暗号資産(仮想通貨)投資のスタイルは、大きく「長期保有」と「短期売買」に分かれます。長期保有は将来の値上がりを期待してじっくり持ち続ける方法、短期売買は相場の動きに合わせて売買を繰り返す方法です。
どちらが正解ということはなく、投資の目的やリスク許容度、生活スタイルによって適した方法は異なります。では、実際の暗号資産投資家はどちらを選び、なぜそのスタイルに落ち着いているのでしょうか。
本記事では、現在も暗号資産に投資している505人を対象に実施した独自アンケート調査をもとに、投資スタイルの割合、その理由、スタイル変更の経験、情報源、不安要素を詳細に分析しています。
調査概要
項目 | 内容 |
|---|---|
調査時期 | 2025年 |
調査対象 | 全国の20歳以上の男女 1,197人 |
有効回答数 | 505人(現在も暗号資産に投資している人) |
調査手法 | インターネットアンケート |
回答者属性 | 男性 67.9%/女性 32.1% |
年代構成 | 20代 24.8%、30代 29.3%、40代 25.5%、50代 14.7%、60代以上 5.7% |
投資スタイルの割合|長期保有が56.0%で最多、短期売買は25.7%
投資スタイルの全体分布

現在の投資スタイルを尋ねたところ、「長期保有が中心」が283人(56.0%)で最多でした。「短期売買が中心」は130人(25.7%)、「長期保有と短期売買を使い分けている」は86人(17.0%)、「現在はほとんど取引していない」は6人(1.2%)です。
投資スタイル | 回答数 | 割合 |
|---|---|---|
長期保有が中心 | 283人 | 56.0% |
短期売買が中心 | 130人 | 25.7% |
長期保有と短期売買を使い分け | 86人 | 17.0% |
現在はほとんど取引していない | 6人 | 1.2% |
暗号資産投資家の半数以上が長期保有を主軸としており、長期保有と使い分け派を合わせると73.1%に達します。暗号資産は価格変動が激しい資産として知られていますが、多くの投資家は短期的な値動きに追随するよりも、中長期の視点で保有を続ける戦略を選んでいます。
年代別の投資スタイル|40代は「使い分け」が22.5%と最多
年代別に見ると、長期保有はすべての年代で最多ですが、その割合には差があります。20代は長期保有が58.4%と高い一方、40代では「使い分け」が22.5%と全年代で最も高い割合を示しました。
年代 | 長期保有 | 短期売買 | 使い分け |
|---|---|---|---|
20代 | 58.4% | 26.4% | 14.4% |
30代 | 56.8% | 25.7% | 15.5% |
40代 | 51.2% | 25.6% | 22.5% |
50代 | 55.4% | 27.0% | 16.2% |
60代以上 | 62.1% | 24.1% | 13.8% |
40代は仕事でも投資でも経験を積んだ層であり、一つのスタイルに固定せず状況に応じて柔軟に対応する傾向がうかがえます。
投資額が大きいほど「使い分け」の割合が上昇
現在の投資額別に見ると、投資額が大きくなるにつれて「使い分け」の割合が顕著に上昇します。
現在の投資額 | 長期保有 | 短期売買 | 使い分け |
|---|---|---|---|
1万円未満 | 70.0% | 23.0% | 6.0% |
1〜100万円未満 | 56.1% | 28.5% | 14.9% |
101〜300万円未満 | 51.7% | 28.0% | 20.3% |
301〜500万円未満 | 18.8% | 37.5% | 37.5% |
501万円以上 | 29.6% | 25.9% | 37.0% |
投資額が300万円を超える層では、「使い分け」が37.5%に達し、長期保有を上回るケースも見られます。運用額が大きくなるとリスク管理の重要性が増し、一つのスタイルだけに依存しない分散的なアプローチが選ばれやすくなると考えられます。
長期保有を選ぶ理由|「将来の資産形成」と「リスク回避」が二大動機
投資スタイルの理由(自由回答の傾向分析)

投資スタイルを選んでいる理由を自由回答で尋ねたところ、スタイルごとに明確な傾向が確認されました。
長期保有派の回答では、「将来の資産形成」「長い目で見て成長を期待」といった長期的な資産形成に関するキーワードが最も多く、全体の14.8%を占めました。次いで「リスクが少ない」「安全」「安定」といったリスク回避・安全志向の回答が13.4%でした。
また、「短期だとストレスになる」「面倒を見る時間がない」「仕事が忙しい」など、手間や時間の制約を理由に挙げる回答も一定数見られます。長期保有は「日常的に相場を追わなくてよい」という点が、忙しい投資家に支持されている側面があります。
短期売買派の回答では、「楽しい」「刺激がある」といった投資体験そのものへの関心や、「すぐに利益を確定したい」「短期のほうが予想しやすい」といった即時性を重視する回答が目立ちました。
使い分け派の回答では、「リスク分散」「バランス」「安全性と利益の両立」といった分散志向のキーワードが10.5%と高く、両方のスタイルのメリットを意識的に組み合わせている姿勢がうかがえます。
スタイル別の理由まとめ
投資スタイル | 主な理由 |
|---|---|
長期保有 | 将来の資産形成(14.8%)、リスク回避・安全志向(13.4%)、手間が少ない |
短期売買 | 即時の利益確定、楽しさ・刺激、短期の方が予測しやすい |
使い分け | リスク分散(10.5%)、安全性と利益の両立、柔軟な対応 |
61.4%がスタイルを変えた経験あり|短期売買派の79.2%が「以前は別のスタイルだった」
スタイル変更経験の全体傾向

過去に現在とは異なる投資スタイルを取っていたことがあるかを尋ねたところ、310人(61.4%)が「ある」と回答しました。暗号資産投資家の6割以上が、投資を続けるなかでスタイルを変更した経験を持っています。
スタイル変更経験 | 回答数 | 割合 |
|---|---|---|
ある | 310人 | 61.4% |
ない | 195人 | 38.6% |
投資スタイル別の変更経験率
スタイル別に見ると、短期売買派の変更経験率が79.2%と突出して高い結果でした。
現在のスタイル | 変更経験あり |
|---|---|
短期売買が中心 | 79.2% |
使い分け | 68.6% |
長期保有が中心 | 51.9% |
短期売買派の約8割が「以前は別のスタイルだった」と回答しており、最初から短期売買を選んだ人は少数派であることが分かります。多くの投資家が長期保有や他のスタイルを経験したうえで、短期売買に移行していると推察されます。
一方、長期保有派は51.9%と変更経験率が最も低く、最初から長期保有を選び、そのまま継続している投資家が約半数を占めています。
スタイル変更経験者の現在の分布
スタイル変更を経験した310人の現在のスタイルは、長期保有が147人(47.4%)、短期売買が103人(33.2%)、使い分けが59人(19.0%)でした。
スタイルを変更した結果として長期保有に落ち着く人が最も多く、「試行錯誤の末に長期保有を選んだ」という投資家像が浮かび上がります。
情報源はスタイルで大きく異なる|長期保有派はSNS、短期売買派は専門家・分析記事
情報源の全体分布(複数回答)

投資判断の際に参考にしている情報源を複数回答で尋ねたところ、「SNS(X、YouTubeなど)」が250人(49.5%)で最多でした。
情報源 | 回答数 | 選択率 |
|---|---|---|
SNS(X、YouTubeなど) | 250人 | 49.5% |
ニュースサイト | 239人 | 47.3% |
専門家・分析記事 | 220人 | 43.6% |
友人・知人 | 149人 | 29.5% |
特に参考にしていない | 49人 | 9.7% |
投資スタイル別の情報源|明確な違いが浮上
投資スタイル別にクロス集計すると、情報源の利用パターンに顕著な差が確認されました。
情報源 | 長期保有 | 短期売買 | 使い分け |
|---|---|---|---|
SNS(X、YouTubeなど) | 62.2% | 20.0% | 53.5% |
ニュースサイト | 47.3% | 42.3% | 57.0% |
専門家・分析記事 | 37.5% | 44.6% | 64.0% |
友人・知人 | 25.1% | 28.5% | 45.3% |
特に参考にしていない | 8.5% | 8.5% | 12.8% |
最も注目すべきは、長期保有派と短期売買派でSNSの利用率に大きな差がある点です。長期保有派はSNSが62.2%と最も高い一方、短期売買派は20.0%にとどまります。
短期売買派は「専門家・分析記事」が44.6%で最多となっており、売買判断に専門的な分析を重視する傾向が見られます。短期売買ではタイミングの精度が収益に直結するため、SNSの断片的な情報よりも体系的な分析情報が求められていると推察されます。
使い分け派は全体的に情報源の利用率が高く、特に「専門家・分析記事」が64.0%と突出しています。複数の情報源を幅広く参照しながら投資判断を行っている姿勢がうかがえます。
不安要素もスタイルで異なる|長期保有派は「売買タイミング」、使い分け派は「情報の正しさ」
不安要素の全体傾向(複数回答)
暗号資産投資で不安に感じていることを複数回答で尋ねたところ、「価格変動が激しい」が337人(66.7%)で最多でした。
不安要素 | 回答数 | 選択率 |
|---|---|---|
価格変動が激しい | 337人 | 66.7% |
情報の正しさが判断できない | 220人 | 43.6% |
売買タイミングが分からない | 187人 | 37.0% |
税金・確定申告が不安 | 126人 | 25.0% |
投資スタイル別の不安要素
スタイル別にクロス集計すると、不安の内容に明確な違いが見られます。
不安要素 | 長期保有 | 短期売買 | 使い分け |
|---|---|---|---|
価格変動が激しい | 68.6% | 64.6% | 66.3% |
売買タイミングが分からない | 43.1% | 19.2% | 44.2% |
情報の正しさが判断できない | 37.8% | 40.0% | 67.4% |
税金・確定申告が不安 | 26.9% | 14.6% | 32.6% |
長期保有派は「売買タイミングが分からない」が43.1%と高い割合です。普段は保有し続けているものの、「いつ売れば良いのか」という出口の判断に不安を抱えていることが読み取れます。
短期売買派は「売買タイミングが分からない」が19.2%と低く、タイミングの判断には一定の自信を持っている一方、「情報の正しさが判断できない」が40.0%と、情報の信頼性に対する不安が根強い結果となっています。
使い分け派は「情報の正しさが判断できない」が67.4%と突出しています。複数の情報源を活用している分、情報同士の矛盾や正確性の見極めに悩んでいる可能性があります。
経験年数と投資スタイルの関係|5年以上の層は「使い分け」が25.3%
経験年数が長いほどスタイルが多様化
経験年数別に投資スタイルを見ると、長期保有はすべての年数帯で最多ですが、経験が長くなるにつれて「使い分け」の割合が上昇する傾向が確認されました。
経験年数 | 長期保有 | 短期売買 | 使い分け |
|---|---|---|---|
1年未満 | 63.3% | 27.5% | 9.2% |
1〜3年未満 | 50.7% | 28.6% | 19.7% |
3〜5年未満 | 55.8% | 27.9% | 13.5% |
5年以上 | 54.4% | 19.0% | 25.3% |
1年未満の層は長期保有が63.3%と最も高く、投資を始めたばかりの段階では「まず保有してみる」というアプローチが中心です。経験5年以上の層では、短期売買が19.0%に低下する一方、使い分けが25.3%に上昇しており、経験を積むことで複数の手法を組み合わせる投資家が増えていることが分かります。
初回投資額との関係
初回投資額が大きい層ほど「使い分け」の割合が高い傾向も見られます。初回に50万円以上を投じた層では26.7%が使い分けを選択しており、1万円未満の層(10.3%)と比較して大きな差があります。
投資額が大きい層は、最初からリスク管理への意識が高く、複数のスタイルを取り入れる傾向にあると考えられます。
まとめ:調査から見えた暗号資産投資家のスタイル選択
本調査の結果から、暗号資産投資家の投資スタイルについて、以下の主要な知見が得られました。
- 投資スタイルの最多は長期保有(56.0%)。 短期売買(25.7%)と使い分け(17.0%)を含め、約4人に3人が長期保有を投資戦略に組み込んでいます。
- 長期保有の理由は「将来の資産形成」と「リスク回避」。 短期売買派は「楽しさ」や「即時性」を重視し、使い分け派は「リスク分散」を意識的に選択しています。投資スタイルの選択理由は、投資目的やリスクへの姿勢と密接に結びついています。
- 61.4%がスタイル変更を経験。 特に短期売買派は79.2%が「以前は別のスタイル」と回答しており、試行錯誤を経て現在のスタイルに到達している投資家が大半です。
- 情報源はスタイルで大きく異なります。 長期保有派はSNS(62.2%)、短期売買派は専門家・分析記事(44.6%)を最も参考にしており、同じ暗号資産投資でも情報収集のアプローチが異なります。
- 投資額が大きいほどスタイルが多様化。 投資額300万円超の層では「使い分け」が37.5%に達し、一つのスタイルに固定せず柔軟に対応する傾向が確認されました。
自分に合った投資スタイルを見つけるには、他の投資家がどのような選択をし、なぜそのスタイルに落ち着いたのかを知ることが参考になります。本調査のデータが、投資スタイルの見直しや検討の一助となれば幸いです。
本レポートは情報提供を目的としており、いかなる投資勧誘や助言を構成するものではありません。暗号資産投資には高いリスクが存在し、投資判断は自己責任で行ってください。本レポートの内容の正確性、完全性、有用性について、いかなる保証も提供いたしません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の判断で行い、必要に応じて専門家の助言を求めてください。




