暗号資産市場の拡大とともに、投資家を狙う詐欺の手口は年々巧妙化しています。
本記事では、暗号資産に投資経験のある746名を対象に実施した独自調査の結果を公開します。
調査からは、投資家全体の61.4%が何らかの詐欺・フィッシングに遭遇しており、14.1%が実際に資金を失った経験を持つという厳しい実態が浮かび上がりました。
特に20代では75.2%が詐欺に接触しており、若年層ほど被害リスクが高い構造が明らかになっています。
また、SNS上では79.5%もの投資家が詐欺的な投稿を日常的に目撃しているという、被害と隣り合わせの投資環境も判明しました。
本記事では、詐欺の種類別の遭遇率や年代ごとのリスク差を紐解きながら、自身の資産を守るための具体的な視点を提示します。
投資家の61.4%が詐欺に遭遇、14.1%が資金喪失

詐欺・フィッシングの種類 | 回答数 | 割合 |
|---|---|---|
偽DMが来た | 204人 | 27.4% |
SNSの投資話に誘われた | 152人 | 20.4% |
偽サイトにアクセスした | 112人 | 15.0% |
実際に資金を失った | 105人 | 14.1% |
Approve詐欺に遭った | 85人 | 11.4% |
その他 | 49人 | 6.6% |
6割超が何らかの詐欺に接触している現実
暗号資産投資家746人を対象とした調査の結果、何らかの詐欺・フィッシングに遭遇した経験を持つ層が全体の61.4%、人数にして458人に達することが判明しました。
「遭遇したことはない」と回答した投資家は38.6%にとどまっており、この市場で資産を運用する以上、詐欺との接触はもはや避けられない通過儀礼のような状態となっています。
市場規模の拡大に比例して、犯罪グループのターゲット層も広がり続けています。
SNSのDMやメール、偽サイトといった複数の経路から、投資家は日常的に攻撃を受けているといっても過言ではありません。
「自分の元には怪しい連絡など来ない」という認識は、データを見る限り通用しないものといえるでしょう。
14.1%が実際に資金を失っている深刻さ
特に注目すべきは、回答者の14.1%にあたる105人が「実際に資金を失った」と回答している点です。
およそ7人に1人が、詐欺によって金銭的な実害を被っている計算になります。
警戒の対象は、もはや「遭遇するかどうか」ではなく、「いつ標的にされるか」というフェーズに移っています。
SNS投資話への誘導が20.4%、偽サイトへのアクセスが15.0%と続く構図も、被害が偶発的なものではなく構造的に発生していることを物語っています。
被害を最小化するためには、事前のリテラシー強化と、不審な接触をシャットアウトする運用ルールの徹底が欠かせません。
Approve詐欺11.4%──新型脅威の浮上
近年特に警戒が必要なのが、ウォレットの権限を悪用する「Approve詐欺」です。
今回の調査では11.4%にあたる85人が遭遇しており、決して無視できない規模で被害が発生しています。
この手口は、偽サイトでの署名要求を通じて、ウォレット内の資産を引き出す権限を奪うものです。
一度承認してしまうと、ユーザー自身が気づかないうちに資産が抜き取られていくため、被害認知が遅れがちな点が特徴となっています。
技術的な仕組みを理解していない投資家ほど狙われやすく、コントラクト承認画面の意味を学ぶことが、資産防衛の必須スキルとなりつつあります。
詐欺の種類別ランキング──偽DMとSNS投資話が二大手口
偽DMが27.4%でトップ──不特定多数を狙う一網打尽型
詐欺・フィッシングの遭遇種類で最多となったのは、27.4%が経験している「偽DM」でした。
4人に1人以上の投資家が、X(旧Twitter)やLINE、Telegramといったメッセージングサービスで、なりすましアカウントから直接的な勧誘を受けています。
偽DMは、攻撃者にとって最もコストが低く、不特定多数にリーチできる手法です。
公式アカウントを装ったり、有名人の写真を流用したりと、見た目だけでは見抜きにくい工夫が施されています。
身に覚えのないDMに含まれるリンクは絶対に開かない、という基本動作を徹底することが第一の防衛線です。
SNS投資話20.4%──インフルエンサー偽装の巧妙化
「SNSの投資話に誘われた」と回答した層は20.4%、152人に上りました。
タイムライン上で展開される魅力的な投資情報や、「必ず利益が出る」といった文言を含む勧誘投稿は、投資家にとって最も身近な脅威の一つです。
特に、相場が上昇局面にあるタイミングでは、投資意欲が高まった層を狙った勧誘が活発化します。
有名インフルエンサーになりすましたアカウントによる誘導は、見抜くハードルが高く、被害に直結しやすいといえます。
「フォロワー数が多い=信頼できる」という思い込みを捨て、必ず公式の認証バッジや過去の発言履歴を精査する習慣をつけるべきです。
偽サイト15.0%──URL一文字違いの巧妙な罠
正規の取引所やウォレットサービスを模倣した偽サイトへのアクセスを経験した投資家は、15.0%に達しました。
一見すると本物と区別がつかないレベルでデザインや文言が再現されており、視覚的な確認だけで真偽を判別するのは極めて困難です。
ドメインの一文字違いや、サブドメインを巧妙に使った偽装URLが主流となっています。
SNSや検索結果からのリンク経由でアクセスしてしまうと、ログイン情報やシードフレーズが瞬時に流出する危険性があります。
ブックマーク経由でのアクセス徹底や、URLの目視確認といった基本動作が、依然として最も有効な対策となります。
20代の75.2%が詐欺遭遇──若年層ほど高リスク

年代 | n | 遭遇あり率 | 資金喪失率 |
|---|---|---|---|
20代 | 153人 | 75.2% | 20.9% |
30代 | 207人 | 67.6% | 16.4% |
40代 | 187人 | 56.1% | 11.2% |
50代 | 120人 | 45.8% | 9.2% |
60代 | 48人 | 35.4% | 8.3% |
20代75.2%──デジタルネイティブほど標的に
年代別のクロス集計を行うと、20代の詐欺遭遇率が75.2%と全世代で突出しています。
実際に資金を失った割合も20.9%と最高値を記録しており、若年層ほど被害が深刻化する構造が浮き彫りとなりました。
SNSを主軸にする若年層にとって、偽情報やDM勧誘は日常的な接触経路です。
情報スピードを重視するあまり、URLの精査やアカウントの真贋確認を怠るケースが多発しています。
利便性を享受する代償として、攻撃の入口にも常時さらされている状況といえるでしょう。
60代の遭遇率35.4%──接触機会の少なさが防御に
対照的に、60代の遭遇率は35.4%と大幅に低い水準にとどまりました。
これは情報接触経路の違いが、結果として接触機会を減らしているとみられます。
ただし、高齢層が安全という意味ではありません。
被害時の損失額や技術的な復旧スキルの面では、依然としてリスクが残ります。
接触機会の少なさを過信せず、基本的な防衛知識をアップデートし続ける姿勢が求められます。
世代を超えて求められるリテラシー強化
遭遇率に2倍の差はあっても、いずれの世代も詐欺とは無縁ではいられません。
30代や40代の数値も、被害が特定の世代に偏っていないことを示しています。
「公式以外からの誘導は疑う」という原則は、全年代で共通の防衛策です。
自身のライフスタイルに合わせた対策こそが、資産を守る唯一の道となります。
SNSは詐欺の温床──79.5%が詐欺投稿を目撃

目撃頻度 | 回答数 | 割合 |
|---|---|---|
たまに見かける | 404人 | 54.2% |
頻繁に見かける | 189人 | 25.3% |
ほとんど見かけない | 104人 | 13.9% |
見かけたことがない | 49人 | 6.6% |
4人に1人が「頻繁に」目撃する異常事態
SNS上での詐欺的投稿の目撃頻度を尋ねたところ、79.5%の投資家が「見かける」と回答しました。
このうち「頻繁に見かける」と答えた層は25.3%、人数にして189人に達しており、4人に1人が日常的に詐欺投稿に接触しているという結果です。
暗号資産関連のキーワードで検索を行えば、被害に直結しかねない投稿が即座に表示される環境が常態化しています。
タイムラインのアルゴリズムによって、悪意ある投稿が拡散しやすい構造になっている点も看過できません。
「自分のSNSは安全」という幻想を捨てる
「ほとんど見かけない」と回答した層も13.9%存在しますが、これは詐欺投稿が存在しないという意味ではありません。
単にユーザー側のフィルタリングや、関心領域の違いによって目に入っていないだけのケースが大半と考えられます。
巧妙化した詐欺投稿は、もはや一目で判別できるものではなくなっています。
「自分のタイムラインは健全だ」という認識こそ、最も危険な過信といえるでしょう。
受動的な防衛策では限界がある
SNS上の詐欺投稿に対しては、能動的な防御策を講じる以外に対応手段はありません。
怪しい投稿を見かけた際の通報、不審なアカウントのブロック、フォロー先の定期的な見直しは、最低限のセルフディフェンスとして実施すべきです。
魅力的なリターンや限定情報を謳う投稿には、必ず一度立ち止まる癖をつけることが、自身を守る最終防衛線となります。
ロマンス詐欺・ハッキング──隠れた二大リスク

ロマンス詐欺54.6%──信頼関係を悪用する手口
調査では、ロマンス詐欺(投資勧誘を伴う恋愛詐欺)に遭遇した経験を持つ投資家が54.6%に達することも判明しました。
このうち14.1%は実際に投資してしまったと回答しており、被害の深刻さがうかがえます。
ロマンス詐欺は、SNSやマッチングアプリを通じて長期的な信頼関係を築き、最終的に投資へ誘導する手口です。
通常の詐欺以上に心理的な操作が巧妙で、被害者自身が「騙されている」と気づきにくい構造があります。
オンラインで知り合った相手から投資話を持ちかけられた時点で、強い警戒心を持つことが必要です。
ハッキングで11.9%が資金喪失
ハッキング(不正アクセス)の経験についても、11.9%が「ある(資金を失った)」と回答しています。
さらに29.0%は「ある(資金は無事だった)」と答えており、合計で4割超の投資家が何らかの不正アクセスに直面した経験を持っています。
ウォレットの2段階認証設定、シードフレーズのオフライン保管、定期的なパスワード変更といった基本的なセキュリティ対策は、この被害を防ぐ最後の砦です。
「ハッキングは大手取引所だけの問題」という認識は、個人投資家にとって致命的な見落としとなりかねません。
まとめ
今回の調査を通じて、暗号資産投資家の61.4%が何らかの詐欺・フィッシングに遭遇し、14.1%が実際に資金を失っているという厳しい実態が明らかになりました。
特に20代の遭遇率75.2%、資金喪失率20.9%という数値は、デジタルネイティブ世代ほど被害リスクが高い現状を示しています。
SNS上では79.5%の投資家が詐欺的投稿を目撃しており、もはや日常的な脅威として常態化しているといえるでしょう。
詐欺の手口は偽DM、SNS投資話、偽サイト、Approve詐欺、ロマンス詐欺と多岐にわたり、単一の対策ですべてを防ぐことは困難です。
種類ごとの特徴を理解した上で、複合的な防衛策を講じることが、暗号資産投資家に求められる必須スキルとなっています。
「自分は大丈夫」という過信を捨て、不審な接触は徹底して遮断する運用ルールこそが、大切な資産を守るための唯一の生存戦略といえるでしょう。
調査概要
調査実施日:2026年4月10日
調査方法:インターネット調査
調査対象:国内在住の男女(暗号資産に投資している人、投資したことのある人)
有効回答数:746名
実施機関:株式会社Clabo
調査設問項目
- 暗号資産(仮想通貨)の投資経験はありますか?
- 詐欺・フィッシングに遭遇した経験はありますか?
- SNSで詐欺的な投稿をどのくらい見かけますか?
- ロマンス詐欺(投資勧誘)に遭遇したことはありますか?
- ハッキング(不正アクセス)の経験はありますか?




