暗号資産の運用において「秘密鍵」や「パスワード」の管理は、資産を守るための最重要事項です。
しかし、実際に管理が徹底できている人はどれくらいいるのでしょうか。
今回、暗号資産ユーザーを対象に、シードフレーズの紛失や資産喪失に関する独自調査を実施しました。
驚くべきことに、ユーザーの約2割が紛失により大切な資産を失った経験があり、一度失った資産の復旧成功率は45%にとどまります。
特に20代や投資初期の投資家に紛失トラブルが集中しており、誰にとっても人ごとではありません。
本記事では、アンケートから明らかになった紛失のメカニズムと、資産を守るために必要な管理の実態を深掘りします。
暗号資産ユーザー19.4%が紛失で資産喪失を経験
紛失トラブル発生率と詳細な実態

回答 | 回答数 | 割合 |
|---|---|---|
紛失経験はない | 288 | 38.6% |
紛失しかけたことがある | 193 | 25.9% |
紛失して資産を失った | 145 | 19.4% |
紛失したが復旧できた | 120 | 16.1% |
シードフレーズやパスワードの管理は、自己責任が原則の暗号資産において最も重要な守りです。
当社のアンケート調査によれば、19.4%のユーザーが実際に紛失し、資産を失った経験があると回答しました。
さらに、危うく紛失しかけた層も25.9%存在しており、管理の難しさが浮き彫りとなっています。
何らかの形で紛失に直面したことのあるユーザーを合計すると、6割を超えます。
「自分だけは大丈夫」という認識は、非常に危険であるといえるでしょう。
デジタル資産の保全には、現状よりも一段階上のセキュリティ意識が求められます。
紛失後の復旧成功率は約45%にとどまる

区分 | 割合 |
|---|---|
復旧成功率 | 45.3% |
資産喪失率 | 54.7% |
紛失が発覚した際、すべてのケースで資産が守られるわけではありません。
今回の調査で、実際に紛失トラブルに遭った265名を対象に追跡したところ、復旧に成功したのは45.3%でした。
裏を返せば、54.7%ものユーザーが一度の紛失で大切な資産を永久に失っています。
この数字は、暗号資産投資における「バックアップの重要性」を如実に物語っています。
復旧の成否は、事前にどのような対策を講じていたかで決まるといっても過言ではありません。
一度失ったシードフレーズを復元することは、ほぼ不可能だからです。
技術的に復旧が可能か否かの境界線は、非常にシビアな領域にあります。
日頃の備えを疎かにした結果が、取り返しのつかない事態を招いている側面は否定できません。
万全を期すことが、投資家にとって唯一の防御策となるでしょう。
資産喪失リスクは全保有者に潜む脅威
暗号資産の保有は、常に自己管理という大きなリスクと隣り合わせです。
資産喪失率が50%を超えているという事実は、投資を継続するすべてのユーザーにとって無視できないデータです。
「紛失」は単純なミスとして片付けられがちですが、実際には資産を直接脅かす致命的なイベントになり得ます。
これまでトラブルを経験していない方であっても、同様のリスクを抱えていることを自覚すべきです。
保管方法の見直しや、物理的なバックアップの徹底は必須といえます。
今の管理体制が本当に堅牢であるか、改めて精査する好機かもしれません。
本調査の結果は、暗号資産の歴史が示す「自己責任」の重みを再認識させるものです。
利便性を追うあまり、安全性をおろそかにしていないでしょうか。
投資の成功を追い求める以上に、資産を「守り抜く」仕組み作りを優先させることが肝要です。
年代別に見る紛失リスク
20代の紛失率が突出する背景

年代 | 回答数 | 紛失経験率 |
|---|---|---|
20代 | 139 | 67.3% |
30代 | 146 | 57.0% |
40代 | 127 | 38.0% |
50代 | 90 | 33.3% |
60代 | 48 | 27.1% |
若年層、特に20代において紛失経験率が67.3%と極めて高い水準にあります。
デジタルネイティブ世代であり、日常的にスマホやPCを使いこなしているにもかかわらず、この数字は驚異的です。
暗号資産特有の「秘密鍵」や「シードフレーズ」という概念が、従来のパスワード管理とは根本的に異なるためだと推測されます。
彼らは利便性を優先するあまり、セキュリティ対策を簡略化してしまいがちです。
スマホのメモ帳やスクリーンショットでの保存は、ハッキングや紛失のリスクと常に隣り合わせです。
手軽に始められる環境が整う一方で、適切な管理方法の教育が追いついていない現状が浮かび上がります。
年代が上がるほど資産喪失率は低下

年代 | 資産を失った割合 |
|---|---|
20代 | 28.1% |
30代 | 15.1% |
40代 | 8.7% |
50代 | 6.7% |
60代 | 4.2% |
年代別の資産喪失率を見ると、20代の28.1%が突出して高く、年齢が上がるにつれて段階的に低下していく構造が確認できます。
60代では4.2%まで下がり、20代との差は約7倍にも達しています。
紛失トラブルが発生した際、若年層は復旧手段を自力で探し出すリテラシーが高い傾向にあるとされますが、データはむしろ逆の結果を示しているのです。
若年層は活発に取引を行うため、ウォレット操作の頻度自体が多く、ミスに直面する機会も比例して増えています。
「どこかに記録したはず」という記憶への依存も、トラブルを複雑化させている要因の一つです。
投資初期だからこそ、シードフレーズ管理のルールを最初の段階で確立させることが、その後の資産防衛力を大きく左右します。
世代ごとに異なる管理リスクの実態
紛失の形は、世代によって明確に異なります。
若年層は「うっかり消してしまう」という運用上のミスが目立つのに対し、シニア層は「保管場所を失念する」というケースが支配的です。
一括りに「暗号資産の紛失」と言っても、その背後にある要因は多様性に富んでいます。
個々のライフスタイルやリテラシーに応じた管理方法を確立することが、今まさに求められています。
共通のルールを押し付けるのではなく、自身の年代や環境に合わせたセキュリティ対策が必要です。
どの世代であっても、資産を失うリスクは等しく存在しており、日々の注意を怠ることは許されません。
投資歴1~2年目で紛失率が急上昇
新規参入直後に潜む紛失リスク

経験年数 | 紛失経験率 |
|---|---|
1年未満 | 30.3% |
1~2年未満 | 51.9% |
2~3年未満 | 52.0% |
3~5年未満 | 56.0% |
5年以上 | 54.0% |
暗号資産投資を開始して間もない時期は、最も紛失トラブルが発生しやすい期間といえます。
1年未満の投資家では紛失経験率が30.3%ですが、1〜2年を経過した時点で51.9%へと一気に跳ね上がります。
これは、投資に慣れ始め、ウォレットの操作が日常化するタイミングで油断が生じるからでしょう。
当初は慎重に管理していたシードフレーズも、時間が経過することで管理が甘くなりがちです。
多くの初心者がこの時期に、セキュリティ意識の維持という壁に直面します。
初期の緊張感が薄れるタイミングこそ、最大の危機の入り口かもしれません。
中級層が直面する管理の壁
投資歴が長くなれば紛失リスクが減るかといえば、データを見る限りそうとは言い切れません。
3〜5年未満の層では紛失経験率が56.0%にまで達しており、中級層も依然として高いリスクを抱えています。
投資額の増加や、複数のウォレットを使い分ける複雑さが、ミスを誘発している可能性が高いです。
一度の成功体験が、過信を生んでいるのではないでしょうか。
慣れ親しんだ操作であっても、暗号資産の特性上、わずかなミスが資産喪失に直結します。
どれほど経験を積んでも、常に「紛失の可能性」を頭の片隅に置くべきです。
5年以上の熟練層に潜む危機
投資歴が5年を超える熟練投資家であっても、紛失の影からは逃れられません。
資産を実際に失った経験率は54.0%と高い水準を維持しており、ベテラン投資家であっても、ヒヤリハットを経験しているという事実は見逃せません。
長年の運用で構築されたシステムや保管方法が、いつの間にか陳腐化しているケースも見受けられます。
最新のセキュリティトレンドへの対応が遅れることで、思わぬ落とし穴にはまるのでしょう。
経験を過信せず、常に管理体制をアップデートし続ける姿勢こそが、長く投資を続けるための鍵です。
紛失者の保管方法PCやスマホなど全手段で喪失発生

保管方法 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
PCのファイル | 58 | 40.0% |
パスワード管理アプリ | 56 | 38.6% |
紙に書いて保管 | 54 | 37.2% |
スマホのメモアプリ | 50 | 34.5% |
クラウドストレージ | 45 | 31.0% |
金属板に刻印 | 39 | 26.9% |
管理していない | 26 | 17.9% |
デジタル環境における保管の落とし穴
暗号資産のシードフレーズやパスワードを紛失し、資産を失った方の実態を詳細に分析しました。
最も多い保管方法は「PCのファイル」で、全体の40.0%を占めています。
日常的に利用する端末内にデータを保存することが、かえって紛失や流出のリスクを高めているのは皮肉な結果です。
パスワード管理アプリやスマホのメモアプリを利用する層も、それぞれ3割以上存在します。
これらは非常に便利ですが、端末の故障やクラウド同期の不具合が起きれば、二度とアクセスできなくなる懸念がつきまといます。
デジタル完結型の保管は、バックアップ体制が不十分であれば「脆弱な砦」になりかねません。
紙や金属板による物理管理の限界
デジタル機器を避け、紙や金属板といった物理的な媒体で保管している層でも喪失事故は発生しています。
「紙に書いて保管」しているユーザーの37.2%が資産を失っており、物理的な記録も万全ではないことがわかります。
紙は火災や水害、紛失のリスクを孕んでおり、経年劣化による文字の読み取り不能も無視できません。
金属板に刻印する方法は、耐久性の面では最も優れていますが、それでも26.9%が喪失しています。
これは単なる「記録」だけでなく、その記録場所を忘れてしまったり、第三者に見つかって破棄されるといったケースが想定されます。
どんな強固な手段を選んでも、管理者が場所を失念しては意味がないのです。
管理自体を行わない層の最大リスク
特筆すべきは、そもそも管理らしい管理を行っていなかった層の存在です。
17.9%のユーザーが「管理していない」と回答しており、これが資産喪失の直接的な引き金となっています。
暗号資産は自分の資産を自ら守る責任がありますが、この数字を見る限り、まだその認識が浸透していない層が一定数存在します。
どのような保管方法であっても、事故をゼロにすることは困難です。
しかし、何も対策を講じない状態は、資産を道端に放置しているのと変わりません。
まずは「紙に書いて金庫に入れる」といった基本的な動作から、確実な管理体制を構築することが肝要です。
まとめ
今回の調査を通じて、暗号資産投資における「紛失リスク」の深刻な実態が明らかになりました。
19.4%というユーザーが紛失によって資産を喪失している事実は、投資家にとって決して無視できない警告です。
特に20代を中心とした若年層の高い紛失率や、投資経験の浅い時期における急激なリスク増大は、管理リテラシーの向上が急務であることを示しています。
また、どのような保管方法であっても資産喪失を完全に防ぐことはできておらず、デジタル・物理を問わず複合的なバックアップが不可欠です。
復旧成功率が45%にとどまる現状では、一度のミスが資産を永久に奪う可能性があります。
「自分は大丈夫」という過信を捨て、複数の保管方法を組み合わせるなどのリスク分散が、暗号資産と長く付き合っていくための唯一の生存戦略といえるでしょう。
調査概要
調査実施日:2026年4月10日
調査方法:インターネット調査
調査対象:国内在住の男女(暗号資産に投資している人、投資したことのある人)
有効回答数:746名
実施機関:株式会社Clabo
調査設問項目
- 暗号資産(仮想通貨)の投資経験はありますか?
- 暗号資産への投資経験年数はどのくらいですか?
- シードフレーズはどのように保管していますか?
- シードフレーズやパスワードを紛失した経験はありますか?




