暗号資産投資家を対象とした本調査で、回答者の40.9%が不正アクセス等のハッキング被害を経験している実態が明らかになりました。
特に驚くべきは、セキュリティ対策に自信があるユーザーや、2段階認証を徹底する活動的な層ほど被害率が高いという逆説的な事実です。
なぜ、防衛意識の高い投資家が攻撃の標的となるのか。
本記事では年代別や投資歴、セキュリティ意識別の詳細データをもとに、暗号資産市場で資産を守り抜くために必要な本当のリスク管理術を解き明かします。
ハッキング被害経験率40.9%

回答 | 回答数 | 割合 |
|---|---|---|
被害なし | 415人 | 55.6% |
被害あり(資金は無事) | 216人 | 29.0% |
被害あり(資金を喪失) | 89人 | 11.9% |
全体4割が不正アクセスを経験
暗号資産投資家を対象とした今回の調査において、何らかの不正アクセスやハッキング被害を経験した割合は、全体の40.9%に達しました。
この数字は、Web3領域におけるセキュリティリスクが、もはや一部の技術者だけの問題ではなく、一般投資家にとって無視できない日常的な脅威であることを物語っています。
半数以上の55.6%は被害を免れていますが、投資家の約5人に2人が攻撃の対象となった経験を持つ事実は、極めて深刻な水準といえるでしょう。
市場の急速な拡大に伴い、攻撃の機会が日常的に広がっている現状を反映しており、投資家ひとりひとりが自らの資産を守るための防衛力を高める必要性を突きつけています。
投資家は、いつ自分のアカウントやウォレットが標的になっても不思議ではないという前提で、環境を認識すべきです。
多くのユーザーが潜在的にリスクに晒されており、日常の取引の中に危険が潜んでいることを再確認する必要があります。
資金喪失に至ったのは約1割
被害経験者の中でも、実際に暗号資産を奪われる資金喪失に至ったケースは11.9%という結果でした。
残りの29.0%は、攻撃を受けたものの資産は無事であった、いわゆる被害未遂に留まっています。
一見すると、実際に資産を失った層は低い数値にも思えるかもしれません。
しかし、保有資産を守り切れた人が大半を占める一方で、約10人に1人は致命的な被害を受けている点は、決して看過してはならない事実です。
このデータは、攻撃者からのアクセスがあっても、迅速な対処やウォレットの切り離しによって被害を防ぐ余地があることを示唆しています。
一方で、一度の油断や対応の遅れが資産を完全に消失させる決定的な一撃になり得るという、厳しい警告でもあります。
投資という行為において、資産を守り抜くことの難しさをこの数値が如実に物語っているのではないでしょうか。
資産防衛の意識を常にアップデート
被害に遭いながらも資産は無事だった層は、早期の異変察知や不審なサイトへの接続回避など、何らかの防衛行動が奏功した可能性があります。
彼らの成功事例は、適切なリスク管理が被害を食い止めるという何よりの証明です。
しかし、一度の成功体験が今後の安全を保証してくれるわけではありません。
セキュリティ技術が日進月歩で進化する一方で、攻撃手法も同様に巧妙化の一途を辿っており、過去の対策が通用しないケースも増えています。
セキュリティ対策を講じていれば完全に安心できるという環境ではないことは明白です。
投資家一人ひとりが自身の資産管理体制を見直し、防衛意識を常にアップデートし続けることが、長期的な資産運用の鍵となります。
変化する脅威に対応し、自らの暗号資産を守るための知識を更新し続ける努力こそが、投資家としての責任といえるのです。
年代別で被害率に4倍以上の格差

年代 | 被害経験率 | うち資金喪失 |
|---|---|---|
20代 | 65.3% | 17.6% |
30代 | 49.8% | 13.0% |
40代 | 35.0% | 8.0% |
50代 | 20.8% | 5.0% |
60代 | 18.0% | 6.2% |
20代の被害率は突出の65.3%
今回の調査で最も顕著だったのは、20代における被害経験率の高さです。
65.3%という数字は、他の年代と比較しても圧倒的に突き抜けています。
SNS経由での情報収集や、話題のDeFiプロジェクトへの積極的な参加など、若年層特有のアクティブな投資行動が背景にあると考えられます。
彼らは新しい技術への適応力が高い一方、攻撃者が仕掛ける巧妙な罠に足を踏み入れる機会も多いのです。
この数値は決して偶然ではなく、若年層の行動様式そのものが攻撃のリスクに直結していることを示しています。
デジタルネイティブな世代だからこそ、最新の脅威に対するガードをさらに固めるべきといえるでしょう。
30代40代は経験率が中程度
30代と40代の被害経験率は、それぞれ49.8%と35.0%となりました。
20代に比べれば低いものの、依然として看過できない水準にあることは間違いありません。
働き盛りであるこの世代は、忙しい日々の隙間を縫って投資を行うことが多いはずです。
十分な調査時間を確保できないまま、利便性を優先してプラットフォームを選んでしまうことが、リスクを高める一因となっている可能性があります。
中堅層としての経験はありますが、暗号資産特有のセキュリティトラブルに対する備えは、まだアップデートの余地があるようです。
油断せず、基本的な対策を徹底することが資産を守る道といえます。
50代以上は被害経験が低水準
一方で、50代の被害経験率は20.8%、60代では18.0%と、年代が上がるにつれて数値は顕著に低下します。
若年層と比較すると、その差は歴然です。
高齢層の投資家は、保守的な運用を好む傾向が強いといえます。
リスクの高い新規サービスや、複雑なオンチェーン取引への接触頻度が少ないことが、被害の低さに繋がっていると考えられます。
決してセキュリティ意識が極端に高いから被害に遭わないわけではありません。
攻撃の標的となる活動自体が相対的に少ないことが、低い被害率の背景にあるのです。
活動量が資産を守る防御壁になっているという、投資スタイルによる構造的な違いが読み取れます。
投資歴1〜2年で被害率がピーク

投資経験年数 | ハッキング経験率 | 資金喪失率 |
|---|---|---|
1年未満 | 30.0% | 12.0% |
1〜2年 | 51.4% | 15.0% |
2〜3年 | 48.0% | 12.0% |
3〜5年 | 45.0% | 10.0% |
5年以上 | 42.0% | 8.0% |
投資初期に被害集中する傾向
投資を開始して1〜2年目の期間が、最もハッキング被害に遭いやすいという衝撃的な事実が浮かび上がりました。
経験率が51.4%に達し、過半数の投資家が何らかの被害を経験しています。
暗号資産市場への参入初期は、取引操作やウォレット管理に不慣れな時期といえるでしょう。
この時期の習熟度の低さが、攻撃者の格好のターゲットになっていると推察できます。
多くのプロジェクトに触れようとする好奇心が、リスク管理を疎かにさせる要因かもしれません。
まずは基本を固めることが求められます。
熟練度とリスクの相関分析
投資年数が5年以上経過した層では、経験率が42.0%へと低下する傾向が見られます。
一方で、資産喪失率は8.0%まで抑制されており、経験がリスク回避に役立っている証拠といえるでしょう。
長く市場に身を置くことで、セキュリティに関する知識やトラブルへの対処力が向上しているからと考えられます。
投資歴は単なる期間ではなく、暗号資産を守るための免疫力を高める時間ともいえます。
熟練投資家であっても被害がゼロになることはありません。
過信を捨てて運用を続けることが、資産保護の最良の策といえます。
1年未満層の油断なき警戒
まだ投資を始めて1年未満の層は、被害率が30.0%と最も低くなっています。
これは取引量そのものが少ないだけでなく、まだ分からないことが多いゆえに、かえって慎重に行動している結果かもしれません。
しかし、知識不足のまま甘い言葉に誘われて市場環境が変われば、一気に被害に遭う可能性も秘めています。
初心者のうちにこそ、正しいセキュリティ知識を身につけておくことが肝要です。
投資スタイルが固まる前のこの時期は、学習コストをかけるべき最大の好機といえます。
最初から堅牢な防衛手段を構築していきましょう。
セキュリティ自信層の被害率60.6%

セキュリティ意識 | 被害経験率 |
|---|---|
しっかりやっている自信がある | 60.6% |
重要だとわかっているが面倒 | 49.4% |
最低限はやっている | 31.7% |
あまり気にしていない | 14.5% |
自信がある層の被害率が60.6%に
今回の調査で、セキュリティに対して「しっかりやっている自信がある」と回答した層の被害経験率が60.6%に達しました。
この数値は、「あまり気にしていない」と答えた層の14.5%を大きく上回る結果です。
非常に驚くべき逆説的なデータといえるでしょう。
通常、防衛意識が高いほど被害には遭いにくいと考えるのが自然ですが、この調査結果は全く逆の側面を映し出しています。
なぜ自信のある層ほど高い被害率を示すのでしょうか。
この乖離こそが、暗号資産を取り巻くセキュリティリスクの複雑さを物語っています。
リスク意識と実態の逆説的構造
セキュリティに自信を持つ層ほど被害に遭いやすいという事実は、決して対策が無意味であることを示しているわけではありません。
むしろ、彼らがターゲットにされやすい環境に身を置いていると考えるのが妥当です。
多くのサービスを利用し、複雑な設定を駆使して資産を管理する投資家ほど、攻撃者の標的となりやすい傾向があります。
「自信がある」という意識は、自身のオンチェーン活動が活発であるという自負の裏返しではないでしょうか。
高い防衛意識を持っていても、それを超える巧妙な手口が横行しているのが現代の暗号資産市場です。
意識の高さだけでは防げない脅威が、確実に存在しています。
活動量こそがリスクを決める要因
被害率の違いは、セキュリティ対策の有無そのものというより、投資家の「活動量」の違いに起因している可能性が高いです。
活発にDeFiを利用したり、様々なトークンを取引したりする投資家ほど、外部との接点が多くなります。
接点が増えれば、必然的に攻撃を受ける機会も比例して増加するものです。
今回の結果は、セキュリティ対策が不十分だから被害に遭うのではなく、攻撃のチャンスが多い環境で活動していることを示唆しています。
アクティブな投資家ほど、自らの資産を守るためにさらに強固な防衛手段を講じる必要があります。
自らの活動レベルを客観視し、適した対策をとることが重要です。
2FAとリボーク実施者に被害が集中

2FA設定状況 | 回答数 | 被害経験率 |
|---|---|---|
一部のサービスに設定 | 333人 | 52.6% |
全てのサービスに設定済み | 219人 | 43.4% |
未設定 | 148人 | 21.6% |
2段階認証を知らない | 46人 | 6.5% |
リボーク実施状況 | 回答数 | 被害経験率 |
|---|---|---|
知っていて定期的に実施 | 95人 | 65.3% |
知っているがやっていない | 172人 | 61.0% |
聞いたことはある | 229人 | 43.7% |
知らない | 227人 | 15.9% |
2FA設定層が直面する高リスク
2段階認証(2FA)を設定しているユーザーの被害経験率は、設定していない層と比較して明らかに高い傾向にあります。
特に「一部のサービスに設定」している層では52.6%、「全て設定済み」の層でも43.4%が被害を経験しています。
これに対し、2段階認証を知らない層の被害率は6.5%に留まっています。
この数値の開きは、セキュリティ対策の有無が被害の直接的な原因であることを示唆しているわけではありません。
むしろ、2段階認証を意識して設定するようなユーザーこそ、積極的に暗号資産サービスを利用しているという証左でしょう。
活発な取引を行うユーザーほど攻撃対象になりやすく、結果として被害率が高まっています。
リボーク実施者の被害率は6割超
スマートコントラクトの承認を取り消すリボークについても、同様の傾向が確認されました。
「知っていて定期的に実施」している層の被害経験率は65.3%と、極めて高い数値となっています。
リボークを定期的に行うということは、それだけ多くのDApps(分散型アプリ)やDeFiサービスに触れていることを意味します。
新しいコントラクトを頻繁に承認する行動は、知らず知らずのうちにリスクに身をさらしている状態に他なりません。
一方で、リボークという概念を「知らない」層の被害経験率は15.9%にとどまっています。
この結果は、オンチェーン活動の広さと、セキュリティ上の脅威が背中合わせであることを如実に物語っています。
被害の正体は対策ではなく活動量
ここまでのデータから、セキュリティ対策を講じている人ほど被害に遭いやすいという逆説的な相関が見えてきます。
2段階認証やリボークといった防御策を適切に行う層は、そもそもリスクが高い領域で活動しています。
対策そのものが被害を引き起こしているのではなく、活動量が多いために攻撃の機会が増えていると考えるのが合理的です。
決して「対策をしても無駄」というわけではなく、防御を固める必要がある場所に身を置いているという自覚が重要です。
自身のオンチェーンでの活動量を正しく把握することが、真のセキュリティ対策の第一歩といえるでしょう。
ツールに頼るだけでなく、自分の取引頻度に見合った警戒レベルを設定し続けることが、資産を守るための必須条件となります。
まとめ
今回の調査を通じ、暗号資産投資家の約4割がハッキングや不正アクセスの被害を経験しているという現実が明らかになりました。
特に注目すべきは、セキュリティへの意識が高い層や、2段階認証・リボークといった防御策を講じている活動的なユーザーほど、被害経験率が高いという逆説的な構造です。
これは対策が不要であることを意味せず、むしろ活発なオンチェーン活動こそが攻撃の標的となりやすい環境であることを示唆しています。
被害を完全に防ぐことは困難ですが、初期の投資家ほど被害に遭いやすいというデータも、知識と経験が資産を守る防壁になることを物語っています。
セキュリティ対策は単なる設定作業ではありません。
自らの活動レベルやリスクを客観視し、常に警戒レベルをアップデートし続けることこそが、資産運用の第一歩といえるでしょう。
調査概要
調査実施日:2026年4月10日
調査方法:インターネット調査
調査対象:国内在住の男女(暗号資産に投資している人、投資したことのある人)
有効回答数:746名
実施機関:株式会社Clabo
調査設問項目
- 暗号資産(仮想通貨)の投資経験はありますか?
- 暗号資産への投資経験年数はどのくらいですか?
- 2段階認証(2FA)は設定していますか?
- セキュリティ対策について正直どう感じていますか?
- リボーク(Approve取消)を知っていますか?実施していますか?
- ハッキング・フィッシングに遭遇した経験はありますか?




