暗号資産(仮想通貨)に投資する目的は、人によって大きく異なります。「将来に向けてコツコツ資産を増やしたい」という人もいれば、「人生を変えるような大きなリターンを得たい」と考える人、「短期間で効率よく利益を上げたい」という人もいます。

投資目的が異なれば、選ぶ投資スタイルも、参考にする情報源も、感じる不安も変わってきます。では、暗号資産投資家はどのような目的で投資を行い、その目的によって投資行動にはどのような違いがあるのでしょうか。

本記事では、現在も暗号資産に投資している506人を対象に実施した独自アンケート調査をもとに、投資目的別の投資スタイル、利益の使い道、情報源、不安要素の違いを詳細に分析しています。


調査概要

項目

内容

調査時期

2025年

調査対象

全国の20歳以上の男女 1,221人

有効回答数

506人(現在も暗号資産に投資している人)

調査手法

インターネットアンケート

回答者属性

男性 68.8%/女性 31.2%

年代構成

20代 24.5%、30代 29.4%、40代 24.7%、50代 15.2%、60代以上 6.1%


投資目的の分布|「資産形成」が52.8%で最多、「夢の実現」も20.9%

投資目的の全体分布

暗号資産投資の主な目的を尋ねたところ、「資産形成(将来に向けて増やしたい)」が267人(52.8%)で最多でした。「夢の実現(大きく増やして人生を変えたい等)」が106人(20.9%)、「短期利益(短期間で利益を狙いたい)」が94人(18.6%)、「学び・経験」が30人(5.9%)と続きます。

投資目的

回答数

割合

資産形成(将来に向けて増やしたい)

267人

52.8%

夢の実現(大きく増やして人生を変えたい等)

106人

20.9%

短期利益(短期間で利益を狙いたい)

94人

18.6%

学び・経験(勉強のために触っている)

30人

5.9%

その他

9人

1.8%

暗号資産投資家の半数以上が「資産形成」を目的としており、堅実な長期視点で暗号資産を活用している実態が分かります。一方で、「夢の実現」と「短期利益」を合わせると39.5%に達し、より積極的なリターンを求める層も4割近く存在しています。

年代別の投資目的|70歳以上は「夢の実現」が52.9%と最多

年代別に見ると、20代から50代はすべての年代で「資産形成」が最多となり、52〜56%の水準で推移しています。一方、70歳以上では「夢の実現」が52.9%と突出して高く、「資産形成」(23.5%)を大きく上回りました。

年代

資産形成

夢の実現

短期利益

学び・経験

20代

53.2%

20.2%

21.8%

3.2%

30代

52.3%

22.1%

14.8%

10.1%

40代

56.0%

16.0%

20.0%

4.0%

50代

55.8%

18.2%

20.8%

3.9%

60代

42.9%

42.9%

14.3%

0.0%

70歳以上

23.5%

52.9%

23.5%

0.0%

60代以上の層は、定年後の生活設計やセカンドライフへの期待から、資産形成よりも「夢の実現」を投資目的として選ぶ傾向がうかがえます。

性別による違い

性別による大きな差は見られず、男女とも「資産形成」が最多(男性52.0%、女性54.4%)でした。「夢の実現」は男性22.1%、女性19.0%、「短期利益」は男性18.7%、女性18.4%と、投資目的の分布に男女差はほとんど確認されませんでした。

投資目的別の投資スタイル|「夢の実現」派の75.5%が長期保有

投資目的と投資スタイルの関係

投資目的と投資スタイルのクロス集計からは、目的によってスタイル選択が明確に異なることが分かります。

投資目的

長期保有

短期売買

使い分け

資産形成

63.7%

19.5%

15.0%

夢の実現

75.5%

13.2%

9.4%

短期利益

18.1%

63.8%

14.9%

「夢の実現」派の75.5%が長期保有を選んでおり、全目的のなかで最も高い割合です。「人生を変えたい」という大きな目標を持つ投資家ほど、短期的な売買ではなく、長期的に大きなリターンを待つ戦略を選択していることが分かります。

「資産形成」派も63.7%が長期保有を選んでおり、堅実な積み立て型の投資行動と整合しています。

一方、「短期利益」派は63.8%が短期売買を選択しており、目的とスタイルが直結しています。「短期利益」派の長期保有率は18.1%にとどまり、投資のアプローチが他の目的の投資家とは根本的に異なります。


利益の使い道は目的ごとに明確な差|「夢の実現」派の31.1%は「生活費の補填」

利益の使い道の全体分布

利益を得た場合の使い道として、「貯金・将来資金に回す」が202人(39.9%)で最多でした。「旅行や趣味に使う」が99人(19.6%)、「生活費や支払いの補填」が81人(16.0%)と続きます。

利益の使い道

回答数

割合

貯金・将来資金に回す

202人

39.9%

旅行や趣味に使う

99人

19.6%

生活費や支払いの補填

81人

16.0%

家・車など大きな買い物

39人

7.7%

再投資してさらに増やす

31人

6.1%

特に決めていない

29人

5.7%

家族や子どものため

25人

4.9%

投資目的別の利益の使い道

投資目的別にクロス集計すると、利益の使い道に明確な差が浮かび上がります。

資産形成派は「貯金・将来資金に回す」が48.3%と圧倒的に高く、利益を消費せず再度蓄えに回す姿勢が鮮明です。「旅行や趣味に使う」は17.6%にとどまります。

夢の実現派は「貯金・将来資金に回す」が41.5%で最多ですが、2位に「生活費や支払いの補填」(31.1%)が入ります。この31.1%という数字は、資産形成派(13.1%)や短期利益派(10.6%)と比較して突出しています。

「人生を変えたい」という目標を持つ投資家の約3割が、利益を生活費の補填に充てることを想定している点は注目に値します。現在の生活に経済的な課題を感じており、暗号資産投資をその解決手段と位置づけている可能性がうかがえます。

短期利益派は「旅行や趣味に使う」が33.0%で最多であり、利益を自身の体験や楽しみに充てる傾向が明確です。「家・車など大きな買い物」も16.0%と他の目的の投資家より高い割合でした。

利益の使い道

資産形成

夢の実現

短期利益

貯金・将来資金

48.3%

41.5%

22.3%

旅行や趣味

17.6%

15.1%

33.0%

生活費の補填

13.1%

31.1%

10.6%

家・車など

6.0%

5.7%

16.0%

再投資

6.7%

2.8%

4.3%


情報源は投資目的で大きく異なる|短期利益派はSNS利用率が22.3%と低い

情報源の全体分布(複数回答)

投資判断の際に参考にしている情報源として、「SNS(X、YouTubeなど)」が262人(51.8%)で最多でした。

情報源

回答数

選択率

SNS(X、YouTubeなど)

262人

51.8%

ニュースサイト

222人

43.9%

専門家・分析記事

184人

36.4%

取引所や公式の発信

168人

33.2%

友人・知人

127人

25.1%

特に参考にしていない

43人

8.5%

投資目的別の情報源|短期利益派の独自性

投資目的別にクロス集計すると、短期利益派の情報源が他と大きく異なることが確認されました。

情報源

資産形成

夢の実現

短期利益

SNS

60.3%

61.3%

22.3%

ニュースサイト

46.4%

55.7%

29.8%

取引所や公式の発信

34.1%

29.2%

39.4%

専門家・分析記事

37.8%

32.1%

41.5%

友人・知人

27.7%

19.8%

27.7%

特に参考にしていない

4.5%

5.7%

13.8%

「資産形成」派と「夢の実現」派はともにSNSが60%超で最多です。長期的な視点で投資する層にとって、SNSは市場のトレンドや銘柄の話題を把握する情報源として機能していると推察されます。

一方、「短期利益」派はSNSが22.3%と大幅に低く、代わりに「専門家・分析記事」(41.5%)と「取引所や公式の発信」(39.4%)が上位に入ります。短期売買はタイミングの精度が収益に直結するため、SNSの断片的な情報よりも、分析の精度が高い情報源が重視されているといえます。

また、「特に参考にしていない」が短期利益派で13.8%と高い点も特徴です。短期売買に自信を持ち、自身の分析のみで判断を行う層が一定数存在していることがうかがえます。


不安要素も投資目的で異なる|「資産形成」派は税金、「短期利益」派は不安が少ない

不安要素の全体傾向(複数回答)

暗号資産投資で不安に感じていることを複数回答で尋ねたところ、「価格変動が激しい」が205人(40.5%)で最多でした。

不安要素

回答数

選択率

価格変動が激しい

205人

40.5%

大きく損をするのが怖い

189人

37.4%

セキュリティ(ハッキング等)が不安

169人

33.4%

税金・確定申告が不安

165人

32.6%

情報の正しさが判断できない

145人

28.7%

売買タイミングが分からない

140人

27.7%

特に不安はない

60人

11.9%

投資目的別の不安要素

目的別にクロス集計すると、不安の質に顕著な差が確認されました。

不安要素

資産形成

夢の実現

短期利益

価格変動が激しい

46.4%

41.5%

27.7%

大きく損をするのが怖い

37.8%

38.7%

35.1%

セキュリティが不安

36.7%

34.0%

29.8%

税金・確定申告が不安

36.3%

37.7%

21.3%

情報の正しさが判断できない

33.3%

28.3%

14.9%

売買タイミングが分からない

27.7%

31.1%

23.4%

特に不安はない

10.1%

7.5%

18.1%

「資産形成」派は全体的に不安の選択率が高く、特に「価格変動」(46.4%)、「税金・確定申告」(36.3%)が目立ちます。長期的に資産を守りたいという意識が強いため、価格下落リスクや税務処理への不安がより強く現れていると考えられます。

「夢の実現」派は「大きく損をするのが怖い」が38.7%と最も高く、「税金・確定申告」も37.7%と高水準です。大きなリターンを期待する一方で、大きな損失への恐怖も同時に抱えているという、アンビバレントな心理が読み取れます。

「短期利益」派は全体的に不安の選択率が低く、「特に不安はない」が18.1%と他の目的の約2倍です。短期売買に慣れた投資家は、リスクを自らコントロールできるという自信を持っている可能性があります。ただし、「情報の正しさが判断できない」が14.9%と低い点は、情報の正確性に対する感度が低い可能性もあり、一概に良い傾向とはいえません。


経験年数と投資額|「短期利益」派は1〜3年が54.3%、投資額101〜300万円が最多

経験年数別の投資目的

経験年数別に投資目的を見ると、「短期利益」派は1〜3年未満が54.3%と突出しています。一方、「夢の実現」派は1年未満が35.8%、5年以上が22.6%と、経験の浅い層と深い層の両端に多い二極化の傾向が見られます。

投資目的

1年未満

1〜3年

3〜5年

5年以上

資産形成

16.9%

43.8%

22.8%

16.5%

夢の実現

35.8%

32.1%

9.4%

22.6%

短期利益

18.1%

54.3%

20.2%

7.4%

「短期利益」派の5年以上はわずか7.4%です。長期にわたって短期売買を継続する投資家は少数であり、経験を積むなかで他のスタイルに移行するか、投資自体をやめるケースが多い可能性を示唆しています。

現在の投資額

現在の投資額を目的別に見ると、「短期利益」派は「101〜300万円未満」が59.6%と突出して高い結果でした。短期売買はある程度の元手がなければ利益を出しにくいという特性が反映されていると考えられます。

「資産形成」派は「1〜100万円未満」が40.8%で最多であり、無理のない範囲で投資している層が多い傾向です。「夢の実現」派は「1万円未満」が31.1%と最も高く、少額で「一発逆転」を狙う投資家が一定数存在していることがうかがえます。


まとめ:投資目的が投資行動を決定づける

本調査の結果から、暗号資産投資家の投資目的と行動の関係について、以下の主要な知見が得られました。

  1. 投資目的の最多は「資産形成」(52.8%)。 ただし、「夢の実現」(20.9%)と「短期利益」(18.6%)を合わせると4割近くに達し、暗号資産に積極的なリターンを求める層も多く存在します。
  2. 投資目的と投資スタイルは強く連動しています。 「夢の実現」派の75.5%が長期保有を選択する一方、「短期利益」派の63.8%が短期売買を選択。目的がスタイルを決定づける明確な関係が確認されました。
  3. 利益の使い道に投資家の経済状況が反映されています。 「夢の実現」派の31.1%が利益を「生活費の補填」に充てる意向であり、他の目的の2倍以上。暗号資産への投資動機に、現在の生活環境が影響を与えている可能性があります。
  4. 情報源は投資目的で明確に異なります。 「資産形成」派と「夢の実現」派はSNSが60%超、「短期利益」派は専門家・分析記事と取引所の発信を重視。投資判断に求める情報の質が目的によって変わります。
  5. 不安の度合いも目的ごとに差があります。 「短期利益」派は「特に不安はない」が18.1%と最も高い一方、「夢の実現」派は期待と恐怖が同居。「資産形成」派は税金や価格変動への不安が顕著です。

暗号資産投資は、目的が異なれば最適なアプローチも異なります。自分がどのような目的で投資しているのかを改めて整理し、その目的に合った投資スタイル、情報収集、リスク管理を選択することが重要です。


免責事項

本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘を目的としたものではありません。暗号資産の取引には価格変動リスクをはじめとする各種リスクが伴います。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。

税務については、個別の状況に応じて税理士への相談を推奨します。

過去の値動きは将来のリターンを保証しません。

調査データの出典:Clabo独自アンケート調査(2025年実施、対象1,221人)