2025年12月、Memento ResearchのアナリストAsh(本名:Ash Liew氏)がXに投稿したデータが業界に衝撃を与えた。
118件のTGEを追跡したところ、100トークンが上場初値を下回り、84.7%が上場時の完全希薄化評価額(FDV)を下回っていた。中央値の下落率はFDVで71%、時価総額で67%。Ashは「2025年のトークンローンチはほぼ壊滅的だった」と総括した。
別の調査でも同じ逆説が浮かび上がった。
Solus Groupが113件のTGE(トークン生成イベント)を分析したところ、上場後に価格がIDO価格を下回っているプロジェクトの平均収益は136万米ドルで、上場後に価格がIDO価格(取引所主導の先行販売価格)を上回っているプロジェクトの平均収益は79万米ドルだった。つまり収益が多いプロジェクトほどTGE後の成績が悪い。市場はプロダクトよりハイプを、データよりストーリーを、製品より約束を評価しているというわけだ。
CryptoRankの2025年レポートは「現在、トークンセールの中でTGE価格を上回って取引されているのは12%」と結論づけている。この12%に入るプロジェクトを、TGE前に——つまり一般投資家より早い段階で——見つけることが、Web3エンジェル投資で勝つための本質になりつつある。
TGEとIPOは「似て非なるもの」
まず構造の違いを整理する。IPOは企業の「株式」を公開市場に放出する。投資家は企業の将来収益に対して株価を支払う。法的な開示義務があり、監査済みの財務諸表が公開される。TGEは企業ではなくプロトコルの「トークン」を発行する。トークンはガバナンス権・手数料の一部・サービスへのアクセス権など、プロジェクトによって意味が異なる。IPOほど厳格な開示義務はない。
この違いが、エンジェル投資家にとっての「機会」と「罠」を同時に生み出す。
