暗号資産は長期保有を前提に購入し、そのまま利用せずに放置されるケースが少なくありません。実際に、価格の上昇を期待して保管したまま、数年間ウォレットを開いていないという方も多く見られます。
しかし、長期間利用しないことで、ウォレットの仕様変更やサービス終了に気づかないまま、アクセスできなくなるケースがあります。久しぶりに資産を確認しようとしたときに、アプリが起動しない、あるいは存在しないといった状況に直面することも珍しくありません。
今回ご相談いただいた埼玉県在住の40代女性も、アルタウォレットにETHを保管したまま長期間利用しておらず、気づいた時にはアプリが使えない状態になっていました。
本記事では、サービス終了により開けなくなったウォレットから、約6.5ETHの資産に再アクセスできた復旧事例について、実際の流れに沿って解説します。
ご相談の経緯:アプリのサービス終了でウォレットが開けない状態に

2018年頃にアルタウォレットでETHを保管していたものの、長期間利用していなかったこともあり、久しぶりに資産を確認しようとした際にアプリが利用できず、ウォレットを開けない状態となっていました。
確認を進めたところ、アルタウォレットのサービス自体がすでに終了しており、これまでと同じ方法では資産にアクセスできない状況でした。そのため、アプリを再インストールする、ログイン情報を入力するといった一般的な手段では解決できない状態に陥っていました。
こうした状況から、保管していた資産が失われてしまったのではないかという不安を感じ、自力での解決は難しいと判断されたため、弊社へご相談いただくに至りました。
リカバリーフレーズが有効だったため復旧可能と判断

アルタウォレットのアプリが使えない状態であっても、資産そのものが消えているわけではないと判断しました。暗号資産はウォレットアプリのなかに保管されているのではなく、ブロックチェーン上に記録されているため、アプリが利用できなくなっても資産の情報自体は残っているためです。
そこで、手元に保管されていたリカバリーフレーズの内容を確認し、ウォレットを復元できる状態にあるかを検証しました。リカバリーフレーズは、ウォレットを再生成するための情報であり、この情報が正しければ別の環境でも同じウォレットを復元することが可能です。
さらに、リカバリーフレーズは特定のウォレットに依存するものではなく、同じ規格に対応したウォレットであれば共通して利用できる仕組みになっています。そのため、アルタウォレットが使用できない場合でも、互換性のある別のウォレットを利用することで、資産に再アクセスできると判断しました。
MetaMaskにリカバリーフレーズを入力しウォレットを復元

アルタウォレットが使用できない状況であったため、ETHに対応し、リカバリーフレーズの互換性があるウォレットとしてMetaMaskを選定しました。MetaMaskはイーサリアム系の資産に対応しており、同じ規格のリカバリーフレーズであればウォレットを再生成できる仕組みになっています。
まず、MetaMaskをインストールしたうえで、保管されていたリカバリーフレーズを入力し、ウォレットの復元をおこないました。リカバリーフレーズはウォレットを再生成するための情報であるため、正しく入力できれば元のアドレスを再現することが可能です。
作業自体はフレーズを入力するだけですが、単語の順番やスペルが一つでも違うと別のウォレットが生成されてしまうため、内容を確認しながら正確に入力することが重要になります。
復元後はアドレスを確認し、ブロックチェーン上の資産が正しく表示されることをもって、元のウォレットへのアクセスが回復したことを確認しました。
最終結果:15分で約6.5ETHの資産にアクセスを回復

初回ヒアリングから約15分でウォレットの復元が完了し、短時間で資産へのアクセスを回復することができました。MetaMask上で元のアドレスが再現され、アルタウォレットに保管されていた約6.5ETHの資産が正しく表示される状態となっています。
復元後は通常どおり残高の確認や送受信が可能となり、これまでと同様に資産を管理できる状態に戻りました。
今回の事例から分かるポイント

今回の事例から分かる通り、ウォレットアプリが使えなくなったとしても、暗号資産そのものがすぐに消失するわけではありません。資産はウォレットのなかに保管されているのではなく、ブロックチェーン上に記録されているため、アクセス手段を失っただけの状態であるケースが多く見られます。
そのため、資産に再アクセスできるかどうかは、リカバリーフレーズを正しく保管しているかに大きく依存します。リカバリーフレーズは特定のウォレットに依存するものではなく、対応する別のウォレットでも利用できる仕組みです。どのウォレットを使えば復元できるかを判断できるかどうかが、復旧の可否に大きく影響します。
再発防止のために重要なこと

リカバリーフレーズは、紙や金属プレートなどのオフライン環境に記録し、第三者に見られない場所で保管することが重要です。アプリ内やクラウド上だけに保存していると、端末の故障やサービス終了の影響を受ける可能性があります。
また、ウォレットアプリは永続的に使えるとは限らず、サービス終了や仕様変更が起こる前提で管理する必要があります。そのため、特定のアプリに依存せず、どのウォレットでも復元できる状態を維持しておくことが重要です。
具体的には、ウォレット作成後に一度アプリを削除し、別のウォレットにリカバリーフレーズを入力して復元できるかを確認する方法があります。このように事前に復元テストをおこなっておくことで、実際にトラブルが発生した際も落ち着いて対応できる状態を作ることができます。
同様のケースでお困りの方へ

今回のようなトラブルが起きた場合でも、リカバリーフレーズが手元にあれば資産を復元できる可能性があります。実際に本事例でも、フレーズを活用することでウォレットを再生成し、資産に再アクセスできる状態を構築しています。
ただし、リカバリーフレーズがあれば必ず復旧できるとは限りません。復元の可否はフレーズの有無だけでなく、どのように扱うかによって結果が変わるためです。
例えば、リカバリーフレーズがあっても、どのウォレットを使えば元の状態に戻るのか判断できず、作業が止まるケースがあります。また、フレーズを入力してウォレット自体は生成されたものの、資産が表示されない場合に、それが成功なのか失敗なのか判断できずに詰まることもあります。
さらに、復元方法そのものはシンプルであっても、操作ミスや誤った判断によるリスクを考えると、自分の判断に確信が持てず作業を進められないケースも少なくありません。特に、一定の金額が関わる場合は、慎重になる傾向が強くなります。
このように、単純な作業であっても判断や選択に迷う場面があるため、自力での対応が難しいと感じた場合は、状況に応じた対応を検討することが重要です。弊社Claboではこうしたケースの相談にも対応していますので、不安がある場合は一度ご相談ください。

