暗号資産の確定申告や税務調査などで税理士に依頼する場合、費用は数万円〜20万円台が一つの目安です。ただし、実際の料金は一律ではありません。取引件数、利用している取引所の数、海外取引所やDeFi・NFT・ステーキングの有無、損益計算まで依頼するかどうかによって変わります。

そのため、暗号資産の税理士費用を確認するときは、料金表の金額だけで判断しない方がよいです。特に、取引内容が複雑な場合ほど、基本料金とは別に追加費用がかかることがあります。

この記事では、暗号資産の確定申告を税理士に依頼した場合の費用相場、費用が高くなりやすいケース、料金に含まれる主な作業内容、費用を抑えるために準備しておくことを解説します。

暗号資産の確定申告を税理士に依頼した場合の費用相場

冒頭でもお伝えした通り、暗号資産に関する税理士への依頼費用は、数万円〜20万円台が一つの目安です。ただし、税理士事務所が公開している料金を見ると、取引量や対応範囲によって金額には差があります。

例えば、暗号資産の確定申告について、国内取引のみで取引量が少ない場合は15万円〜、取引量が多い場合や海外取引所を含む場合は30万円〜と案内している税理士事務所があります(参考:浅井匠也税理士公認会計士事務所)。

また、損益計算・確定申告・税務相談などを含めた個人向けサービスの例として、利益500万円の場合で税込27万5千円と示している税理士事務所もあります(参考:大見税理士事務所)。

税理士報酬は、全国一律で決まっているわけではありません。各税理士事務所が業務内容や専門性に応じて料金を設定しているため、同じ「暗号資産の確定申告」でも、依頼先によって料金は変わります。

暗号資産の税理士費用が高くなりやすいケース

暗号資産の税理士費用が高くなるケースは、税理士が確認しなければならない情報が増える依頼のときです。利益額が大きいかどうかだけで料金が決まるわけではなく、むしろ、取引件数、利用サービスの数、取引履歴の状態、過去の申告状況によって作業量が変わります。

ここでは、どのようなケースが発生すると税理士への依頼料が高くなるか確認します。

複数の取引所や海外取引所を利用している

複数の取引所を利用している場合、税理士費用は高くなることがあります。取引所ごとに履歴の形式が異なり、売買履歴、入出金履歴、送金履歴などを横断して確認する必要があるからです。

海外取引所を利用している場合は、さらに手間が増えます。日本円での記録がそのまま残っていない場合や、取引履歴の形式が国内取引所と異なる場合があるため、損益計算の前処理に時間がかかります。また、海外取引所で暗号資産同士の交換をしている場合、日本円に換算したうえで所得計算が必要になることがあります。

個人の仮想通貨申告(取引量少)

150,000円〜

個人の仮想通貨申告(取引量多/海外含む)

300,000円〜

参考:浅井匠也税理士公認会計士事務所

このようなケースでは、暗号資産に対応している税理士であっても、通常の申告料金に加えて追加見積もりになることもあります。利用した取引所が多い人は、最初の相談時点で取引所名をすべて伝えておく方がよいです。

DeFi・NFT・ステーキングなどの取引がある

DeFi、NFT、ステーキング、レンディング、流動性マイニングなどを利用している場合も、税理士費用は高くなることでしょう。これらの取引は、単純な売買だけではなく、報酬の受け取り、暗号資産同士の交換、ウォレット間の移動、NFTの購入・売却など、確認すべき取引の種類が増えるためです。

例えば、ステーキング報酬を受け取っている場合、その報酬をいつ、いくらの価値で受け取ったのかを整理する必要があります。NFTを売買している場合も、購入時・売却時の価額、手数料、使用した暗号資産などを確認しなければなりません。

DeFiやNFTに関する取引は、取引所の年間取引報告書だけで完結しないことがあります。そのため、オンチェーン上の履歴、ウォレットの入出金、利用したサービスの情報などを確認する必要があり、税理士費用が上がりやすくなります。

取引履歴や必要資料が揃っていない

税理士が申告内容を確認するためには、取引の根拠となる資料が必要です。資料が不足していると、税理士側で取引所の履歴取得方法を案内したり、不足データを確認したり、取引内容を推定しながら整理したりする手間が発生するため、費用が高額になりやすくなります。

特に、過去に使っていた取引所が分からない、古いウォレットの履歴が残っていない、送金先が何のための送金だったか分からない、といった状態では、損益計算の難度が上がるため、想定よりも高額になるケースもあります。

以上のことから、暗号資産の税理士費用を見積もる際は、利益額だけでなく「資料がどれだけ整理されているか」も重要です。必要な資料を自分で集めておけば、税理士の作業量を減らせるため、結果的に費用を抑えられる可能性があります。

暗号資産の税理士費用に含まれる主な作業内容

暗号資産の税理士費用を見るときは、金額だけで判断しない方がよいです。同じ10万円でも、損益計算まで含まれている場合と、申告書の作成だけの場合では、サービス内容が大きく異なります。

取引履歴の確認と損益計算

暗号資産の確定申告で特に重要なのが、取引履歴の確認と損益計算です。暗号資産は、売却したときだけでなく、暗号資産で商品を購入した場合や、暗号資産同士を交換した場合にも所得計算が必要になることがあります。

国税庁FAQでも、暗号資産の必要経費として、暗号資産の譲渡原価や売却時の手数料などが挙げられています。つまり、申告では「いくらで売ったか」だけでなく、「いくらで取得した暗号資産を売ったのか」も整理しなければいけない訳です。

暗号資産の売却による所得の計算上、必要経費となるものには、例えば次の費用があります。・その暗号資産の譲渡原価・売却の際に支払った手数料

引用元:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて|国税庁

この損益計算まで税理士が対応してくれるのか、それとも依頼者側で損益計算ツールを使って計算結果を用意する必要があるのかは、必ず確認しておきましょう。

確定申告書の作成と提出サポート

損益計算が終わったら、その結果を基に確定申告書を作成します。税理士に依頼する場合、申告書の作成や電子申告による提出まで対応してくれることがあります。

ただし、暗号資産の税理士費用には、申告書作成だけが含まれている場合もあります。この場合、取引履歴の整理や損益計算は別料金、または依頼者側で対応する前提になっていることがあります。

見積もりを確認するときは、「申告書の作成だけなのか」「損益計算から提出まで一括で対応してくれるのか」を分けて確認してください。ここを曖昧にすると、依頼後に追加費用が発生しやすくなります。

追加相談や税務調査対応は別料金になる場合がある

暗号資産の税理士費用には、税務相談や税務調査対応が含まれていない場合があります。例えば、申告書作成は基本料金に含まれていても、個別相談、過年度分の確認、税務署から問い合わせが来た場合の対応、税務調査への立ち会いは別料金になることがあります。

これは、税務調査対応が通常の申告書作成とは別の業務だからです。税務署から確認を求められた場合、申告内容の根拠資料を整理し、取引履歴や計算内容を説明する必要があります。そのため、調査対応まで含めると税理士の作業量が増えます。

利益額が大きい人や、過去の申告に不安がある人は、税務調査対応の有無も確認しておいた方がよいです。料金だけで選ぶのではなく、申告後の対応範囲まで見て判断する必要があります。

暗号資産の税理士費用を抑えるために準備しておくこと

暗号資産の税理士費用を抑えたい場合、単に安い税理士を探すより、税理士の作業量を減らす準備をした方が現実的です。資料が整理されていれば、見積もりが明確になりやすく、追加費用の発生も抑えやすくなります。

利用した取引所やウォレットを一覧にしておく

まず、利用した取引所やウォレットを一覧にしておきましょう。国内取引所、海外取引所、ウォレット、DeFiサービス、NFTマーケットプレイスなど、暗号資産に関係するサービスをできるだけ洗い出します。

この一覧があると、税理士はどの取引履歴を確認すべきか判断しやすくなります。反対に、利用したサービスが曖昧なままだと、取引履歴の漏れが起きる可能性があります。

最低限、「サービス名・利用していた期間・取引内容・現在もログインできるかどうか」をまとめておくと、相談がスムーズになります。

取引履歴や入出金履歴を事前に集めておく

次に、取引履歴や入出金履歴を事前に集めておきます。取引所からダウンロードできるCSVデータ、年間取引報告書、入出金履歴、ウォレットのトランザクション履歴などが対象です。

暗号資産の申告では、売買履歴だけでは不十分な場合があります。取引所からウォレットへ送金した履歴、ウォレットから取引所へ戻した履歴、暗号資産同士を交換した履歴なども、損益計算に関係することがあるためです。

資料を集める段階で分からない部分がある場合は、そのまま放置せず、分からない点としてメモしておくとよいです。税理士に相談するときに「何が不明なのか」が分かれば、確認作業が進めやすくなります。

申告期限の直前ではなく早めに相談する

税理士費用を抑えたいなら、申告期限の直前ではなく早めに相談することも重要です。確定申告の時期が近づくと、税理士事務所は通常業務で忙しくなります。暗号資産のように確認作業が多い申告は、直前だと受け付けてもらえない場合や、急ぎ対応として追加費用がかかる場合があります。

早めに相談すれば、必要資料を集める時間も確保できます。取引履歴の不足やログインできない取引所が見つかった場合でも、申告期限までに対応しやすくなります。

暗号資産の申告は、資料を集めて終わりではありません。その資料をもとに損益計算をおこない、申告書に反映する必要があります。特に取引件数が多い人は、期限直前に動くほど選択肢が狭くなるため、できるだけ早めに税理士へ相談した方がよいです。

まとめ:暗号資産の税理士費用は取引内容と依頼範囲で変わる

暗号資産の確定申告を税理士に依頼する場合、個人の申告では数万円〜20万円台が一つの目安です。ただし、作業量によって追加費用が発生するケースもあるため、税理士の確認事項が増えてしまうような状況だと、費用は増額してしまいます。

税理士費用を抑えたい場合は、利用した取引所やウォレットを一覧にし、取引履歴や入出金履歴を事前に集めておくなどし、税理士の作業量を減らすことができれば、追加費用は抑えやすくなります。

暗号資産の税理士費用は、取引内容と依頼範囲で大きく変わります。まずは自分の取引内容を整理し、料金だけでなく、暗号資産の申告に対応できる税理士かどうかを確認したうえで依頼しましょう。