い方より手堅い方法である、と受け取られることがあります。しかし、ここでの「信用」は安全性を示す言葉ではありません。利用者が預けた証拠金を担保に、事業者が資金や暗号資産を貸し付ける、という取引の仕組みそのものを指した言葉です。名称の印象と、その取引の安全性とは関係がありません。

仕組みの面から見ると、現物取引との差ははっきりしています。自己資金を超える規模で売買するため、価格が思惑どおりに動いたときの利益は大きくなりますが、逆に動いたときの損失も同じだけ大きくなります。損失が一定の水準を超えると、追加の証拠金を差し入れるよう求められます。これが追証です。求めに応じられなければ、その時点の価格で強制的に決済されます。値動きの大きさによっては、損失が最初に預けた証拠金の額を上回ることもあります。現物取引であれば、買った暗号資産の価値がどこまで下がっても、失う可能性があるのは自分が出した金額までです。この点が、両者の最も大きな違いです。

この記事で扱うのは現物取引のみです。レバレッジ取引は、証拠金の管理や決済の仕組みについて別途の知識を必要とする、難易度の高い取引になります。購入画面で「レバレッジ」あるいは「信用」という表示を見かけたら、それはここまで説明してきた買い方とは別のメニューだと認識したうえで、仕組みを理解してから扱うかどうかを判断してください。

取引所の板画面での買い方

前章で見たとおり、コストを抑えたいのであれば、販売所ではなく取引所で買うことになります。ただ、そう分かっていても、実際に板の画面を開いた時点で引き返してしまう人は多くいます。数字が縦にびっしりと並び、色が絶えず変わっている画面を前にすると、どこを見ればいいのか見当がつきません。結局、操作が分かりやすい販売所のボタンに戻ってしまう、というのはよくある流れです。

しかし板は、見慣れないだけで、読み方そのものは決まっています。表示されている要素はそれほど多くなく、覚えるのも一度で済みます。画面の構造さえ理解できれば、注文を出す操作自体は数ステップで終わります。

ここでは、板の画面が何を表していて、どの順番で入力すれば注文が出せるのかを確認します。そのうえで、注文の出し方には2つの方式があり、それをどう使い分けるのかを見ていきます。なお、画面の配置やボタンの名称は取引所によって異なります。以下は多くの取引所に共通する構造として説明しますので、実際の画面と細部が違う場合は、対応する項目に読み替えてください。

板の見方と注文を出す手順

板とは、「いくらで売りたい」「いくらで買いたい」という注文が、価格ごとに並べられた一覧表です。それ以上のものではありません。どの価格に、どれだけの注文が溜まっているのか。この2つが読み取れれば、そのまま注文を出せます。

画面の大部分を占めているのは、上下に分かれた2つの注文の列です。多くの取引所では、上半分に売り板が表示されます。ここに並んでいるのは「この価格で売りたい」という他の利用者の注文です。下半分が買い板で、「この価格で買いたい」という注文が並びます。自分が買う側に回るとき、相手になるのは上側の売り板の注文です。

画面の要素

表示されている内容

読み取れること

売り板(多くは画面の上側)

「この価格で売りたい」という注文と、その数量

自分が買うときに相手となる注文。価格が安いものほど中央寄りに並ぶ

買い板(多くは画面の下側)

「この価格で買いたい」という注文と、その数量

自分が売るときに相手となる注文。価格が高いものほど中央寄りに並ぶ

価格の列

注文が出されている価格

売り板と買い板の境目にある価格が、いまの相場に最も近い

数量の列

その価格に出ている注文の量

数量が多い価格帯ほど、そこで売買が成立しやすい

読むうえで軸になるのが、板の中央にある境目です。売り板のうち最も安い価格と、買い板のうち最も高い価格が、ここで向かい合っています。売る側は高く売りたい、買う側は安く買いたいと考えるため、両者の希望はこの境目で止まります。つまり、この境目付近に出ている価格が、いま実際に売買が成立する水準ということになります。慣れないうちは、板全体を眺めるのではなく、この中央付近だけを見れば十分です。

板の読み方が分かれば、あとは上から順に入力していくだけです。注文の手順は次のようになります。

  1. 銘柄(通貨ペア)を選ぶ 取引所では「ビットコインを日本円で売買する」というように、組み合わせを選んで取引します。
  2. 買いか売りかを選ぶ 購入するので、買い側を選びます。
  3. 注文方式を選ぶ 成行か指値かを指定します。この違いは次の項目で扱います。
  4. 価格を入力する 指値を選んだ場合のみ、いくらで買いたいかを入力します。板に並んでいる価格をタップすると、その価格が入力欄に自動で入る取引所も多くあります。
  5. 数量または金額を入力する 買いたい数量を入力します。金額から指定できる画面もあります。
  6. 内容を確認して確定する 入力した条件と想定される合計金額が表示されるので、桁を間違えていないかを確認してから確定します。

注文を出したあと、すぐに成立しなかった注文は「注文一覧」「未約定」などの欄に残ります。指定した価格に相場がまだ届いていない場合、その注文は板の上で待機している状態です。気が変わったときは、この一覧から取り消せます。注文が成立すれば、その分の暗号資産が残高に反映され、購入は完了です。

最初の1回だけは、確認画面での桁のチェックを特に丁寧におこなってください。数量を入力する欄と金額を入力する欄が隣り合っている画面もあり、取り違えると意図とまったく違う規模の注文になります。確定する前に合計金額を必ず目視する習慣をつけておけば、この種のミスはほぼ防げます。

成行注文と指値注文の使い分け

2つの注文方式は、価格と時間のどちらを優先するかで選び分けます。今すぐ確実に買いたいなら成行、価格を決めて待てるなら指値です。この基準さえ押さえておけば、画面上でどちらを選ぶかで迷うことはなくなります。

成行注文は、価格を指定せずに「いまの相場で買う」という注文です。板に出ている売り注文のうち安いものから順に、指定した数量が埋まるまで買っていきます。価格を指定しないぶん、ほぼ確実に成立します。一方の指値注文は、「この価格まで下がったら買う」と価格を指定して出す注文です。相場が指定した価格に届かなければ、注文は成立せずに待機し続けます。

それぞれの利点は、そのまま裏返しの性質を持っています。成行は確実に買える代わりに、いくらで買えたのかは注文を出すまで確定しません。売り注文の数量が少ない時間帯に大きな数量を成行で出すと、安い注文を順に買い尽くして、想定より高い価格まで買い上がってしまうことがあります。指値は価格を自分で決められる代わりに、その価格に届かなければいつまでも買えません。待っている間に相場が反対方向へ動けば、買う機会そのものを逃すことになります。

初めての購入で、まず少額を実際に買って操作の流れを覚えたい、という場合は成行が向いています。金額が小さければ買い上がりの影響もほとんど出ませんし、「一度、買うところまでやり切る」という目的であれば、確実に成立する方式のほうが目的に合っています。

一方、すでに相場を見ていて「この水準なら買う」という具体的な目安が自分の中にある場合は、指値が向いています。注文を出しておけば、画面を見ていない間も板の上に残り続けるため、就寝中や仕事中に条件を満たした場合でも成立します。値動きを常に追いかけられない人ほど、この方式の利点は大きくなります。

どちらが優れているという関係ではありません。同じ場面でも、目的によって答えは変わります。「今日中に買う」と先に決めているのか、「この価格なら買う」と先に決めているのか。自分がすでに決めているのがどちらなのかを考えれば、選ぶべき方式は自然に決まります。

購入後にやっておくこと

注文が成立して残高に反映されれば、購入そのものは完了です。ここまでの3ステップで、最初に掲げた目的は達成されています。

ただ、買った時点ですべてが終わるわけではありません。買った後にやっておくべきことがいくつか残っていて、そのうちの1つは、後回しにすると取り返しがつかなくなる種類のものです。暗号資産は銀行の預金とは異なり、預金保険のような事後の補償が前提になっている資産ではありません。だからこそ、自分で守るための設定を先に済ませておく必要があります。

ここでは、口座を守るために最初にやるべき設定、買った暗号資産をどこに置いておくかという判断、そして利益が出たときの税金の扱いを、順に確認していきます。

二段階認証(2FA)の設定

二段階認証(2FA)の設定は、購入した直後にやっておくべき最優先の作業です。他のことは後回しでも構いませんが、これだけは先に済ませてください。

パスワードだけでは口座を守り切れないためです。パスワードは、他のサービスからの流出や使い回しによって、本人が気づかないうちに第三者の手に渡ることがあります。二段階認証を設定していれば、パスワードを知られていても、スマホのアプリに表示される確認コードがなければログインできません。暗号資産は一度送金されてしまうと取り消せず、侵入されたあとに取り戻すことは困難です。入口の段階で止める設定が効いてくるのは、このためです。

もっとも、設定の実態には差があります。当社が暗号資産の利用者を対象におこなった調査(n=293)では、二段階認証を設定している人は8割弱にのぼる一方、利用しているすべてのサービスで設定できている人は4割未満にとどまりました。多くの人が「どこかには設定しているが、どこかには設定していない」状態にあるということです。狙う側から見れば、設定されていない口座を1つ見つければ足りるため、一部だけの設定では守りとして完結しません。取引所だけでなく、登録に使ったメールアドレスのアカウントも含めて設定してください。

設定そのものは数分で終わります。まず認証アプリをスマホに入れ、次に取引所のセキュリティ設定画面を開いて、表示されたQRコードを認証アプリで読み取ります。最後に、アプリに表示された数字のコードを取引所側に入力すれば完了です。このとき、復旧用のコードやバックアップキーが表示されるので、スマホを紛失したときに備えて、必ず別の場所に控えておいてください。ここを飛ばしてしまうと、機種変更や端末の故障をきっかけに、自分の口座へ入れなくなることがあります。

購入した暗号資産の保管先

買った暗号資産をどこに置いておくかは、金額によって判断が変わります。失っても生活に影響しない範囲であれば、取引所の口座に置いたままでも支障は生じにくくなります。金額が増えてきた段階で、自分で管理するウォレットへ移すことを検討する、という考え方になります。

取引所に預けたままにする場合と、自分のウォレットで持つ場合とでは、抱えるリスクの性質が違うためです。取引所に置いておけば、保管の管理は事業者側がおこないます。売りたくなったときにすぐ売れる手軽さもあります。その代わり、預け先の事業者側で問題が起きた場合には、その影響を受ける立場になります。自分のウォレットへ移せば、その影響からは切り離せますが、代わりに管理の責任がすべて自分に移ります。パスワードやリカバリーフレーズを失えば、復旧してくれる相手はいません。

どちらが安全かという問いに、一般的な答えはありません。判断の目安になるのは、その金額を自分で管理し切れるかどうかです。先に触れたとおり、失っても生活に影響しない範囲であれば、手軽さを取るほうが現実的です。一方、失うと困る金額になってきたのであれば、事業者側のリスクを引き受け続けるかどうかを一度考えることになります。しばらく売る予定がなく持ち続けるつもりの場合も、移す判断を検討しやすい状況だといえます。

ウォレットにどのような種類があるのか、実際にどう移すのかについては、別の記事で詳しく解説しています。

利益が出たときの税金の扱い

暗号資産を売って利益が出た場合、その利益は原則として雑所得に区分されます。給与とは別に、自分で申告することになる所得だということです。

所得税では、所得をその性質ごとにいくつかの区分に分けて計算します。暗号資産の売買によって生じた利益は、給与所得にも事業所得にも当てはまらず、また株式の譲渡益のような専用の区分も用意されていません。そのため、他のどれにも該当しない所得として雑所得に区分される、というのが基本的な考え方です。ただし、事業として継続的におこなっている場合など、扱いが変わるケースもあります。

申告が必要になるかどうかは、その年に出た利益の額と、その人の働き方によって変わります。会社から給与を受け取っている人であれば、給与以外の所得が一定額を超えた場合に確定申告が必要になります。扶養に入っている人や、給与を受け取っていない人では基準が異なります。自分がどの条件に当てはまるのかは、年末が近づく前に一度確認しておくと慌てずに済みます。

なお、損益を計算する必要が生じるのは、日本円に換えたときだけではありません。暗号資産を別の暗号資産に交換した場合や、支払いに使った場合にも、その時点で計算が必要になることがあります。買った後に何度も動かすつもりであれば、いつ・いくらで・どれだけ売買したのかという記録を残しておいてください。後から計算する際の負担が大きく変わります。

制度上の取り扱いは、国税庁が公開している「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」で確認できます。具体的な計算方法や申告の手順については、別の記事で詳しく解説しています。判断に迷う点がある場合は、税務署や税理士などの専門家に相談してください。

まとめ

暗号資産の買い方は、口座開設・日本円の入金・注文という3つのステップで完結します。手順そのものは複雑ではなく、少額から始められます。ただし価格は変動するため、購入するのは当面使う予定のない余剰資金の範囲にとどめることが前提になります。

差がつくのは、各ステップに現れる選択のほうです。まず取引所選びでは、すべての人にとって最も良い1社は存在しません。売買を繰り返すなら手数料を合計コストで比べ、長く持つならセキュリティの条件で比べ、最初の1社なら日本語のサポートと国内銀行からの入出金のしやすさを優先する。自分が何を重視するかで答えが変わります。

日本円の入金でも、選んだ手段によって結果は変わります。今すぐ買いたいならクイック入金、コストを抑えたいなら銀行振込、現金で少額から試したいならコンビニ入金という選び分けになります。入金が反映されないときは、まず振込名義と振込をした時間帯を確認してください。

購入画面では、販売所と取引所の違いを押さえておきます。販売所は運営会社が売買の相手で、手軽な代わりにスプレッドという形でコストが乗ります。取引所は利用者同士の売買であるため、コストを抑えられます。取引所の板で買う場合の注文方式は、今すぐ買いたいなら成行、価格を決めて待てるなら指値という基準で選びます。

あわせて、購入画面に並ぶ「レバレッジ取引」は、ここまで説明してきた現物取引とは別の仕組みです。取引所によっては「信用取引」という名称で提供されていますが、この「信用」は安全性を示す言葉ではありません。この記事で扱ったのは現物取引のみです。

そして、買えたら終わりではありません。購入の直後に二段階認証を設定し、使っているサービスすべてで有効にしておいてください。買った暗号資産をどこに置くかは金額に応じて判断し、利益が出た場合には税金の扱いを確認する。ここまで済ませて、最初の1回が完了します。