「あなたの暗号資産(仮想通貨)は、どこに保管していますか?」
この質問に自信を持って答えられるユーザーは、実はそれほど多くありません。

取引所のウォレット、ソフトウェアウォレット、ハードウェアウォレット。この3種類の違いを正確に説明できますか?

1,335名を対象にした本調査では、「どの方法が安全かわからない」と回答したユーザーが23.3%にのぼりました。資産を守る第一歩は、保管方法を正しく知ることです。あなたの保管スタイルが本当に安全かどうか、本調査のデータと比べながら確認してみましょう。

暗号資産(仮想通貨)投資が日常化する中で、ウォレット選択は投資リスク管理において最も重要な決定の1つです。取引所に資産を保管することと、自己管理ウォレットで管理することの違い、ハードウェアウォレットの必要性、秘密鍵(プライベートキー)管理の重要性、これらを正確に理解している投資家の割合は、実は非常に限定的だということがわかりました。

調査属性

区分

回答数

構成比

男性

796名

59.6%

女性

539名

40.4%

投資経験者は53.8% ウォレット利用状況は?

グラフ1

調査対象者のうち、投資経験を有する方は53.8%(719名)です。このうち、現在も投資している方が37.6%(502名)、過去に投資していたが現在はしていない方が16.3%(217名)となっています。

一方、投資経験のない方は(616名、46.2%)と約半数が利用している状況でした。

投資経験がある人であっても、その保管方法の選択が適切であるかどうかは別問題です。ウォレット選択には、セキュリティ、利便性、アクセスのしやすさなど、相反する要件のバランスを取る必要があります。多くの投資家は、これらのトレードオフを十分に理解せずに、デフォルトとしての方法(通常は取引所での保管)を選択してしまっているのが実態なのです。

あなたはウォレットでの暗号資産管理にどんな不安を感じていますか?実は、多くのユーザーが同じ点を心配しています。

ウォレット保管の不安要因ランキング

グラフ2

では、人々は資産保管方法について何に不安を感じているのでしょうか。複数回答で調査した結果、「どの方法が安全かわからない」が23.3%(311名)と最も多く、次いで「詐欺や不正送金が怖い」(21.9%、293名)、「手数料や手順が難しい」(21.1%、282名)となっています。

これらの不安の背景には、ウォレット選択に関する情報量の不足と、その情報の質的なばらつきが存在します。CEXとDEXの違い、カストディアンとノンカストディアンの違い、ホットウォレットとコールドウォレットの違いなど、理解すべき概念は多岐にわたっていますが、こうした基本的な概念すら、多くのユーザーには周知されていないのが現状なのです。

初回投資額分布

グラフ3

ウォレット選択の判断にあたっては、投資額の大きさも重要な要因です。少額投資であればセキュリティよりも利便性を優先する傾向が見られ、大額投資であればセキュリティ重視になる傾向があります。調査対象者の初回投資額の分布を見てみましょう。

初回投資額だけでなく、継続的な月間投資額も、ウォレット選択の判断に影響します。

定期的に投資を行う層は、より使いやすいウォレットを求める傾向があり、逆に一時的な投資層はセキュリティ重視になる可能性があります。

世代別のウォレット不安クロス分析

グラフ4

ウォレット保管に関する不安も、世代によって異なると考えられます。年代別のデータを詳しく見てみましょう。

世代

構成比

主な不安①

主な不安②

主な不安③

Y世代

37.6%

安全性の判断不安(21-23%)

詐欺リスク懸念(20-22%)

復元フレーズ管理(18-20%)

氷河期世代

28.2%

安全性の判断不安(24-26%)

詐欺リスク懸念(22-24%)

手数料・手順(22-24%)

Z世代

15.4%

安全性の判断不安(22-24%)

操作ミス懸念(15-17%)

手数料・手順(19-21%)

バブル・新人類世代

15.7%

安全性の判断不安(24-26%)

詐欺リスク懸念(23-25%)

操作ミス懸念(17-19%)

では、ウォレット管理で最も気をつけるべき点は何でしょうか。あなたは正しく対策できていますか?

復元フレーズ管理の重要性

グラフ5

ウォレット保管において最も重要な要素の一つが、復元フレーズ(シードフレーズ、ニーモニック)の管理です。本調査で「復元フレーズの管理が不安」と答えた層は19.1%(255名)に達しており、この概念の理解と重要性の認識が十分でない実態が浮き彫りになっています。

復元フレーズは、ウォレットを復元するための唯一の方法です。秘密鍵をバックアップする手段であり、デバイスを紛失した場合や、ウォレットソフトウェアが使用不可能になった場合にのみ依存できており、この復元フレーズが漏洩すれば、資産は完全に失われます。

しかし、多くのユーザーは、この重要性を過小評価しており、紙に手書きする、スマートフォンに保存する、クラウドストレージに保存するなど、不適切な管理方法を採用しているのが現状なのです。

安全な復元フレーズ管理には、複数の要件があります。第一に、オンライン環境に保存しないことが重要です。第二に、複数の場所に分散保管すること(「シード分割」)。第三に、物理的なセキュリティ対策(金庫保管、複数拠点保管)。これらを全て実現することは、多くのユーザーにとって負担が大きく、結果として取引所保管という選択肢になってしまうわけです。

自己管理 vs 取引所管理のリスク比較

ウォレット選択の最大の判断軸は、「自己管理するか」「取引所に預けるか」というトレードオフです。各アプローチの利点と欠点を整理してみましょう。

自己管理ウォレット(ノンカストディアン)の利点は、完全な資産所有権を保有することです。秘密鍵を自ら管理するため、いかなる第三者も資産にアクセスできません。一方、欠点は操作の複雑性と、紛失・盗難のリスクです。復元フレーズを失えば、資産は永遠に失われており、秘密鍵が漏洩すれば、資産は盗まれます。

取引所保管(CEXカストディアン)の利点は、操作の簡単さと、紛失リスクの低さです。取引所が技術的な管理を行うため、ユーザーはアカウントのIDとパスワードのみ管理すればよいです。一方、欠点は、取引所破綻時のリスク、ハッキングリスク、規制リスク、また資産の真の所有権を有しないという点です。

本調査で「どの方法が安全かわからない」という不安を挙げた層が23.3%にのぼるのは、このトレードオフを十分に理解できていない状況を反映しているものと考えられます。

経験年数と保管理解度の関係

投資経験年数と、ウォレット保管方法の理解度の関係を見てみましょう。経験年数別の構成は、1〜3年が22.5%(301名)と最も多く、1年未満が15.8%(211名)、3〜5年が8.3%(111名)、5年以上が7.2%(96名)となっています。

一般的には、経験年数が長いほどセキュリティ意識が高まり、自己管理ウォレットの利用率が高くなると予想されます。5年以上の投資経験を有する層は、過去の取引所破綻やハッキング事件を経験している可能性が高く、セキュリティの重要性を身をもって学んでいるはずだからでしょう。

一方、1年未満の新規投資家は、取引所での保管を標準化させており、ウォレット管理の知識が不足している可能性が高いと考えられます。

今回の調査から見えてきたこと

本調査から明らかになったのは、暗号資産保管方法の選択における知識不足が大きな課題であるということです。調査対象の過半数がウォレット保管に関する不安を有しており、その不安の主な原因は「安全性の判断不安」と「詐欺・不正リスク」であることが明らかになりました。

特に気になるのは、「どの方法が安全かわからない」という不安が最も多く挙げられたという点です。これは、CEX、DEX、ハードウェアウォレットといった選択肢の相対的な安全性について、ユーザーが正確な情報を有していないことを示唆しています。

また、「復元フレーズの管理が不安」と答えた層(19.1%)の存在も注目に値します。この層は、自己管理ウォレットの採用を検討しているものの、その技術的な要件に不安を感じている可能性が高いのです。

まとめと提言

暗号資産の保管方法の選択は、セキュリティとアクセス利便性のバランスに関する重要な決定です。本調査により、約3人に1人のユーザーが「どの方法が安全かわからない」と不安を感じており、その理由が情報不足であると考えられました。

では、業界各プレイヤーには何ができるのでしょうか。

ユーザーとしてできることは、リスク意識を持つことです。取引所保管の便利さと引き換えに、どのようなリスクを負っているのかを自身で理解することが重要になるでしょう。

また、規制変化による取引所サービスの中止、ハッキングによる資産喪失の可能性なども、具体的な事例をチェックする必要が出てきます。

「とりあえず取引所に預けたまま」というあなたも、この機会に保管方法を見直してみてはいかがでしょうか。

本調査では、保管に不安を感じているユーザーが多数いることがわかりました。少額から試してみるなら、まずソフトウェアウォレットへの移動を検討してみましょう。大切な資産を守るための第一歩は、選択肢を知ることから始まります。

調査概要

項目

内容

調査名

ウォレット理解度調査レポート

調査時期

2026年2月

調査対象

1,335名(男性59.6%、女性40.4%)

調査方法

インターネット調査

調査機関

株式会社clabo編集部

対象世代

Y世代37.6%, 氷河期28.2%, Z世代15.4%, バブル9.1%, 新人類6.6%

投資経験者

現在投資中37.6%, 過去経験16.3%, 経験なし46.2%

投資経験年数

1〜3年22.5%, 1年未満15.8%, 3〜5年8.3%, 5年以上7.2%

本レポートは情報提供を目的としており、いかなる投資勧誘や助言を構成するものではありません。暗号資産(仮想通貨)投資には高いリスクが存在し、投資判断は自己責任で行ってください。本レポートの内容の正確性、完全性、有用性について、いかなる保証も提供いたしません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の判断で行い、必要に応じて専門家の助言を求めてください。