2025年10月7日、ビットコインは124,000米ドルの史上最高値をつけた。しかし、2026年4月、68,000米ドル前後で推移している。史上最高値から約45%の下落だ。中東では戦争が続き、米中の関税交渉は泥沼化し、金融市場はリスクオフの空気に包まれている。同じ期間、金(ゴールド)は上昇を続け5,393米ドルという史上最高値をつけた。「有事の金」は機能し、「有事のビットコイン」は機能しなかった——そう見える。
「ビットコインは下がった。やっぱり危険な資産だ」——そう思った人は多いだろう。
しかしここに奇妙な事実がある。中東情勢が最も緊迫した局面でも、BlackRockのBitcoin ETFは一日に4億2,000万米ドルの純流入を記録した。スポットETFが1日平均取引量の55%を占め、地政学的な売り圧力を機関投資家の買いが吸収している。価格が下がっているのに、世界最大の資産運用会社は買い続けている。なぜか。
「価格」と「賭け」は別物
ここを理解しないと、何も見えない。BlackRockが一日に4億2,000万米ドルのビットコインを買ったのは、「今日の価格が上がると思ったから」ではない。短期的な価格予測と、長期的な資産配分の判断は、まったく別の話だ。
機関投資家のリスクモデルは、ビットコインをNASDAQの株式と同列のリスク資産として扱っている。すなわち、戦争が起きると、運用部門はビットコインを売り、株式のマージンコールをカバーし、法定通貨の価値毀損に備えて金を買う。
つまり機関投資家は2つのことを同時にやっている。短期的には「リスク資産」としてビットコインを売り、長期的には「通貨システムへのヘッジ」としてビットコインを買い増す。これは矛盾しているように見えて、矛盾していない。
