「含み益を見てうれしくなる、含み損を見て眠れなくなる」暗号資産投資はメンタルへの影響が大きいものです。
本調査(n=1,226)では、「大きく下落し続けるのが怖い」と答えた投資経験者が25.0%にのぼり、「いつ損切りすべきか分からない」と答えた層も17.6%存在しました。
資産価値の変動だけでなく、心理的な負荷も暗号資産投資の重大な側面であることが改めて浮き彫りになりました。
本レポートでは、投資経験者がいかなるメンタル課題に直面しているのか、そしてどのような情報環境の中で判断を下しているのかを詳しく分析します。
調査属性

区分 | 回答数 | 構成比 |
|---|---|---|
男性 | 731名 | 59.6% |
女性 | 495名 | 40.4% |
投資経験状況

調査対象者の投資経験を見ると、現在も投資を行っている層が41.0%で503名、経験のない層が41.6%で510名となっており、ほぼ二分される形となっています。
継続的に投資活動を行っているユーザーの心理状態を理解することは、サービス改善やユーザーサポート施策を考える上で非常に重要でしょう。
また、過去に投資していたが現在は行っていない層が17.4%で213名存在することは、市場環境や個人の事情の変化が投資継続性に大きな影響を及ぼしていることを示唆しています。
経験年数分布(投資経験者ベース)

経験者の中では、比較的初心者層(1~3年)が最も多く、全体の約3分の1を占めています。
この層は初心者から中級者への移行期にあり、含み損経験による心理的な影響を受けやすい可能性があるため、信頼できる情報提供やメンタルサポート体制の充実が重要でしょう。
一方で、5年以上の経験を持つベテラン層は12.8%に留まっており、暗号資産市場の成熟度とユーザーの継続率の課題が見えてきます。
含み損の経験状況と心理的インパクト

投資経験者の約65%が含み損を経験済みです。投資期間が長いほど含み損発生の可能性が高くなる傾向がみられており、特に注目すべきは、何度も含み損を経験している層が54.4%と過半数であるという点です。
繰り返し含み損を経験することは、単なる金銭的ダメージだけでなく、心理的疲労と判断力の低下をもたらす恐れがあります。
投資家がメンタル的に安定した状態で意思決定を行うための環境整備が重要だと考えられます。
投資スタイル(経験者ベース)と含み損への向き合い方

長期保有中心の戦略を採用する投資家が約61.7%と大多数を占めています。
このアプローチは短期的な価格変動による心理的ストレスを軽減する傾向がありますが、同時に含み損を抱えたまま長期間保有し続けることの心理的負荷も生じさせています。
一方、短期売買を行う投資家は23.7%となっており、この層はタイミング判断による精神的疲労が大きいと考えられるでしょう。
メンタルヘルスと投資継続性の関連性をしっかり考慮する必要があります。
含み損・含み益時の不安要因ランキング(複数回答、経験者ベース)

含み損を経験している投資家に、最大の懸念について質問したところ、価格の継続的な下落への恐怖が307名(25.0%)と最多でした。
同程度の割合で税務処理の不安も存在しており、300名(24.5%)が挙げています。さらに情報過多による判断困難(261名・21.3%)やいつ損切りすべきか分からないという迷い(216名・17.6%)も顕著な課題として浮かび上がります。
これらの不安は相互に作用し、複合的な心理的ストレスを生み出していることが推測されます。
情報過多問題と SNS 依存の心理的影響

投資情報の収集先を聞いてみました。ソーシャルメディアが最も一般的な情報収集チャネルで、348名(28.4%)の投資家が活用しており、ニュースサイト(305名・24.9%)や専門家ブログ・書籍(254名・20.7%)と比較すると、リアルタイムで拡散されやすいSNS情報への依存が高い傾向がみられます。
これは含み損経験時の心理的混乱に直結する可能性があります。SNS上では感情的な投稿や過度に楽観的・悲観的な予測が目立つため、客観的判断力を失うリスクも考慮しなければなりません。
現在の投資額規模分布と心理的余裕との関係

現在の投資額について聞いたところ、「5万円未満」が298名(24.3%)と最多です。
続いて「5~20万円」が175名(14.3%)、「20~50万円」が128名(10.4%)、「100万円以上」が58名(4.7%)と続きます。
投資額が大きいほど含み損額も増加する傾向が強く、メンタルへの影響は投資規模に比例することが考えられます。したがって、初期段階で少額から始める戦略は心理的安定性を維持する上で重要です。
初回投資額と現在の行動パターンの分析

初回投資額を調べてみると、「1万円未満」が264名(21.5%)と最多で、「1~5万円」が196名(16.0%)と続きます。
つまり、約4割の投資家が初回投資を5万円未満に抑えており、これは市場参入時のリスク回避意識を反映している数値だと考えられます。
一方で「50万円以上」から始めた層は37名(3.0%)に留まります。初回投資が小さい傾向は、継続的な学習と経験を積むための良い戦略といえ、メンタル的にも心理的余裕を保つ傾向にあることが推測されます。
世代別のメンタル影響クロス分析
世代によって含み損への対処メンタルに違いが見られます。
Y世代(37.6%)とZ世代(13.9%)は相対的にテクノロジーへの親和性が高く、情報收集の手段が豊富であるため、心理的には選択肢が多く感じられるかもしれません。
一方で、氷河期世代(29.0%)はより慎重で、バブル期の経験を持つバブル世代(10.1%)は歴史的な視点を持ちやすいと考えられます。
各世代の心理プロファイルに応じた情報提供やサポート施策の設計が重要です。
世代 | n数 | 不安要因① | 不安要因② | 不安要因③ |
|---|---|---|---|---|
Y世代 | 461 | 大きく下落し続けるのが怖い(26.7%) | 情報が多すぎて判断できない(23.4%) | 税金の扱いが不安(22.1%) |
Z世代 | 171 | 大きく下落し続けるのが怖い(25.1%) | いつ損切りすべきか分からない(19.9%) | 税金の扱いが不安(19.3%) |
氷河期世代 | 356 | 大きく下落し続けるのが怖い(26.4%) | 税金の扱いが不安(25.8%) | 情報が多すぎて判断できない(20.5%) |
バブル・新人類世代 | 203 | 大きく下落し続けるのが怖い(24.1%) | 税金の扱いが不安(23.6%) | 情報が多すぎて判断できない(20.2%) |
主要な知見と考察
本調査から明らかになったのは、含み損経験がもたらす多層的な心理的課題です。約65%の投資経験者が含み損を経験しており、その中でも54.4%が何度も経験している状況を考えると、メンタルに関する継続的な学習と判断が重要になります。
特に注目すべき傾向として、大きく下落し続けるのが怖いという感情(25.0%)と税務処理への不安(24.5%)がほぼ同程度で高いことが挙げられます。これは単なる金銭的な懸念ではなく、不確実性に対する不安とそれに付随する行政的・法的負担への懸念が相互に作用していることを示唆しています。
また、情報収集先としてSNS(28.4%)への依存が高いという点も重要です。SNS情報はリアルタイム性が高いため、含み損状況下で即座に心理的影響を与える可能性があります。特に「情報が多すぎて判断できない」と答えた層が21.3%存在することは、情報過多自体がストレス要因になっていることを示しています。投資家が信頼できる情報源を識別し、メンタルの安定を保つための環境整備が業界全体における重要な課題となっています。
経験年数別の分析から見えてくるのは、初期段階(半年~1年)での挫折率が高い可能性です。この時期に含み損を経験すると、投資継続の意思が揺らぎやすい傾向があります。投資教育と心理的サポートを組み合わせた新規投資家向けプログラムの充実が、市場の健全な成長を支える重要な要素となるでしょう。
結論
含み損経験はほぼ全ての暗号資産投資家にとって避けられないリスクですが、現在のところメンタルヘルスや心理的安定性に対するサポート施策は十分に整備されていない可能性があります。投資家がより適切な判断を下すためには、信頼性の高い情報提供体制の構築、税務処理に関する相談機会の拡充、そして損切りなどのポジション管理に関する教育の強化が今後の重要な課題となっています。
さらに、世代別の心理プロファイルを理解したうえでのカスタマイズされたサポート体制の構築が、投資家保護と市場信頼性向上の両立を実現する道と考えられます。
年代別・投資スタイル別の心理プロファイル
本調査の対象者はY世代(37.6%)が最多で、氷河期世代(29.0%)、Z世代(13.9%)と続きます。Y世代は社会人経験が長く投資リテラシーが相対的に高いですが、家族や住宅ローンなどの財務的責任も重く、含み損時のストレスが生活全般に波及しやすい傾向があります。Z世代はリスク許容度が高い反面、投資経験が浅いため含み損の長期化に対するメンタル耐性が育っていないケースがあります。氷河期世代は倹約家傾向(38.7%)が強く、含み損を確定させることへの抵抗感が強い層が多いと推察されており、世代ごとの心理特性を踏まえた投資情報の提供が、投資家の健全なリスク管理を支える上で重要となります。
調査概要
調査名 | 含み益・含み損の状況とメンタルへの影響調査 |
|---|---|
調査実施日 | 2026年2月24日 |
調査方法 | インターネット調査 |
調査対象 | 国内在住の男女(暗号資産投資経験の有無を問わず) |
有効回答数 | 1,226名 |
性別構成 | 男性 59.6%/女性 40.4% |
世代構成 | Y世代 37.6%、氷河期世代 29.0%、Z世代 13.9%、バブル世代 10.1%、新人類世代 6.4% |
投資経験者 | 503名(現在投資中)、213名(過去投資経験) |
実施機関 | 株式会社Clabo |
本レポートは情報提供を目的としており、いかなる投資勧誘や助言を構成するものではありません。暗号資産投資には高いリスクが存在し、投資判断は自己責任で行ってください。本レポートの内容の正確性、完全性、有用性について、いかなる保証も提供いたしません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の判断で行い、必要に応じて専門家の助言を求めてください。
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