暗号資産(仮想通貨)は、実に様々な種類が存在します。

その多くは価値を見出せるものですが、なかには最初から資産を奪う目的で作られたコイン、いわゆる「詐欺コイン」が存在します。

詐欺コインは、あなたを始め、投資家を騙すことが目的です。

そのため、一見すると他の暗号資産と区別がつきにくく、意図せず近づいてしまうケースも珍しくありません。

この記事では、そんな詐欺コインを掴まされないために、暗号資産における詐欺コインとは何か、また見分ける方法を解説します。

詐欺コインとは資金回収を目的に設計された暗号資産

暗号資産の詐欺コインとは、価値の生み出しを前提とせず、投資家から資金を集める目的で作られた暗号資産を指します。

表向きは新しい技術や革新的な仕組みを謳っていても、実際には長期的な運営や実用化を前提としていない点が特徴です。

こうした暗号資産は、価格が上がる理由として具体的な利用価値や収益構造を示すことが、ほとんどありません。

代わりに「将来性がある」や「早く参加した人が得する」といった期待や雰囲気が強調され、投資判断の根拠が曖昧なまま資金が集められます。

また、集めた資金の使い道も不透明で、開発や価値創出ではなく、宣伝や紹介報酬などに重点が置かれるケースが少なくありません。

このような構造では、新たな資金流入が止まった瞬間に成り立たなくなり、暗号資産そのものの価値も急激に失われます。

まとめると、詐欺コインは「怪しい見た目の暗号資産」ではなく「価値創出は無く資金回収が前提の構造を持つ暗号資産」ということです。

詐欺コインと判断された事例

詐欺コインとして挙げられる事例のひとつに「BitConnect」があります。

2021年9月1日、米国証券取引委員会は、BitConnectが投資家から約20億ドルを騙し取ったとして、米国の連邦裁判所に提訴しました。

NEW YORK, Sept 1 (Reuters) - The top U.S. securities regulator on Wednesday sued the founder of the now-defunct cryptocurrency exchange platform BitConnect over his alleged role in fraudulently raising about $2 billion from thousands of retail investors.

参照:U.S. SEC charges BitConnect founder with $2 bln cryptocurrency fraud


SECの訴状によると、BitConnectは「貸付プログラム」という形で投資家から資金を集め、独自開発した取引ソフトウェアによって年利3,700%のリターンを提供できると説明していました。

実際には、そのような収益を生み出す取引システムは存在せず、集めた資金は開発や運営ではなく、プロモーターへの報酬や宣伝活動に使われていたとされています。

この構造は、新たに集めた資金を使って仕組みを維持するものであり、価値を生み出す仕組みを持たないまま資金回収を行っていた点が問題視されました。

SECは、BitConnectが未登録の有価証券を募集していた点も含め、投資家を欺いたと主張しています。

その後、2018年1月にBitConnectはプラットフォームの閉鎖を発表しました。

これに伴い、発行されていた暗号資産「BitConnectコイン」は最高値から約92%も下落し、多くの投資家が大きな損失を被りました。

また、SECはBitConnectの主要プロモーターに対しても訴訟を行い、一部は不正行為を認めています。

この一連の判断から、BitConnectは結果的に失敗した暗号資産プロジェクトではなく、資金回収を目的とした不正なスキームだったと位置づけられています。

詐欺コインと草コインの違いとは

「詐欺コイン=草コイン」と考えている人も居ることでしょう。

草コインとは、時価総額が小さく、知名度や取引量がまだ限られている暗号資産を指す俗称です。

開発途中であったり、実用化がこれからだったりするケースも多く、リスクが高い暗号資産として語られるため、同じものに見えてしまうのも無理はありません。

しかし、両者は成り立ちや目的という点で、明確に異なります。

草コインは、結果として価値が伸びない可能性はあっても、少なくとも価値を生み出そうとする前提があります。

一方で詐欺コインは、価値創出よりも資金回収を優先して設計されており、この点が決定的な違いです。

つまり、2つの違いは、

草コイン

結果として伸びない可能性がある暗号資産

詐欺コイン

最初から価値創出を目的としていない暗号資産

価値を生み出そうとしているのか、それとも資金回収が目的なのか。

この点が、草コインと詐欺コインを分ける違いだと言えるでしょう。

なぜ暗号資産は詐欺コインが多いのか

暗号資産の詐欺コインには、いくつか共通して見られる傾向があります。

詐欺コインの場合、価値を生み出す仕組みが弱い、もしくは存在しません。

そのため、価格上昇の理由や運営体制、資産の扱い方に不自然さが表れやすくなり、いくつかの特徴が現れやすいのです。

ここでは、暗号資産の詐欺コインに見られやすい特徴をご紹介します。

何個か当てはまるコインは、注意深く判断することが重要です。

価格が上がる理由が曖昧

価値の上昇理由が明確に説明されていない暗号資産は、詐欺コインの可能性があります。

暗号資産の価格が上がる背景には、利用者の増加やサービスとしての需要、技術的な優位性などが関係します。

しかし、詐欺コインにはそうした説明がなく、期待や雰囲気だけで価格上昇が語られる傾向があります。

また、価格が上がる理由として「今後◯倍になる」や「大口投資家が参入する予定」といった話が出ることもありますが、その多くは確認できる情報がなく、具体的な裏付けも示されません。

価格上昇の根拠が曖昧なまま投資を促す暗号資産は、価値そのものではなく、資金が集まることを前提に成り立っている可能性があります。

この点は、詐欺コインを見極めるうえで最初に確認すべき重要なポイントです。

運営元や開発者が不透明

暗号資産の詐欺コインでは、運営元や開発者の情報が明確ではないケースが見られます。

公式サイトや資料を見ても、運営主体の法人名や所在地、開発メンバーの経歴が曖昧なままになっていることは珍しくありません。

なかには、実在する人物名や写真が掲載されているものの、経歴を確認できなかったり、過去の実績とプロジェクト内容が結び付かなかったりする場合もあります。

これは、責任の所在を不明確にするため、意図的に情報をぼかしている可能性があります。

本来、暗号資産プロジェクトが長期的な運営や開発を目指すのであれば、誰が関わり、どのような体制で進めているのかを開示するのが自然です。

それにもかかわらず、運営情報が極端に少ない場合は注意が必要です。

運営元や開発者が見えない暗号資産は、問題が起きた際に説明責任を果たす相手が存在しないというリスクを抱えています。

この点も、詐欺コインに多く見られる特徴のひとつと言えるでしょう。

売却や出金に制限がある

詐欺コインでは、売却や出金が自由にできないことがあります。

購入時は簡単でも、いざ資産を現金化しようとすると、手続きが進まなかったり、条件を満たさないと出金できなかったりするケースです。

暗号資産は、保有者が自由に送金や売却をおこなえる点が特徴です。

それにもかかわらず、運営側の判断で資産の移動が制限される場合、その暗号資産は資金を囲い込むための仕組みになっている可能性があります。

売却や出金に不自然な制限が設けられている暗号資産は、価格や宣伝内容に関わらず、慎重に距離を取るべきです。

宣伝や紹介制度が過剰

詐欺コインは利用者を集めたいため、宣伝や紹介制度に力を入れていることがあります。

公式サイトやSNSを見ても、プロジェクトの中身より「参加すれば儲かる」や「紹介すると報酬がもらえる」といった話が前面に出ているケースは要注意です。

特に、紹介した人数や投資額に応じて報酬が増える仕組みが用意されている場合、暗号資産の価値そのものではなく、人を集めることが収益の前提になっている可能性があります。

この構造では、新たな参加者が増え続けなければ成り立ちません。

価格が上がる理由が「利用価値」ではなく「人集め」になっていないか、一歩引いて冷静に見極めることが重要です。

暗号資産の詐欺コインを見分ける方法とは

暗号資産の詐欺コインを完全に見抜くことは、決して簡単ではありません。

しかし、近づかないための考え方を持つことで、リスクを大きく下げることは可能です。

ここでは、詐欺コインとの距離を取るための見分け方を解説します。

仕組みを理解できない暗号資産には手を出さない

どれほど将来性や利益が強調されていても、その暗号資産が何に使われ、どのように価値が生まれるのか分からなければ、手を出すべきではありません。

例えば、ビットコインであれば、

  • 国や銀行を通さず、インターネット上で送金できる仕組み
  • 発行上限数が決まっており、価値が保たれやすい

また、イーサリアムであれば、

  • お金のやり取りだけでなく、アプリや契約を自動で動かせる仕組み
  • また、その仕組みを使用するためにイーサリアムが必要になる

という価値があるため、多くの人に信用されております。

一方で、詐欺コインに近い暗号資産では、説明が以下のように抽象的です。

  • AIとブロックチェーンを組み合わせた最新プロジェクト
  • 将来◯倍になる可能性がある
  • 海外で注目されている

このような暗号資産は、価格が下がった理由も判断できず、そのうち上がると言われたから持ち続けるといった、他人任せの判断になりやすくなります。

仕組みを説明できない暗号資産には手を出さない。

これは、詐欺コインを避けるための最も基本的で効果的な判断基準と言えるでしょう。

急がせる投資話は疑う

詐欺の常套手段には、冷静に考える時間を与えないというものがあります。

例えば 「今しか買えない」や「人数が限定されている」といった言葉で、判断を急がせるのが典型的な手口です。

本来、投資商品を判断するときは、調べたり考えたりする時間が必要です。

それにもかかわらず、期限や希少性を強調して即断を迫る暗号資産は、調べられることを避けている可能性があります。

特に、価格が上がる理由や仕組みの説明よりも「早く行動した人が得する」という点ばかりが強調される場合は、注意が必要です。

急がされていると感じた時点で、一度立ち止まり、距離を置く。

その判断だけでも、詐欺コインに巻き込まれるリスクは大きく下げられます。

おわりに

詐欺コインは、無暗やたらと多くの暗号資産に手を出すと掴まされます。

暗号資産を始めたばかりのころは「このコインは儲かるらしい」や「将来性があると聞いた」といった周囲の噂や話題に目が向きがちです。

しかし、そうした情報だけを頼りに判断してしまうと、詐欺コインとの距離は一気に縮まります。

暗号資産を選ぶ際に意識したいのは、なぜその暗号資産の価値が上がると考えられているのか。

これを、あなたなりに調べて理解することです。

使い道があるのか、誰に必要とされているのか。

それを説明できない暗号資産には、無理に手を出す必要はありません。

どうしても気になる無名コインがあるなら、周囲の声に耳を傾け過ぎず、まずは調べて理解するところから始めてみましょう。