「暗号資産で簡単に稼げる」といった甘い誘惑が、SNSやマッチングアプリ経由で日常的に届く現代。
しかし、その裏側には巧妙なロマンス詐欺の影が潜んでいます。

今回、暗号資産経験者を対象に実施した独自調査により、半数以上が投資勧誘を経験し、実際に被害に遭った層も一定数存在することが判明しました。
被害者の多くは20代から30代の若年層であり、投資スタイルによってもリスクに差が生じています。

本記事では、アンケートから見えた被害の実態と、狙われやすいユーザーの特徴を詳細に解説します。

暗号資産ユーザー半数がロマンス詐欺に遭遇

回答

回答数

割合

遭遇したことはない

339

45.4%

遭遇したが投資しなかった

249

33.4%

遭遇して投資してしまった

105

14.1%

周りに被害者がいる

53

7.1%

詐欺勧誘の遭遇率が5割を超える実態

今回の自社調査において、暗号資産経験者の54.6%が、いわゆるロマンス詐欺や投資勧誘の被害に接触した経験があることが判明しました。

SNSやマッチングアプリを介して甘い言葉で近づき、最終的に高額な投資を迫る手口は、もはや他人事ではありません。
暗号資産市場の拡大に伴い、こうした悪質な勧誘がいかに日常的に行われているかが浮き彫りとなりました。

半数以上のユーザーが何らかの形で勧誘を経験している事実は、市場全体に対する強い警鐘といえるでしょう。

特に新しい技術や金融商品に興味を持つ層は、好奇心が旺盛な反面、標的になりやすいという側面も否めません。
常に警戒心を持って投資活動を行う必要があります。

投資を回避できた層と実行した層の割合

勧誘に遭遇したとしても、全員が投資に至るわけではないという点に注目すべきです。
データを見ると、勧誘に遭いながらも「投資しなかった」と回答した層が33.4%存在しており、約3人に1人は冷静な判断によって被害を未然に防いでいます。

一方で、残念ながら「投資してしまった」と回答した層も14.1%にのぼり、詐欺の巧妙さがうかがえます。

この差を分かつ要因として、暗号資産に対するリテラシーの高さや、詐欺の手口に関する知識の有無が挙げられるかもしれません。
一度でも甘い誘惑に乗ってしまうと、その後、さらに高額な資金を要求される二次被害のリスクも高まります。
「怪しい」と直感した瞬間に距離を置く勇気を持つことが、資産を守るための基本です。

周囲に被害者がいるケースも無視できない

自身が直接勧誘を受けなくとも、周囲で被害が発生しているケースが7.1%確認されました。
これは、自分の友人や家族がいつの間にか詐欺に加担していたり、あるいは被害に遭っていたりする可能性を示唆しています。

暗号資産はクローズドなコミュニティで情報交換が行われることも多く、身近な人からの紹介という形であれば、警戒心が解けやすくなるのも無理はありません。
自分自身が注意するだけでなく、信頼できる人からの投資話であっても、一度立ち止まって精査する客観的な視点が不可欠です。

特に最近はAIを活用した精巧な偽造サイトや、実績を捏造する手法も増えています。
自分や周囲を守るためにも、暗号資産の運用に関しては常に自己責任の原則を再認識しておくべきです。

投資実行は14.1%被害額は10万から50万が最多

被害額

回答数

割合

10万〜50万円

39

24.7%

1万〜10万円

36

22.8%

50万〜100万円

25

15.8%

1万円未満

23

14.6%

100万円以上

11

7.0%

詐欺へ投資した割合は全体の14.1%

調査の結果、ロマンス詐欺等の勧誘を受けて実際に資金を投じてしまったユーザーは全体の14.1%にのぼります。

単に接触しただけでなく、実損害が発生している点を見逃してはいけません。
7人に1人が詐欺の被害者となってしまった事実は重く受け止める必要があります。

被害者の多くは、最初は少額からと誘い込まれているはずです。
一度信頼関係を構築してからの投資勧誘は、判断力を著しく低下させます。

この数値は、暗号資産を保有する誰もが当事者になり得る可能性を示しています。
怪しい勧誘だと気づいた時には、すでに資金を失った後であることも少なくありません。
防衛策を日頃から講じておくことが、資産を守るための必須条件となります。

被害額は10万から50万円が中心

具体的な被害額の内訳を見ていくと、10万〜50万円が24.7%で最多となりました。
多くの被害者が、数十万円という、決して小さくない金額を失っています。

次いで、1万〜10万円の被害が22.8%と続いています。
被害額が低ければ問題ないというわけではありません。
50万〜100万円の被害を受けた層も15.8%存在します。

中間層の被害が厚く、多くのユーザーが同様の価格帯で金銭的ダメージを負っている現状が浮き彫りとなりました。
少額だからといって油断は禁物です。

最初の被害で食い止められず、さらに大きな被害へと拡大するリスクは常に潜んでいます。

100万円以上の深刻な被害も7%

一方で、被害額が100万円以上に達したという回答も7.0%確認されました。
これは、個人の生活に直接的な悪影響を及ぼしかねない極めて深刻な水準です。

たとえ割合としては高くなくとも、金銭的な損失は人生を大きく狂わせる要因となります。
被害は金銭面だけにとどまりません。

自身の判断ミスを悔やむ心理的な負担も、金額の多寡に関わらず発生します。
信頼していた相手に裏切られるショックは、計り知れません。

暗号資産市場に関わる以上、こうした高額被害の可能性もゼロではないことを、常に頭に入れておく必要があります。

年代別分析で浮き彫りになる20代の危機

年代

遭遇率

被害率

20代

49.8%

21.6%

30代

39.4%

18.8%

40代

30.8%

12.5%

50代

15.9%

5.0%

60代

12.3%

3.5%

20代の遭遇率は半数近い49.8%

暗号資産ユーザーを年代別で分析すると、20代の遭遇率が49.8%と圧倒的な高水準にあることが判明しました。
全年代を通じても半数近いユーザーが詐欺の勧誘に接触しており、若年層が主要なターゲットにされている実態が鮮明です。

SNSやアプリでの活動時間が長い世代ほど、接触機会が増えるのは必然といえるかもしれません。
彼らはデジタルネイティブであり、投資への関心も高い一方で、悪質な勧誘の手口にさらされるリスクと隣り合わせの状態です。

この数値を軽視せず、若年層はより強固な警戒心を持つべきです。
単に接触しただけでなく、そこから一歩踏み込んでしまう構造的な課題が、この年代には根付いています。

被害率も20代が21.6%でトップ

遭遇率に比例して、実際に投資してしまった被害率についても20代が21.6%と最も高くなっています。
続く30代も18.8%と高い水準を維持しており、20代から30代の若年層で被害が集中している現状が読み取れます。

投資経験が未熟な層を狙い撃ちにする手口が、いかに有効に機能しているかを物語る数値です。
「簡単に利益が出る」といった誘い文句に、資産形成を急ぐ心理が強く反応してしまう側面が否定できません。

冷静な判断を促すには、投資に関する基礎知識の底上げが急務といえます。
一時的な感情に流されず、リスクを正しく評価するリテラシーの定着が、最大の防御策となるでしょう。

50代以上は遭遇率と被害率が低下傾向

一方で、50代の遭遇率は15.9%、被害率は5.0%まで低下し、60代では被害率が3.5%とさらに低くなる傾向が見られます。
高齢層になるほどデジタルツールへの依存度が相対的に低く、詐欺的な投資勧誘への接触ルートが限定されている可能性が考えられます。

また、長年の社会経験を通じて培われた危機管理能力が、一定の防壁として機能しているかもしれません。
安易な投資勧誘を即座に「怪しい」と見抜く感性が、詐欺を遠ざけているといえるでしょう。

ただし、デジタルへの接点が増えるほど、シニア層に対しても新たな詐欺手法が浸透する危険性は否定できません。
世代を問わず、新しい勧誘手法に対するアップデートを怠らない姿勢が求められます。

短期トレーダーの被害率18.1%が最高

投資スタイル

被害率

短期トレード

18.1%

両方(短期+長期)

14.6%

ガチホ(長期保有)

13.7%

運用メイン(ステーキング等)

9.0%

短期トレードの被害率が18.1%で最多

短期売買を主軸とするトレーダーの被害率が18.1%となり、全スタイルの中で最も高い数値を記録しました。
目先の利益を追求し、市場のボラティリティを狙う積極的な姿勢が、逆に甘い勧誘に対する隙を生んでいるのかもしれません。

短期トレーダーは、常に新しい情報を探し求め、チャンスがあれば飛びつこうとする傾向があります。
その積極的な姿勢は、詐欺師にとっては「狙いやすいターゲット」という認識につながるのでしょう。

利益獲得への意欲が強いことは投資の基本ですが、それが焦りを生むと判断を誤ります。
高頻度で取引を行うことは、冷静さを失うリスクと常に隣り合わせであると認識すべきです。

長期保有や運用勢は比較的リスクを回避

ガチホを中心とする長期保有者の被害率は13.7%、ステーキング等の運用メイン層は9.0%に留まりました。
短期勢と比較すると、明らかに低い被害率となっているのが特徴です。

長期保有者は、日々の価格変動に一喜一憂せず、着実な資産成長を重視する傾向があります。
このどっしりと構えるスタイルが、短期的な儲け話に釣られない精神的余裕をもたらしているのかもしれません。

ステーキング等の運用メイン層が最も低い9.0%となったことも注目すべき点です。
自身のウォレットで直接管理し、利回りを得るという堅実な運用手法が、詐欺的な投資勧誘への耐性を高めているといえるでしょう。

投資スタイルの確立が最大の防衛策

投資スタイルによって被害率に明確な差が出ることは、自身の立ち位置を再考する良いきっかけとなります。
なぜ短期トレーダーが狙われやすいのか、その構造を理解することが重要です。

詐欺師は、ターゲットの属性に合わせて巧妙に手口を変えてきます。
短期的な利益を望む層には「短期間で数倍になる」といった誘い文句が刺さりやすく、これが被害を拡大させる要因となります。

どんな手法で投資を行うにせよ、自分なりの明確な基準を持つことが不可欠です。
スタイルに固執せず、情報を冷静に精査する習慣を身につけることこそが、暗号資産市場で生き残るための最大の防御といえるでしょう。

被害者の68.5%が20から30代で男性優位

30代が37.1%で20代と合わせて68.5%

年代

構成比

30代

37.1%

20代

31.4%

40代

21.0%

50代以上

10.5%

実際に投資してしまった被害者105名の属性を見ると、30代が37.1%で最も多く、20代が31.4%で続きます。
両世代を合わせると全体の68.5%に達しており、被害が若年層に極端に集中している構図が浮かび上がりました。

投資への関心が高い若年層ほど、詐欺被害のリスクに晒されているのは明白です。
SNSを通じた甘い投資勧誘は、デジタル世代の心理的な隙を的確に突いてきます。

この年齢層は資産形成の初期段階にあり、少しでも早く利益を得たいという焦燥感が、詐欺師の口車に乗るきっかけとなっているようです。

男性が59.0%で女性を上回る結果に

性別

割合

男性

59.0%

女性

41.0%

被害者の性別構成は男性が59.0%、女性が41.0%となりました。
男女問わず被害が発生しているものの、やや男性の方が比率として高い結果です。

暗号資産市場のメイン層が男性に偏っていることも、背景にあるかもしれません。
性別による警戒心の差よりも、市場の人口比率がそのまま反映されているといえます。

SNSやマッチングアプリを利用したロマンス詐欺においては、女性から男性へのアプローチを模したケースも多く、こうした手法が男性の心理にうまく作用している可能性も否定できません。

男性ほど高額被害に遭う傾向が顕著

被害額帯

男性

女性

10万〜50万円

27名

12名

100万円以上

9名

2名

被害額を分析すると、男性の方がより高額な被害に遭いやすい傾向が見受けられます。
10万〜50万円の層では男性27名に対し女性は12名という結果でした。

さらに100万円以上の高額被害では男性9名に対し女性はわずか2名となっており、男性の損失額が際立っています。

男性の方がリスクを取って多額の資金を投じやすいという、投資行動の差が影響している可能性が高いでしょう。
「もっと大きなリターンを得たい」という投資家心理が、男性の場合にはより顕著に現れることが、被害額の拡大を招いていると考えられます。

まとめ

暗号資産経験者の半数以上がロマンス詐欺や投資勧誘を経験し、約7人に1人が実際に資金を投じている実態が明らかになりました。
被害は20代〜30代の若年層に集中しており、短期トレードを好むユーザーほど危険性が高い傾向にあります。

また、男性の方が高額な被害に遭いやすいというデータも示唆されました。
暗号資産市場は利便性が高い一方、悪質な勧誘と隣り合わせです。

今回の調査結果が示す通り、自身のリテラシー向上と冷静な判断基準を持つことが、資産と自分を守るための唯一の防壁です。
甘い言葉の裏には常にリスクがあると認識し、投資活動を行うことが求められています。

調査概要

調査実施日:2026年4月10日
調査方法:インターネット調査
調査対象:国内在住の男女(暗号資産に投資している人、投資したことのある人)
有効回答数:746名
実施機関:株式会社Clabo

調査設問項目

  • 暗号資産(仮想通貨)の投資経験はありますか?
  • あなたの主な投資スタイルを教えてください。
  • ロマンス詐欺(投資勧誘)に遭遇したことはありますか?
  • そのロマンス詐欺(投資勧誘)による被害額はどのくらいですか?