日本円を始めとする通貨は、買い物や送金、貯蓄など、実に様々な用途で使われています。一方で、暗号資産(仮想通貨)も「資産」や「通貨」と呼ばれることがある以上、何に使えるのかが気になるのではないでしょうか。

暗号資産の最大の特徴は、銀行や国といった中央管理者を介さずに、個人同士で価値をやり取りできる点にあります。この仕組みによって、実は、従来の金融や決済システムでは実現が難しかった使い方が可能になりました。

本記事では、暗号資産が何に使えるのか、実際の活用方法を例に解説していきます。

暗号資産は何に使える?7つの活用例

暗号資産は投機対象として語られることが多い一方で、実際には複数の用途を持っています。

  • 投資
  • 決済
  • 送金
  • 寄付や支援
  • サービスやアプリの基盤
  • 法定通貨との交換
  • 資金調達

それぞれの用途を理解することで、暗号資産がどのように使われているのかが見えてきます。ここからは、具体的な活用例を順に見ていきましょう。

役割①:投資

暗号資産は、価格の変動を利用して利益を狙う投資対象として利用されています。現在、多くの人が暗号資産に関心を持つ理由のひとつも、この投資としての側面にあります。

暗号資産は、株式と同様に市場で価格が決まり、需要と供給のバランスによって価値が変動します。多くの銘柄では発行枚数や供給のルールがあらかじめ定められており、その条件のもとで売買がおこなわれます。そのため、需要が高まれば価格は上昇し、需要が弱まれば価格は下落するという、市場の仕組みが比較的分かりやすく働きます。

具体的には、暗号資産取引所で日本円などの法定通貨と交換し、価格が割安と判断したタイミングで購入し、上昇した段階で売却することで差益を狙います。この考え方は、株式投資やFXと基本的に共通しています。

一方で、暗号資産は24時間365日取引が可能であり、価格変動が大きい傾向があります。そのため、短期間で大きな利益が得られる可能性がある反面、同様に損失が拡大するリスクもある点には注意が必要です。

投資対象として扱う場合は、値動きだけで判断するのではなく、仕組みとリスクを理解したうえで利用することが重要です。

役割②:決済

暗号資産は、一部の加盟店や対応サービスにおいて、商品やサービスの代金を支払う手段として利用されています。決済に使える理由は、インターネット上で価値を直接相手に移転できる仕組みを持っているためです(実際には決済を円滑に処理するために事業者が介在するケースもあります)。

具体例として、日本の大手家電量販店であるヨドバシカメラでは、決済にビットコインを利用できます。

ただし、暗号資産決済に対応している店舗やサービスはまだ限られており、すべての場面で利用できるわけではありません。このように実用例はあるものの、価格変動の大きさや対応範囲の制限から、現時点では日常的な決済手段というより、特定の場面で利用される選択肢のひとつと位置付けるのが適切です。

役割③:送金

暗号資産は、個人から個人に価値を移転する送金として利用できます。特に、国境を越えた送金や、金融機関を介さない資金移動において、その特徴が発揮されます。

日本円を海外に送金する場合、銀行や送金サービスを通さなくてはならず、手数料や着金に時間が時間がかかります。一方で、暗号資産はブロックチェーン上で取引が処理されるため、国や金融機関をまたぐことなく送付できる仕組みを持っています。そのため、送金先の地域や通貨に左右されず、相手のウォレットアドレスを指定することで送付が可能です。

注意点として、送付先アドレスを誤ると取り消しができないことや、価格変動の影響を受ける点が挙げられます。そのため、送金手段として利用する場合は、仕組みとリスクを理解したうえで慎重に扱うことが重要です。

役割④:寄付や支援

暗号資産は、個人や団体に対する寄付や支援の手段としても利用されています。暗号資産による寄付の特徴は、国や地域の制約を受けにくく、離れた相手にも価値を送れる点にあります。

ウォレットアドレスを指定することで送付が可能であり、銀行口座などを前提としない形で支援がおこなわれるケースもあります。また、仲介者を介さずに直接送付できる仕組みを持つため、支援の意思を相手に届けやすいという側面もあります。

このような特徴から、暗号資産は寄付や支援と相性の良い手段のひとつとされています。ただし、支援先が暗号資産の受け取りに対応している必要があることや、価格変動の影響を受ける点には注意が必要です。

役割⑤:サービスやアプリの基盤

暗号資産は、決済や送金だけでなく、特定のサービスを利用するための手段や利用料としても使われています。この用途では、暗号資産は単なる支払い手段ではなく、サービスを動かす仕組みの一部として位置付けられます。

具体的には、サービスの利用や特定の処理を実行する際に、暗号資産の支払いが必要になる形です。代表例として、イーサリアムでは、取引サービスやデジタルコンテンツの管理など、様々な仕組みが構築されています。

これらのサービスでは、操作や契約を実行する際に暗号資産が利用されます。従来は企業や運営者が中央で管理していたサービスも、暗号資産を基盤とする仕組みでは、特定の管理者に依存せず、あらかじめ定められたルールに基づいて自動的に処理がおこなわれます。

このように、暗号資産は「支払うための手段」にとどまらず、サービスそのものを成立させる役割も担っています。

役割⑥:法定通貨の代替

暗号資産は、国が発行する法定通貨とは異なる仕組みを持ち、代替的な手段として利用されることがあります。ここでいう代替とは、日本円や米ドルの代わりとして、価値の保管や移転に用いられるという意味です。

法定通貨は国や中央銀行によって発行・管理されていますが、暗号資産は特定の国や機関に依存せず、共通のルールに基づいて運用されています。この性質から、特定の国の経済状況や金融政策の影響を受けにくいと考えられる場面があります。

例えば、自国通貨の価値が不安定な地域において、資産の一部を暗号資産で保有したり、国境を越えた価値の移転に利用されたりするケースがあります。

また、銀行口座の有無に関わらず、インターネット環境とウォレットがあれば価値の保有や移転が可能である点も特徴のひとつです。

役割⑦:資金調達

暗号資産は、新しいサービスや事業を立ち上げる際の資金調達手段としても利用されています。代表的な仕組みとして、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)が挙げられます。

ICOとは、企業やプロジェクトが独自のトークンを発行し、それを購入してもらうことで資金を集める方法です。銀行融資や株式発行とは異なり、インターネットを通じて広く資金を募ることができる点が特徴です。

2017年前後には世界的に活用が広がり、多くのプロジェクトが暗号資産を通じて資金調達をおこないました。一方で、事業内容が不透明なまま資金だけが集まるケースや、購入者が十分な情報を得られないまま参加する事例も見られ、投資家保護や規制の必要性が指摘されています。

参照:暗号資産技術を利⽤した資⾦調達

このように、暗号資産による資金調達は新たな選択肢のひとつである一方、仕組みとリスクを理解したうえで慎重に判断すべき手法といえます。

おわりに

暗号資産の使い道を理解することは、その価値の背景を考えるうえで重要な視点です。暗号資産の価格は、単なる期待や話題性だけで決まるものではありません。どのような用途で使われているかによって需要と供給が変化し、その結果として価格に影響が生じます。

例えば、決済や送金に利用される暗号資産であれば、利用者や対応サービスが増えるほど需要は高まりやすくなります。また、プラットフォームとして機能する暗号資産の場合は、その上で動くサービスやプロジェクトの広がりが価値に影響します。

一方で、具体的な用途が見えにくいまま注目されている暗号資産は、価格上昇の根拠が弱く、下落時の支えも乏しくなりがちです。このような銘柄は、投資対象としての判断が難しい側面があります。

暗号資産への投資を考える際には、短期的な値動きだけで判断するのではなく、その資産がどのような場面で使われ、どのような役割を担っているのかを確認することが重要です。使い道を理解することで、その需要が継続するのか、それとも一時的なものにとどまるのかを見極めやすくなります。投資判断をおこなううえでは、「何に使われているのか」という視点を持つことが欠かせません。